第12話
「ここなの?」
「そうだ」
私と薫は拓也の用事がある場所に着いて驚いた
なぜならそこは拓也と健太が通っていた中学校だったから
「たくちゃん……此処にどんな用事があるの?」
私がしようとした質問を薫が先に拓也にする
「バスケ部のコーチ頼まれてんだよ…ほら行くぞ」
拓也はそう答えて早歩きで体育館に向かった
「さぁ〜声だしていこう!!」
「「「「はい!」」」」
私たちが着いた時にはすでに練習が始まっていた
拓也が来て嬉しいのかみんな笑顔になった
「椎名先輩」
そう拓也を呼びながら部長らしき子が拓也に近づいてきた
「膝の調子はどうですか?」
「大丈夫だ。完治に近い状態だ」
「本当ですか!?なら今日の紅白戦に出てもらえませんか?最後にどうしても3年全員が椎名先輩とプレーしたがってるんです」
え?最後?
「……よしやろう」途端に部員全員が笑顔になった
拓也ただいま着替え中……………終了
「タクちゃん…無理はダメだよ?」
薫はかなり心配しているようだ
「これくらいなら平気だ」
「大丈夫よ薫。拓也が倒れたら私がスグに救急車呼んで上げるわよ」
「倒れないって……それより俺の華麗なるプレーをしっかり見てろよ」
拓也はそう言ってコートに走っていった
ブザーの合図とともにボールが宙を舞う………それを拓也がジャンプをし味方の方へ叩く
ボールは見事に味方の手にわたった
私は今我が目を疑っている
なぜかって?
それは拓也が次々と敵を抜き去りゴールを決めているからだ
「拓也ってあんなに上手かったの?」
「うん♪凄いよねぇ〜。膝を怪我する前はダンクできたらしいよ?」
…………マジで?
薫は拓也がゴールを決めるたびに声を上げて喜んでいる
私はあの質問をもう一度することにした
「薫はいつ拓也に告白するつもり?」
「え!?いやその……」
薫の顔が真っ赤になった
「早めにした方がいいわよ…拓也を狙ってる娘なにげ多いから」
試合終了のブザーが鳴り響いた




