第六幕 魔法と魔術
一通り前世で何があったのかを聞いた・・・
これ以上アンジュやカナリアさんの記憶を蒸し返したら何だか二人に申し訳無いような気がするから深く聞くのはやめておこう・・・
「他に聞きたいことはある?」
「う〜ん・・・あ!!特殊な世界って?」
「あぁ~それね説明してなかったわね・・・えっとこの世界は第一世界と仮定するわ」
「うん・・・」
「第二世界というのは一般的に言う所のパラレルワールドと言って完全に違う世界・・・ここまで分かった?」
「う、うん・・・何となく?」
「分かって無さそ〜それでね・・・特殊な世界っていうのは第一,五(1.5)世界のことよ」
「えっと・・・えっと・・・え?」
「もう一人の自分と今の自分の世界の間ってことよ」
訳がわかんないよ!?
夏奈は何だか理解してるようだし・・・この場で理解出来てないの私だけ!?
「夏奈は分かった?」
「うんまぁ何となくだけど・・・」
「そ、そうなんだ・・・」
「分かってないのアンタだけよ〜」
「わ、わわわわわかってるわよー!!」
「杏雛さん・・・動揺が隠し切れてないですよ」
「は!!」
この話についていけないのが普通なんじゃないのー!?何でこんな普通じゃ無いことを理解出来なくて恥ずかしがってるのよ私ー!!
「まぁ良いわ別に・・・重要なことでも無いし」
「え!?」
「それでこれからどうするの?アンジュ・・・」
「う~ん他の愛され聖戦に参加している人がどんな力かを知りたいわね・・・」
「ねぇ・・・一つ質問・・・」
カナリアさんが質問をしてきた。
「カナリア?あんたがわからなかったところあるの?」
「えぇ・・・一つだけ本当にわからないことがあるわ・・・何で杏雛さんが生きているのかがわからないです」
「わ、私!?」
カナリアさんは何を言ってるの!?
本来なら私死んでるみたいじゃない・・・
「カナリア・・・どういう意味よ」
「夏奈もわかってると思いますが私は夏奈の部屋に魔法でトラップを仕掛けました・・・そのトラップは確実に相手を殺すものでした・・・なのにそれを回避して夏奈を助け出してきた・・・何で回避出来たんでしょうか・・・それがわからないです」
「杏雛が中に入って来た時確かに発動してた・・・けどそれと同時に杏雛から光が出てきたわ・・・その首にぶら下げてるネックレスから・・・」
確かにこのネックレスが光って何かが起きたけど・・・私が何かをした訳では無い・・・
「このネックレスってお母さんから誕生日に貰ったやつで・・・何となく気に入ってるから着けてるだけで・・・そんな・・・不思議な力g!!」
「杏雛ちゃーん夏奈ちゃーんジュース持ってきたわよ〜」
え!!待って!!このタイミングでお母さんが来ちゃうの!?いかにもありがちなタイミングだけどおかしいよね!?てかこの状況マズイんじゃないの!?アンジュとカナリアさんのことはどう説明すれば良いの!?アンジュは私の服を借りて私服だけどカナリアさんは明らかに黒いローブ着てるから怪しいよ!!
「あら?もう二人の分は用意してなかったわ・・・ごめんなさいね・・・」
何か普通!?驚いたりするかと思ったら意外にも普通な対応されちゃったよ・・・
「でも懐かしいわね~愛され聖戦なんて」
「「!?」」
「??」
アンジュとカナリアさんが同時に驚いたように見えた。
「今二人の分追加で持ってくるわね」
お母さんは風のように現れ風のように消えてった・・・
「ねぇアンジュ・・・なんで驚いたの?」
「いや・・・だって私あなたに言ったわよね・・・愛され聖戦は負けたらそれに関わる記憶が無くなるって・・・」
「うん・・・んん?」
凄い何かが引っかかる・・・
何か深く考えたら凄いおかしな話だよね・・・
負けたら記憶が消える・・・愛され聖戦をお母さんが覚えてる・・・
「えぇ!?」
「気づいた?つまり予想だけど・・・前回の愛され聖戦で勝ち残った人があなたのお母さんということかもしれないわ・・・」
「杏雛さんのそのネックレス良く見せてくれません?」
「え?あぁうん・・・」
私はカナリアさんにネックレスを渡す・・・
「何か分かった?カナリア・・・」
「これは・・・魔術ですね・・・それも高度な・・・」
魔術・・・
「それって魔法と違うの?」
「根本的に違います・・・魔法は本になっていて持ち主のマナを根源に力を発揮します・・・魔術は物質に魔術回路を組んで一定条件の下で発動するんです・・・発動した時にこの魔術回路を組んだ者からマナを吸い取る・・・」
「カナリアは魔法学専門だものね・・・」
「はい・・・魔術の方はサラッと触れたくらいですね・・・あとはこの石なんですが・・・」
「はーいみんなージュース追加持ってきたわよ!!」
本当に狙ったかのようなタイミングで入ってくるんだね!?
「お、お母さん・・・」
「まぁまぁ~ジュースでも飲んで落ち着きなさい」
お母さんのテンションはまるっきり変わらないんだね・・・
「ねぇ杏雛のお母さん・・・」
「あら杏雛のそっくりさん!!杏雛の前世ね・・・」
「聞きたいこと沢山あるんですが・・・」
「分かってるわよ」
私は夏奈の所にそっと行き小声で話す。
「ねぇ夏奈・・・」
「うん・・・私達が入れる要素が無くなってきたね・・・」
もうついていけないよ・・・私・・・
まだまだ説明が続きます・・・