第38話
「どこに行くんだ?」
移動中の車内で目的地を知っているであろうケンに質問する
だがケンは首を横に振り苦笑する
「今回は僕も知らないんだ。聞いても教えてくれなかった」
ため息をつきながら外に目を向ける
天気は快晴で雲1つ見あたらなかった
「つきました」
運転手の言葉と同時に車が止まる
そして車から降りた俺ら幼馴染3人が
《ピシッ》
という効果音があうような感じに固まる
到着した場所はある有名な動物園だった
べつに固まったのはその動物園が有名だからではなく動物園ということに問題があった
「おい…何固まっている?」
もう1つの車から降りてきた元希が怪訝そうな顔つきでいってくる
「いや〜………ね」
ケンが困ったような笑顔で俺を見てくる
わかりましたよ
俺が言いますよ
「ちょっと!固まってないで早く中に行くわよ?」
説明するから待ってくれ
「実はその……」
「ハッッッキリと言いなさいよ!」
瞳の叫び声に回りの観客はこちらを振り返るが瞳から発せられる威圧感に見て見ぬ振りをしそのばを逃げるように去っていった
桜と元希は他人のフリをしてる
薄情な奴らめ……
「はぁ……実はコイツが生き物全般がダメなんだ」
俺の右手に絡まっている薫を指差す
「「「え!?」」」
これは予想外と言わんばかりの顔をする他3人
「ごめん……」
絡めている腕にさらに力を入れて締め付けてくる
痛いから……
とてつもなく痛いからね(泣)
「どうする?」
「桜の言うとおりどうする?」
他人のフリをやめたと思いきや尋問かこの野郎共
でもどうすっかな?
ってコレしかないよな
「4人で行ってきたな。その間俺らは観光でもしてるからさ」
場の空気を和らげようと笑顔で言ってみた
「わかった。じゃ見終わったらで連絡入れるからすぐにここに帰ってきてよ?」
「了解!薫行くぞ」
体を反転させ横断歩道渡り………
観光スタート!
「どこ行くの?」
はい全くその通りですね
周りに何があるかわからないし……困ったね
………ん?
聞こえた
微かにだけど…
《ザ…ザァー》
「「!!」」
薫も気づいたらしく微笑んでいる
「行くぞ」
「うん!」
薫の手を引っ張って走り出す
隣には大切な人がいる
ただそれだけでも幸せだ
自然と微笑む
それは薫も同じで……
俺は薫と一緒に居るとよくこんなふうに想う
ドコまでも走っていけそうな…
飛んでいけそうな……
そんな想いに…
しかし今回その想いは
《ズキン》
「っ…!?」
痛みによって消された
立ち止まり膝を凝視する
ヤバい……
最近無理してたりしてたからか?
それとも寒さのためか?
膝が痛い…
「タクちゃん?」
異変に気づいたのか不安な顔つきになっている
「大丈夫。少し休めば…………」
治ると言おうとした
途中で止め指さす
「あ………」
薫の目が輝き始める
「海だぁ!」
嬉しそうに声を上げ笑う
明るく優しい愛する人
「行こう」
痛みなど忘れ手をしっかりと繋ぎ歩き出す




