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RAN&JUMP  作者: 月明かり
16/53

第16話

「またくるよ」


「あぁ〜」


タクが入院して3日がたった

学校が終わると毎日お見舞いに行く

タクは笑顔だが目は悲しみに満ちていた

僕はそれに耐えれなかった

だから…………

「もしもし?……うん…………日曜日?………わかった…頼んだよ?」



ーーーーーーーーーーー


俺が入院て1週間がたった



『バスケはできないんだ』


ふざけるな!!

なんで俺がバスケをできない!?


「くそ!……………」小さな声で吐き捨てたその時だった


《コンコン》


ノックがした

寝ているフリでもしようかと考えたがすぐにその考えをやめた


「どうぞ」


返事をするとドアが開いた

そこには……………

「あ…………」


「久しぶりだねタクちゃん」


薫が立っていた


「どうして此処に?」


俺は困惑した


「ケンちゃんに話聞いたの。そして頼まれた……タクちゃん元気ないから会って励ましてやってくれって」


俺はケンに感謝などしなかった………むしろ怒った


誰にもこんな格好悪い姿を見られたくなかった

その証拠にケン以外の面談を拒否していた


「これお見舞いの花」


「サンキュー…そこに置いといて」


俺が指差した机に薫は花を置く


「なんかわざわざ悪いな」


なんとか笑顔をつくってみせた


でも薫は笑わない


「やめようよ……そんな悲しい笑顔するの………」


バレてる

俺は目線を下に落とす


「タクちゃん…なんでこんな風になるまで無理したの?」


薫は今にも泣きそうな声で聞いてきた


「お前には関係ないだろ……」


「関係なくないよ…私たち幼馴染みだよ?」




ストレスが溜まっていたこともあってつい口が滑る


「幼馴染みっていっても所詮は赤の他人だろうが!!」


自分でも酷いことを言っているのはわかってる…………わかってるけど止まらない


「ひどい……どうしてそんなこと言うの?」


薫は泣き出した


「ひどいよタクちゃん!」


「なにが酷いんだ?!俺は事実を言っただけだ!!」



そう薫に言い放つと薫は走って部屋から出ていった


そしてすぐにケンが部屋に入ってきた


「この馬鹿野郎!!」


殴られた


「何しやがる?!」「薫はタクのためにわざわざアメリカ帰ってきたんだぞ?!それなのに何だよ今のは?!薫にアタるな!!」



「………っ!」


アメリカから?

俺のために?


沈黙が1分近くながれた




「殴ったのは謝るよ……悪かった」


「もういいよ…さっきの俺はどう考えても殴られて当然だ」そんなことより早く薫に謝らないと


「薫はたぶん屋上だよ……早く行ってあげなよ」


「え?……あぁ」


なんでわかった?

まぁ〜いいや


「行ってくるよ」


俺は痛む足を引きずりながら屋上を目指した






現在屋上


薫…………発見!


「薫……」


「……なに?」


泣いてはいないが怒ってるね


まぁ〜当然か


「さっきは言い過ぎた。ごめん!!」



頭下げようとしてバランスを崩し座っている薫の上に倒れる




「「…………。」」



今俺らは抱き合ってる状態になってます

なんでかって?倒れる俺に気づいた薫がかばってくれたからですよ


「ご、ごめん!」


俺は薫から離れようとする……が薫は手を離さない


「か、薫?」


誰かに見られたらヤバいって!!


「タクちゃん……泣いていいんだよ?」


「え?」


「バスケできなくなって悲しくって……でも泣かなかったんでしょ?ケンちゃんは『タクの奴たぶん泣いてあんな悲しい目になったんだろう』って言ってたけどそれは違う……本当は泣いても膝は治らないと思って泣くの我慢してたんでしょ?」


「どうして………?」


泣いても膝は治らない

だから泣かないと決めていた

驚いた………

なぜ薫はわかったのだろう?



「目を見ればわかるよ……だって私たち幼馴染みだよ?」


笑顔で答える薫


「あぁ〜……そう…だった………な」


視界が段々とボヤケてきた


「泣いてスッキリしよう…ね?」「あ…………あぁ」


俺は泣いた

今までにないくらい泣いた

薫は泣いている俺の頭ずっと撫でてくれていた




「スッキリした?」


「うん…なんかスッキリした」


今は泣きやんで2人でベンチに座っている


「うん目がいつものように戻ってる♪でもどうしよっかなぁ」


「なにがだよ?」


「さっきタクちゃんが泣く前に私が泣かされたから、なんかしてもらおうかな」


うっ!言い返せない


「わかった…何をしてほしい?」


「う〜ん………じゃ〜今度再会したときに〜」


「したときに?」



「さっき私がしたみたい抱きしめて♪」


俺はベンチから落ちた


「なななな、何言い出しやがる?」


「はい指切り♪」


人の話聞けよ!

しかも指切りかよ!


「だめ?」


だぁ〜泣きそうな顔するな


「わかったよ!ほら」俺らは指切りをした

終わると薫は立ち上がった


「もう時間だから帰るね」


「え?」


「実は日帰りという約束で親から許可が下りたの」


「そうか……」


薫が帰る

なんか異様にむなしく感じる



「でも大丈夫だよ!来年には日本の何処かに帰ってくるから」


「何処かってどこだよ?」


「わからない……でもいつかまたこの町に帰ってるよ」



「その時にはもう約束忘れてるかもな」

悪戯っぽく笑った



「大丈夫!忘れられる前に帰ってくるよ………じゃ〜もう時間だから」


「またな薫」


「またね!タクちゃん」


最後に笑顔で大きく手を振って薫は帰った




俺は今、薫が居なくなった屋上に1人で居る

そして心から誓う


薫や大切な人になにかあった時


俺は…命に代えても守ると

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