第十五幕 存在理由
「ふっ・・・そんな魔力で我を倒そうと?」
「・・・」
魔力を溜め詠唱を唱えるカナリア。
「一つだけある・・・」
「まさかとは思うけど・・・」
「そのまさかよ・・・止めることは出来ないけど影響を無くすことはできるわ・・・私準備しないといけないからあなたは杏雛と夏奈をここに連れてきて」
「なんであの二人を?」
「だって近くに居ないと他の聖戦参加者に殺されちゃうかもしれないじゃない」
「はいよ~すぐに連れてくる」
久しぶりに唱えるな・・・この魔法・・・
使うなんて思わなかったけど・・・
「神よ天門へと続く道を開くことをお許しください」
「我はまだ神に会いたいとは一言も言っていないが・・・ふっふははは・・・愛され聖戦とやらを中止にしてまで自分の命が大切か?まぁ賢明な判断だと我は思うがな」
「・・・神をあなたなんかに会わせるわけないじゃない・・・」
世界は眩しい光に覆われる。
「間に合ったかな」
杏雛と夏奈を抱えたエイスが私の横に立つ。
「アークバビロンの権利により天門へと続く道へ転移」
完全に光に包まれた時・・・上に引っ張られる感覚と共に別の所へと移動する。
「死ね!!アーサー!!」
魔法の詠唱を終えたカナリアが魔法をアーサーに向かって放つ。
「ふっ・・・そんな限界のある魔法で我に死ねと?死ぬ方が難しいと思うがな・・・」
「シネシネシネシネシネシネ!!!!!」
魔法陣から光の柱が現れ、それはアーサーを包み込んでいた。
「間に合った・・・かな」
「アーク・バビロンにのみ許された魔法・・・神の領域の手前の場所・・・天門へと続く道・・・そこへ移動する唯一の手段・・・」
杏雛と夏奈にはひとまず影響は無さそうだ・・・
問題はアーサーとカナリアか・・・
~アーサーとカナリア~
「はぁ~はぁ~」
魔力を極限まで高めて放った一撃・・・これで・・・
「我をこの程度の魔法で殺そうと?くすぐったくもない・・・残念だ・・・所詮魔女もこの程度と言ったところか」
魔女・・・そんな・・・そんな呼び方して!!
「魔女と呼ぶな!!」
「所詮愛する者を失った家畜に過ぎぬのだ・・・価値などとっくに無い」
「うるさい!!」
「憎しみだけが貴様の存在理由とするならば・・・貴様はこの世のオモチャに過ぎない・・・言っている意味はわかるか?」
何が言いたいの?何してるの?憎いただただ憎い・・・だから・・・だから・・・
「くだらぬ・・・過ぎたことをそのようにひきずっているゴミみたいな人生で果たして貴様の存在理由などあるのかどうか・・・答えはすぐそこだ」
嫌だ嫌だ・・・認めたくない・・・私に存在理由は・・・あの人が居なくなったこの世に私は・・・
「カナリア!!」
私の名前を叫ぶ声が聞こえた。
それは全てを包み込んでくれるような・・・
「カナリア!!私はカナリアが間違ってるとは思わない・・・けどまずはカナリア自身が幸せにならないと・・・」
「・・・夏奈」
「ふっ・・・醜い・・・感情に囚われる人間なんぞ所詮チリのようなものだ」
アーサーは金色の剣を高く上げそれを一気に振り下ろす______
久しぶり┏( .-. ┏ ) ┓