第一幕 愛されの儀式
「杏雛!!学校行こー!!」
「うん!!」
私の名前は佐々村 杏雛・・・ごく普通の中学生・・・
「行ってきまーす!!」
「はーい」
挨拶も済ませ家を出る。
「今日の体育バスケだよ」
「そういや夏奈はバスケのシュートだけ苦手だったね・・・」
灰村 夏奈 私の親友でとても仲の良い幼稚園からの付き合い。
「私って変だよねードリブルは上手く出来るのにシュートは必ず外すんだもん・・・」
「その代わりドリブルは1人で何人も抜けるから突破力はあるよね」
「はぁ~杏雛は何でも出来るから良いよね〜」
「え?別に何でも出来る訳じゃないよ・・・たまたま得意なだけだよ」
「その台詞言ってみたい・・・」
「え?」
夏奈は私にとって憧れでもあった・・・
夏奈は誰とでも変わらずに会話が出来る・・・しかし私は特定の人としか上手く話せない・・・
どんな人とでも話せる夏奈が羨ましいな・・・
「どうしたの?杏雛?」
「ふぇ!?え?いや何でもない」
「ふ~ん・・・あ・・・嫌なこと思い出すようだけどさー明後日アレだね・・・」
「・・・うわぁー!!アレの話はー!!」
アレというのは月に1度行われる儀式のことだった。
「順番的に私達だねー杏雛!!」
「なんで夏奈は平気で居られるの!?」
「いやー別に嫌では無いからな〜私は・・・大丈夫だって私とペアになれば問題無いよ!!」
「へっ!?」
「顔赤くなってるぞー杏雛・・・本当に顔に出やすいな~杏雛は・・・そういうところも可愛いな
「な、なんか言った?」
「なんもー」
儀式の名前は『愛されの儀式』昔の言い伝えによると神に愛されようとした人間がいたらしい・・・そして神に愛されれば願いが叶うという古くからの言い伝え・・・その言い伝えは儀式となり年頃の女の子を集め月に1度行われる。
問題はその儀式の内容にあった・・・
ハラハラしながら儀式当日・・・
私と夏奈がペアになった。
「よかったね杏雛!!一緒のペアになれたね!!」
「夏奈色んな人に誘われてたのに私で良いの?」
「ん?いやー杏雛じゃないと私は嫌だったから」
「っ////」
最初はただペアで炎の周りで踊るだけなのだが・・・
あるタイミングである事するのだ・・・
「そろそろだね杏雛・・・」
「う、うん/////」
そして今まで鳴り響いていた音楽が止まり炎も消される・・・暗い中ペア同士で_____
「ちゅ」
「んっ///」
口と口を合わせるのだ・・・
指と指を____舌と舌を絡め・・・
「はむっ/////」
「んんっ/////」
夏奈は長い黒髪を揺らしながらただひたすらにキスをしていた。
私はそれにつられ長い白髪を揺らしていた・・・
夏奈は可愛いし憧れの存在だ。
この感情は何なんだろう・・・心の中がモヤモヤする感じ・・・これは・・・
長く感じたキスは終わり再び炎が灯され音楽も鳴り始めた______
愛されの儀式は他にも言い伝えがあった・・・
遥か昔・・・禁断の恋をしてしまった女の子2人がいました。
その2人はお互いに愛していたのですが同性愛は禁忌とされていました・・・
そこで永遠愛し合えるように儀式を開いたそうです・・・何故暗い中キスするのかと言うと・・・他人に見られたらお互いに愛し合っていることがバレてしまうから・・・という言い伝えもあります・・・
「終わったねー杏雛・・・」
「う、うん・・・」
夏奈は平気なのだろうか・・・キス・・・
私は緊張というか・・・何だか無意識の内に体が熱くなった。
夜遅くに行われる儀式のため周りが電灯の光でしか明るさが無かった。
そのため集団で帰るのだが私と夏奈は他の人たちとは逆方向に家があるため集団で帰ることが出来ず2人で帰ることにした。
「夜の住宅街怖いよね〜」
「うん・・・暗くて何があるかわからないもんね・・・」
暗い道を歩いていると向こうから1人の男の人が歩いて来た・・・
少し警戒しながらも横を通り過ぎようとしたとき・・・
「ほぉ~愛されの儀式か・・・」
「え?」
「神に愛され願いを叶えるつもりか?」
「えっと・・・何の話ですか?」
「杏雛・・・この人誰?」
「わ、わからない・・・」
金髪で高校生くらいの歳の男の人・・・外人にも見えるけど・・・
「知ってるだろ?古い言い伝え・・・」
「はい・・・まぁ・・・」
「神などに愛されて何が変わるのだろうな・・・」
「・・・」
この人は愛されの儀式のことについて詳しく知っている・・・そんなような気がする・・・
そしてこの人の口振りからすると神様が本当にいるということになる・・・
「もっと話していたかったが離れていろ・・・」
「え?」
「ちょ!?」
私と夏奈は男の人に突き飛ばされた。
すると男の人は1本の黄金に輝く剣を持っていた。
そして・・・
「ふっ・・・ランスロットか・・・ここまで何をしに来た・・・」
「アーサー・・・お前を殺しに来たんだよ!!」
アーサー?ランスロット?
え?どういうこと?
金髪の男の人の剣と突如現れた男の人の剣がぶつかり合い甲高い音を鳴らしていた。
「我を殺す?ふっ・・・笑わせるな・・・お前に我を殺せるのか?この不老不死になった我を・・・」
「お前のせいで何人もの犠牲が出たと思うんだ!!」
「犠牲?あんだけのモノのために戦っているのか?1人でか?それで勝機はあるのか?」
「俺がお前を殺すのに1人でくると思うか?」
「だろうな」
その時金髪の男の人の後ろに突然槍を持った人が現れ槍を振りかざす。
しかし金髪の男の人は全く動かず、ただ左手に持っていた黄金に輝く剣を背中の鞘に剣を収めるかのような構えで槍を受け止めた。
「くそっ・・・」
「残念だったな・・・ライオネル」
「アーサー・・・お前左利きだったか?」
「貴様らに利き手を使う必要はない・・・」
「なっ・・・」
「手加減をしてやると言ってるんだ・・・感謝しろ」
壮絶な戦いが目の前で起き体が全く動かず腰が抜けてしまったのか立つことすら出来ない・・・
それは夏奈も同じのようだった。
「馬鹿にしやがって!!」
「ふっ」
金髪の男の人が笑った瞬間、間にもう1人現れた。
その人は両手に持った剣で1本の剣を受け止めていた。
「ここまでにしたらどうだ?ランスロット・・・」
「ガウェイン・・・貴様・・・」
「まだやるのか?ならば俺1人で2人相手にしてやる」
「ガウェイン・・・なるほど・・・お前も俺らとやりあえるまでの力を手に入れたというわけか」
「・・・ランスロット・・・俺の気が変わらない内に立ち去れ・・・じゃなければ今すぐにでも俺はお前を殺すかもしれない」
「去るぞ・・・ライオネル」
「あぁランスロット」
一通り戦いも終わったらしく2人は消えて居なくなってしまった。
「愛されの儀式をした貴様らにどんな未来が待っているかほんのばかり楽しみだ・・・まぁ頑張ってくれたまえ」
アーサーと呼ばれていた男の人とそれに付いていた人は一瞬にして目の前から消えた。
夢や幻覚だったのかと疑っていたけど・・・でもこれは・・・現実なのだろう・・・
あのあとしばらく動けなかったけど夏奈と頑張って家に帰宅することが出来た。
夏奈とは家が隣同士で最後まで帰りが一緒だったのだ。
「ただいま~」
「おかえりなさい杏雛・・・疲れてるようね早めに休んだらどう?」
「うんそうするよお母さん・・・」
明日は学校休みだし・・・ゆっくり休める・・・
私は早い内に眠りについた。
次の日・・・
私はベッドの上で寝返りをした。
すると、ゴツっと頭同士をぶつけるような音が聞こえる。
「「痛っ!!」」
2人の声が重なった。
私は昨日1人で寝たはずなのだが・・・
それに私とお母さんとお父さんしか居ないしお父さんは仕事で朝早くに居ないしお母さんは家事で忙しいから早く起きてるし・・・・じゃあ誰!?
私は起き上がって確かめようとする。
起き上がると私と同じタイミングで向こうも起き上がって来た。
まだ眠たいため目が完全に開かないが薄らと開けた目で見たのは鏡に映った自分を見てるようだった。
「ふぇ?」
「おはよ〜」
「え?・・・お、おはよ〜」
「でもまだ眠いから寝よ?」
「ちょっと待って!!寝ようじゃなくてあなたは誰!?」
「え?・・・私は佐々村杏雛よ」
「それは私!!って寝ないでよー!!」
既に二度寝に入っていた。
寝るのが早い・・・私と同じだ・・・人の話も聞かないで寝るなんて・・・
私も眠い・・・寝ちゃおうかな・・・これは夢かもしれないしね・・・うん・・・寝よう・・・
私もベッドに横になり二度寝した。
夢の中______
「ひゃぁ///」
「おいひひょ~な耳〜」
「あっ///ダメ・・・ダメだってば〜」
現実_____
「ひゃぁ///」
「おいひひょ~のにきゅー(肉)〜」
「あっ///ダメ・・・ダメだってば~」
「むにゃむにゃ」
「はっ!!///なんて夢を見てしまったんだ!!///」
横には夢だと思っていた存在が寝ていた。
この人が何なのかはわからないけど何だか嫌な予感がする・・・
ベッドに涎垂らされてる・・・酷い・・・
「豚にきゅがどっか行っちゃった〜」
「誰の耳を豚肉と言ってんだこいつは・・・」
しかし・・・昨日の帰り・・・あれは紛れもない現実で起こったこと・・・あれが何だったのかは定かでは無いけどキーワードとしては「アーサー、ランスロット、ライオネル、ガウェイン・・・」どれも共通点はアーサー王伝説・・・そして黄金に輝く剣・・・後は人間関係・・・
全部当てはまるような気がする・・・
でもわからないのはアーサーとランスロットが敵対している意味・・・最後はランスロットがアーサーを裏切ってアーサーを殺す話だけど・・・アーサーに何だかの変化が起きて敵対する時間軸になった?それで過去から現代に来た?
「ははは、どこの漫画やアニメの世界だよ・・・そんなの無い無い、よ〜し朝ごはん食べよ~」
私は下のリビングへと向かう。
「お母さんおはよ〜」
「おはよう杏雛・・・朝ごはん出来てるわよ」
「わ〜いありがとうお母さん・・・いただきます」
食事の時間程安心する時間は無いと私は思うんだ・・・その事を夏奈に話したら
「杏雛って食べるの好きだもんね」
って言われてしまった。
確かに私は食べるのは好きだけど・・・それじゃあ年がら年中食べてるみたいじゃん・・・
軽く食事を済ませて私は2階へと上がり自分の部屋の中を確認する。
「やっぱり居るんだ・・・」
まだベッドの上で眠っている良く分からない人物がいる。
「お~い!!起きろー!!」
「んん!!うるさいな~」
「起きなさいよー!!」
「ふぁ~ぁ・・・あ、おはよ〜杏雛」
「あなたは誰?」
「私はアンジュ・・・アンジュ・アーク・バビロン」
「え・・・誰?」
「ん~なんて説明したら良いんだろ?」
悩んでいらっしゃる・・・
「神に愛されるための手伝いをするために佐々村杏雛の分身として戦うことになる・・・それだけだよ」
「神に愛されるための手伝い?それって私が神に愛されるための?」
「うん・・・杏雛以外に誰が居るの?」
「え~っと・・・訳わかんない」
「まぁ〜理解するのは難しいと思うけど近い内に理解出来るよ」
何が起きてるのかはわからないけど・・・最近起こったヘンテコなことが関係してると思う・・・
アーサー王とか・・・愛されの儀式とか・・・
「あれ?」
とんでもないものを軽くスルーしてるような・・・・
「どうかしたの?杏雛・・・」
「あのさ・・・私の分身として戦う?分身だから名前が一緒なのは良いんだけど・・・戦うって何?」
「ん?あぁそれね・・・知りたい?」
「知りたいも何も1番重要なところだと思うんだけど・・・」
「それじゃあ説明しようか・・・」
まず愛されの儀式が神に愛されるための儀式だと言うのはわかるわね?
それでその儀式によって神に愛されるのは1人・・・何十人に1人・・・そしてその愛される1人を決めるのが《愛され聖戦》
この戦いは自らの分身同士で殺し合いさせて勝った方が神に愛される・・・生き残りの戦い・・・分身が死んだ人は今までの愛されの儀式に関わった記憶が全部消える。
「大丈夫よ分身の元になったあなた達が死ぬ訳じゃ無いから・・・」
「でもあなたが死ぬんでしょ?」
「そうよ・・・でも私は人間では無いしそもそもあなたの分身なのだから死んでも問題は無いわ」
「何だか凄い複雑な気持ちなんだけど・・・」
「まぁ良いわ・・・説明を続けるわよ」
愛され聖戦だけど・・・愛されの儀式を行った者全てに参加権限がある・・・
つまり愛されの儀式に参加した数十人の人と戦わなければいけない・・・そしてその数十人の中にはあなたのお友達も含まれているわけよ・・・
「待って!!それじゃあ夏奈と戦わないといけないの!?」
「勿論あなたに戦う意志が無くても向こうに戦う意志があれば戦うしかないわ・・・」
「夏奈に限ってそんなことは無いと思うけど・・・」
「無いとは言い切れないわよ・・・願いというのは人を変えるものよ・・・その願いが叶うのだからもっと人が変わってもおかしく無いじゃない・・・」
「そんな・・・」
「いつかわかるわよ・・・相手の考えが・・・っ!?」
「どうしたの?」
「しゃがんで!!」
「え!?」
私は混乱しながらも言われた通りしゃがんだ。
その瞬間・・・私の部屋の上半分が斜めに斬った竹のような落ち方をした。
「え・・・?何これ・・・」
「早速だけど敵よ・・・」
「て・・・き?」
「そう・・・」
彼女・・・アンジュはいつの間にか両手に剣を握っていた。
何があったのかを整理すると・・・
敵が来てその敵が家ごと私達を倒そうとした・・・そしたら家が・・・綺麗に斬れた・・・