第1章
これはもしや、私だけだろうか。
チャイムの音が、ホラ貝が唸る声に聞こえるのは。
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私がまだ幼い時、父に連れられて、ホラ貝を採りに行ったことがある。
あの時の感動といえば、簡単に忘れられる程度では無かった。
あれから7年の月日が経ったー
第1章
まず、その小学校は生気が無かった。
別になくとも、学力に影響の無い物は排除してしまおうという精神に基づいている様だった。
そんな訳だから、児童の絵や写真が飾られているはずもなく、クリーム色の壁はがらんとして見えた。特に、運動場は鉄棒とプールしかないという酷い有様であった。
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「では、土木 華純君で間違いないね?」
「はい」
私の名前は土木華純。(とき かすみ)
私のあだ名は土木華純。(どぼく かすみ) これには、さすがの私も参ったものである。
担任は真新しい名札に、私の名前をすこし角ばった、それでも大きな文字で書いてくれた。
井草小学校 6年1組 土木華純
ーいい響きである。
「………それから、これ」
担任はそう言って、机の中から藍色のリボンを一つ取り出した。