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俺のすべらない話  作者: 弓 ゆみ太
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黒いベンツ

小噺を一つ


俺が大学生だった頃の話をするよ


俺、大学生の一時期、めちゃくちゃイキってたことがあるんだよ


俺が世界の中心、みたいな


みんなひれ伏せ、みたいな


で、ある日爆走してたんだ


もちろん自転車で


赤信号でも突進なんかしちゃってさ


イキっちゃってるから交通ルールを守らないことに


カッコよさを感じてたんだな


交通ルールが俺についてこい、みたいな


なんなら車道の真ん中を走るくらいのアホなことしてたな


で、ある小道を左折したんだよ


左右確認なんかせずに車道わきに思いっきり飛び出した


ファー!ファー!


車のクラクションが後ろから鳴り響いた


「あぁ!」


俺は当然イキっちゃってるから、睨みながら後ろを振り返ったんだ


したらそこには黒塗りのベンツ


運転席にはグラサン、パンチパーマのいかにも筋モノって感じの男が


こちらを睨んでいるように見えた


『ヒャー、やっちまった』


こうなるとイキるもクソないわな


謝ろうにも、逃げようにも、こっちは自転車で相手は車


どうしようもない


仕方ないから、一瞬で自転車を舗道に乗り上げ


なんなら壁につくんじゃないかってくらい左に寄せながら


減速して、『何事もありませんように』って願いながら伏目がちに運転してた


そしたらさ、その黒塗りのベンツは通り過ぎてったんだよ


もちろん俺は心の中で小躍りしてたね


だけど、そんなの一瞬で吹き飛ぶようなことが次の瞬間起きたんだ


なんと、通り過ぎてちょっと行ったところで車を路肩に寄せて停車したんだよ


まるで、俺が来るのを待ち構えて、拉致してやろうってな具合でさ


俺もう心の底から震え上がったね


そうこうしてる間に運転手のにーちゃんがおもむろに降りてきた


俺との距離は5〰10mって所だ


ヤバイ


激ヤバだ


どーしよう



「すいませんでした!!!」


このまま無事に通り過ぎるのは無理だと判断した俺は先に謝ることにした


自転車を降りて地面に頭がつくんじゃないかってくらい深々とね


1、2……


頭を下げて3秒くらいたっても相手から何の反応も無い?


俺は恐る恐る頭を上げたんだけど


そのにーちゃん『コイツ何してんだ』って顔でこちらを一瞥しながら


俺の前方左手にあった自動販売機でタバコ買ってたわ



何が世界の中心かて!?


お前がひれ伏してんじゃねーか


ってお話でした


『青いベンチ』みたいに甘い恋の話だったらよかったんだけどね

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