第51話
「薫帰るわよ!」
瞳の機嫌がいいことが声でわかった
と言うより朝からハイテンションだった
何か良いことでもあったのかな?
例えば朝茶柱が立ってたとか………
ないね
「どど堂本先輩!」
教室のドア付近から私を呼ぶ声がした
目をやると男子にしては背の低い可愛らしい顔の子がいた
夏服の襟の刺繍された緑色のラインから2年生だとわかった
「薫なら彼氏がいる。帰りな」
元希の口から絶対零度の言葉が発せられる
「うっ………」
男子生徒は肩を落とし帰って行った
「何のようだったなんだろう?とか思ってるんでしょ?!」
後ろから私に飛びついてきた桜は元希から影響を受けたのか人の心を読めるようになっていた
「まぁ……ね」
「薫…あの子は告白しに来たんだよ。それを元希が追い返したんだよ」
「おい健太…言い方が気にくわん」
「さぁ皆帰ろうか?」
ケン(呼び方変えたんだ♪)は元希の声をスルーした
「健太♪」
「はいはい」
ケンは瞳に手を差し伸べ瞳はその手を握り歩き始めた
「ほい」
「えへ♪」
元希と桜もケン達同様に歩き出す
『いいなぁ…』
心の中でそう呟いた
今私に手を差し伸べてくれる人はいない
1年半前は彼ら同様に私の愛する人が笑顔で手を差し伸べてくれてた
そのことを思い出すと少し寂しい……
ダメダメ!
寂しがらないって決めたんだから!
彼等を追いドアから廊下に出ると蒸し暑かった
「暑いなぁ……」
高校3年生の私達のところに……
「薫早く!ダッシュ!!」
もうすぐ………
「待ってよぉ」
夏は訪れようとしていた
「みんな〜!そっちは正門じゃないよ?!」
暑さにやられたのかな?
みんなが歩いてる方向は正門とは真逆の方向だった
ようするに裏門に向かっていた
「いいから付いて来て!」
瞳に睨まれる
「……はい」
もちろんこれしか言えませんから(泣)
裏門につくと前に見たことのある長ああぁぁぁい白い車があった
「さぁ乗って乗って。時間が押してるから」
『どういう意味だろう?』と思いつつリムジンに乗り込み瞳の横に腰を下ろす
「出して」
瞳の合図とともに発車した
皆それぞれパートナーと楽しそうに話していたため私は外の景色を楽しむことにした
空は青くその所々に白い小さな雲が漂っていた
空を眺め始めて20分も経つとさすがに飽きた
私は鞄の中から1枚の手紙と少し1枚の古い紙をを取り出し古い紙に書いてあるコトを読む読み始めた
『将来の夢はプロのバスケ選手になること』
これを見る度に彼を送り出したあの日を思い出す
次に手紙を読み返すのはこれで7回目だ
『薫…もちろん元気にしてるよな?俺は佐々木先生が驚くような早さで回復中だ。こっちの学校の連中ともなんとか仲良くやっていけてる。だけど時々無性に薫に会いたくなる……会ってこの手で思いっきり抱きしめたいという衝動に駆られるんだ。だから薫と再会した時は思いっきり抱きしめるから覚悟しとけよ?』
読み終え顔を上げるとみんなが私を見ていた
「そそいえば今どこに向かっているの?」
手紙の内容は皆知っている……訂正させてください
勝手に瞳が見てみんなにバラしました
だから恥ずかしいので話題を手紙にもっていかれないようにしようと焦っているのです
「薫だけは秘密♪」
瞳……
暗に私以外みんな知ってると言いたいんでしょ?
なんか虚しい……
「じゃ良いこと教えてあげる」
「え?」
落ち込む私に瞳は優しく言う
「薫に見せたいものがあるの」
その発言と同時にリムジンは止まった




