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戦の華  作者:
4/8

取引

沈黙に紛れて、そこには、かつて男子と口喧嘩をしていた「アテナ」の姿があった。


焦っている。


確実に焦った顔。


その証拠に、机に積み上げられたプリントたち。


「………なんですか」


彼女は、じっと凝視している私に気づき、ぶっきらぼうに言った。

「あたしに用件があるなら、10秒以内にお願いしますよ」

「え、ええと。私、土木華純っていいます」


「あー、自己紹介なんて興味ないわ。それを聞いて、あなたと私にメリットがあるというなら別ですが!」

彼女はそう言うと、鼻で笑った。


何だろう。この優越感は。

自分より上の人間の失敗を見つけた時に、むき出しになるブラックな感情ー


「まあ、そうですが何か。あたしは今まで一度も、忘れ物という災難を体験したことがないんです。麻倉美明としてーいつでも完璧でいなくてはいけませんから」


「その完璧な麻倉さんが………」

「ええ。でも、こういう時でこそ、冷静に居られるのが麻倉美明ですから」


麻倉さんがそういい終わった時に、ちょうど5分前のチャイムが鳴った。


「えっと、あのー、麻倉さん。私、そのプリント持ってるかもです」


私は、1枚余計に貰って、引き出し奥に詰め込んでおいたプリントをふと思い出したのだ。

_______________________________

授業が始まった。麻倉さんの手元には、3つ折にされたあとが残ったプリント。


つまり、それは私と麻倉さんとの取り引きが成功したことを意味している。


私からは、理科プリント。麻倉さんからは、このクラスの最新情報。


別に悪くない取り引きだ。これは個人的な意見だが………。


________________________________


「ありがとうございました。あたしは基本的に嘘は嫌いですが、まあ、こういったスリルも体験しないと味わえないですからね」

麻倉さんはそう言い放つと、腕を組んでいすに座った。


はいはい、素直じゃないんだから。


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