土木華純
「………藍色、ですか」
私の口の中からほろりと声が漏れた。
小豆色、檸檬色、藍色のリボン。
小豆色はトップレベルの証拠。
檸檬色はその次。
藍色はまたその次。
もうお分かりだろうか。
私、土木華純は、様々な分野へのエリート排出を目的とした改築仕立ての私立学校ー井草小学校の児童として迎えられたのだ。
「まあー」
担任はそう言いながら、私の藍色リボンをちらりと横目で見た。
「まあー、藍色だからと言って、差別されることはないし、小豆色の児童が特別な優遇を受ける訳でもない。ただね、小豆色の児童にはなんというか、モチベーションを維持していて欲しいんだよ」
「………モチベーション、ですか」
私は藍色リボンをフライトアテンダントの様な制服につけながら、ぼやいた。「………藍色、ですか」
私の口の中からほろりと声が漏れた。
小豆色、檸檬色、藍色のリボン。
小豆色はトップレベルの証拠。
檸檬色はその次。
藍色はまたその次。
もうお分かりだろうか。
私、土木華純は、様々な分野へのエリート排出を目的とした改築仕立ての私立学校ー井草小学校の児童として迎えられたのだ。
「まあー」
担任はそう言いながら、私の藍色リボンをちらりと横目で見た。
「まあー、藍色だからと言って、差別されることはないし、小豆色の児童が特別な優遇を受ける訳でもない。ただね、小豆色の児童にはなんというか、モチベーションを維持していて欲しいんだよ」
「………モチベーション、ですか」
私は藍色リボンをフライトアテンダントの様な制服につけながら、ぼやいた。
そのわずか10分後、私は教壇の上で意識を失っていた。
頭が真っ白になるという事は、こういう事なのかもしれない。
眼に映るのは、小豆、小豆、小豆、一欠片の檸檬。
今の私の眼は、藍色という一つの色を認識できずにおり、ただひたすら後ろの黒板を凝視することしかできなかった。
「………では、 小田の後ろに座りなさい」
担任は静かにそう言うと、空っぽの席を指差した。
「はい」
そこは、窓際の席で、隣には檸檬色ネクタイの男子が一人、座っていた。
無言で椅子に座ると、一気に今までの記憶が蘇ってきた。
それは同時に恐怖も運んで来た。
そして、私はその日のうちに、この学校は到底私には合わないという事を実感するのであったー
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