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RAN&JUMP  作者: 月明かり
39/53

第39話

「海だねぇ…」


「海ですねぇ…」


膝の痛みが悪化してはいけないという薫の考えで砂浜に行くためにある階段に座り休憩中



「タクちゃんは覚えてる?私たちはまだ小学生で親たちと海へ来たときにのこと」


「覚えてる」


たしか……


「私が溺れたんだよね」


うん

そうそう


「あれは焦ったな。少し離れたところ薫が泳いでると思ったら波に飲まれて消えたんだから」


薫はこちらをみて苦笑する

すぐに視線を海に戻す

俺も視線を海へ戻した


「あの時ね…私は死ぬんだ……嫌だな…死ぬのは怖いなって思ったんだ。でも水中で暖かい手が私の手を掴んで海面まで引っ張ってくれたんだよね」


今度はニコニコと笑いながらこちらを見てくる


「今もそうだけどあの時私を助けてくれた拓也は特別格好良かったよ」


「サンキュー…」


嬉しいような恥ずかしいよな感じだ


…………。


ちょっとまて



「今なんて言った?」


聞き間違えじゃないよな?


「特別格好良かったって……」

顔の温度が急上昇

じゃなくて!


「その前!俺のことなんて呼んだ?」


薫は顔を赤くして固まる

どうやら聞き間違えではなさそうだ


薫は立ち上がり砂浜に向かって歩き始める


海と階段の半分まで行ったところで体をこちらに向ける


「私は小さい頃から『タクちゃん』って呼んでた!でもね……でもね!私はちゃんと貴方のことを……『拓也』って名前で呼びたいの!!」


顔を真っ赤にしながらも自分の思いを叫んでくる

そして座っている俺の前まで歩いてきて立ち止まる


「ダメかな?」


俺は横に首を振る


「ダメなんてことない。むしろ俺はそっちの方が嬉しいよ」


薫の頭を手でポンポンと軽くたたく


「ありがとう」


幸せオーラ全開で微笑んでくる







あの後2人で海を眺めながら過去を振り返った


幼馴染み3人で毎日一緒に学校に行ってたこと

帰っていたこと

遊んだこと



小学校卒業と共に薫の引っ越しに3人が涙を流しながら別れた


中学校で膝に怪我をし絶望する

そして薫との再会

喧嘩したけど最後は仲直り

薫は俺の心の傷を治しまた再会したときの約束をしアメリカに帰る


そして去年薫は俺のクラスに転入し1日目に事件を起こす

トドメには一緒に住むことになっていた


その後も色々あった

ケンたちが俺の背中を押してくれたおかげで恋人同士になった


クリスマスパーティーではベストカップル校内第1位に選ばれた



どんなことを思い出しても薫はいつも俺の傍にいたような気がする


《ピリリリ》


携帯が鳴る

画面を見ると瞳からだった


「もしもし?」


《今から外に出るから戻ってきて》


「わかった」


電話を切りポケットにしまう


薫は俺に手を差し出してくる


「拓也みんなのとこに帰ろう!」


「あぁ」


差し出された手を握りもとの場所へ戻ることにした

歩くこと数分たった時に冷たい白いものが空から降ってきた



「雪だ」


そう言って立ち止まり微笑む薫はまるで天使だった

左手にはプレゼントした指輪がつけてあった


「薫」


「なに?」


「愛してる」


「私もだよ」


そっと唇を重ねる


再び歩きだし待ち合わせ場所の前にある横断歩道まできたとき俺は薫の手が赤くなっていたことに気づいた

だから後ろにある自動販売機でホットコーヒーをカイロ代わりに買うことにした

ちょうど信号は青だった


「薫先に行ってろ。コーヒー買ってくるから」


「うんわかった」


握っていた手を離し薫は周りにいる大勢の人たちと向こう側へ歩き出した


「さっさと買うべ」


後ろを向き自動販売機にお金を入れコーヒーを2つ買う

再び振り返ると信号は赤になっていた

向こうでは薫はみんなと合流しこちらに手を振っている

軽く手を振り返し信号が青になるのを待つ


チラリと横を見ると少し離れたところにバスケットボールをもった小学3年生くらいの男の子が母親の後ろを歩いていた

男の子の隣には同じくらいの年の女の子がいた

昔の自分たちに重なりつい微笑んでしまった


不意に男の子がボールを落とし拾おうと道路に飛び出した

横からはスピードのでている車が迫っている

持っていた缶を投げ出して男の子めがけ走り出した



「危ない!!」


後ろで女の子が叫ぶ


そして…………

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