シューズとサポーター
「はい」
いい笑顔で松山が差し出してきたのは、全体的にネイビーで紐が薄い水色のシューズだった
「かっ可愛い!!」
私は目を丸くして受け取った
「よかった~お気に召したかな?」
私は思い切り頭を縦に振る
「はい、これはサポーターだよ、膝と肘用」
「?前のでいいのに」
松山が昔使っていたサポーターを貰い受け、練習の時に使っていたが、松山は、新しいのをくれるみたいだ
「流石にあんなボロいのは卒業したいだろ?」
苦笑いする松山に、私は素直に頷く
「今日から滑り込みの特訓入れていこうか」
松山のいい笑顔が炸裂した
「明日が楽しみだなぁ~」
「あんたが楽しみにしてどうすんの」
真新しいシューズを履いて、珍しくワクワクした
今日か……今日かぁ
いつもより爽やかに感じる朝は、赤とピンクの部屋から始まった
黒で無地のTシャツを着て紺色のジャージを着て、ゴールデンレトリバーのマリアを散歩に連れてランニングする。
花に水をやり、身支度を済ませる
なんだかんだいって楽しみにしてる自分がいた
学校に登校すると、松山がニヤニヤしながら挨拶をした
その意図を察し、ため息をつくと松山が過剰に反応する、お前は楽しみじゃないのか?って?
「楽しみに決まってんじゃん」
松山は笑った
授業なんて上の空、ずっと机の中に入れたシューズの紐をいじってた
もう少し、後少し……
チクタク鳴る時計を凝視し、早く終われと念じた
キーンコーンカーンコーン
よし!鳴った
ふふふ、松山がこちらを見て笑ってるのに気づいて慌てて顔を俯けた
松山の車に乗り込み、2つ駅が遠い地域の小学校に向かう
「忘れ物ない?」
「ない」
「トイレは?」
「済ませた」
「準備「万端!」……よし、行こうか」
北川小学校と書かれた門を抜け、体育館の玄関に向かった
もう既に、ボールの振動が伝わり頬が緩んだ
「開けるよ」
松山が、スライド式のドアに手を掛けた