表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

木漏れ日とティーカップ

木漏れ日とティーカップ 2

作者: 三上たける

私は彼女を覚えていて、覚えていないのだ。

言葉で表現するには少し難解であるが、本当にそうなのだ。

今日の私は、昼過ぎにこの場所に現れた。年季の入ったこの木造の2階で、彼女はいつも1人で何かを待っているのだ。

「今日も時間通りにきたんだね」

落ち着いてるがどこか嬉しそうな、しかし どこか物悲しそうな彼女の声が聞こえた。階段を上った先の扉を開けると、来客を喜ぶ彼女の笑顔が見えた。

今日の彼女は白いワンピースを身にまとっていた。雪のような白い肌と、透き通るような大きな瞳。少し離れていてもわかるその美しさに、私はいつでも魅了されている。

私は彼女のことをよく知らない。いや、今の私は、とでも言った方がいいだろうか。私が知っている彼女の情報は歳が18であること、そして夕暮れ時に紅茶を淹れることしかしらない。

私は不思議と、それを疑問に思わないのだ。そういうものだと、わかっている。黄昏時の茶会が終われば、私が帰らねばならないこともそれ同じなのだ。きっと人が音楽を好む理由だとか、人の心の在り処だとか、そういう非科学的だが本能的に「そういうもの」だと理解してしまうのと同じことだ。

余計な散策は決してしない。今の私には、彼女が美しくそして今日もまた私を待ってくれていた、という事実だけで十分なのだ。

今日もまた、時間が来れば私は去るだろう。そして悲しそうに、そして自身に言い聞かせるように、彼女は私を笑顔で見送ってくれるのだろう。








わたしは彼を知っている。彼も私を知ってくれている。わたしは何もできない。何も止められない。ただただ、彼の帰りを待っている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ