第十七幕 聖剣
「ふっこれで終わりだ人間・・・」
再び剣は動き始め私の首に刺さりそうになった時・・・
アーサーは少し表情を変えて言った。
「誰だ・・・我の邪魔をするのは・・・」
そう言った瞬間・・・一瞬にしてアーサーは真横へ吹っ飛んでいく。
アーサーは二本の足を地面に付け滑りながら止まる。
「お父さん!?」
そこに居たのはお父さんだった。
でもなんで・・・
「良く仲間を守ったな・・・杏雛」
「お父さん・・・」
お母さんが私の肩に手を置く。
「お母さんまで・・・どうして?」
「杏雛・・・辛かったでしょうけど良く耐えたわ・・・後は私とお父さんに任せなさい・・・」
お母さんは私の前に出て私を守るようにしている。
お父さんもアーサーと戦ってる・・・
「人間風情がこの我に一撃与えただと?」
「どうしたアーサー王・・・不老不死のせいで体がなまっているのではないかな?」
アーサーは両手に剣を持ち構える。
「この我がなまる?笑い話は他所でやれ・・・人間!!」
その瞬間アーサーはものすごい勢いで迫り両手の剣はお父さんを捉えていたが・・・
「遅い」
何が起きたのかは分からなかったがアーサーはお父さんに蹴られていた。
「お父さんの魔法は特殊でね時間を数秒止めたり自分の身体能力を向上させたりする魔法なの・・・そういう魔法を使う人はいるけどお父さんみたいに使いこなせてる人はいないわ・・・」
「お父さんってどんな仕事してるの?」
「表上はただのサラリーマン・・・本当は愛され聖戦の管理官の1人でね・・・イギリスで王の護衛なんかを前やってたのよ・・・」
愛され聖戦の管理官・・・?
それじゃあお父さんは今まで私たちの様子を見ていたのかな・・・
「アーサー王諦めたらどうかな?」
「貴様・・・この我に諦めろと?・・・ふざけるな!!仕方が無い・・・こんな所でネズミに手こずっていてはアレを出すしかあるまいか・・・」
「・・・」
お父さんは黙ってアーサーを見ていた。
「来たれ聖剣・・・エクスカリバー」
そう言うと先程私の首を刺そうとした剣が地面の魔法陣から出てくる。
「なるほど・・・それが本物か」
「随分と余裕そうではないか・・・なら・・・遠慮はせんぞ・・・人間」
アーサーはエクスカリバーを手に取りすぐさま縦に大きく振る。
すると透明な風のような刃が飛んでくる。
お母さんはそれを何個かの石を投げ魔法を唱えガードしていた。
「ふっ人間の錬金術でそこまで守れるのなら上出来だな・・・」
そんなことを言いながらアーサーは続けてお父さんの方へ刃を飛ばす。
それをお父さんは躱す。
「流石は本物のエクスカリバー・・・レプリカとは大違い・・・しかし使い手は何も変わってはいない・・・」
「我を愚弄するか・・・良い度胸だ・・・それと同時で命知らずだな・・・死ぬが良い人間」
アーサーは隙間なく刃を飛ばす。
「アーサー王・・・一つだけ言っておこう・・・」
「遺言か?言うが良い」
「それだからお前はいつまでたっても前へ進めんのだ」
「なっ!?」
次の瞬間アーサーの前にいたはずのお父さんはアーサーの後ろにおりアーサーは膝をついて倒れていた。
「お前は自分の強さしか見ていない・・・それだからお前は不老不死という力に逃げた・・・そうだろ?アーサー王」
「貴様・・・許さぬぞ・・・人間・・・この王に膝をつかせるとは・・・」
ゆっくりと体を上げたアーサーは私を見ると黄金の剣が飛んでくる。
お母さんはそれを魔法で受け止めようとするが間に合わず剣は私の近くまでくる。
何故だろうか・・・とても時が進むのが遅く感じる・・・目の前ではお母さんが横に飛ばされた・・・
誰に?・・・その大きな背中はさっきまでアーサーと戦って居た人の者だった。
その背中には剣が貫通していた。
「え・・・お、お父さん!?」
「あなた!?」
「ぐはぁ」
お父さんは吐血する。
「やはり投げた剣は本物か・・・」
「フッフハハハハさっき実験済みだからな・・・聖剣エクスカリバーは賢者の石に抗えるとな・・・」
それを知っていたお父さんは私とお母さんを守ろうと・・・
「なるほど王にしては随分と汚い手を使うものだな・・・ガハァ・・・」
ボタボタと大量に血が流れ落ちる。
「あなた・・・今治癒魔法を・・・」
「そんなことより・・・アインジュ・・・杏雛と一緒に逃げろ・・・うぐっ」
お父さんはお母さんの魔法を拒否する。
「いやよ!!」
「馬鹿な男よ」
アーサーはお父さんを蹴り飛ばし私とお母さんから遠ざけお父さんから剣を引き抜く。
引き抜かれた穴からは滝のように血が溢れていた。
「お・・・とう・・・さん?」
「杏雛?」
「いやぁぁぁぁぁぁ」
「待って杏雛!!駄目!!」
私の意識は真っ白になりどこか違う世界へ行ったような感覚になった。
いやぁぁぁぁぁぁ(゜∀。)
( ^o^) ヒョエー !!!!!!!!!
_( _︶⌓︶ )_ぐはぁ
ハハッハハッハハッハハッハハッ( ´ ▽ ` )