第五話 走るイメージ
―(吉岡新太郎)―
六月四日、土曜日。
待ちに待った体育祭、その当日だ。
「あ、母さん、オレ、多分友達と飯食ってくると思うから、飯いらないようなら電話するわ」
「分かったから、頑張ってきな」
「行ってきます」
玄関を出ると、雲ひとつない真っ青な空が頭上に広がっていた。
六月だけど、五月晴れとはよく言ったもんだ。
風も強くなく、太陽の日差しもそれほど熱くはない。
体育祭を開催するのに、本当にベストな状態だ。
こんな日は一年で数回もあるかないかだろう。
オレはバス停まで駆け足で行くことにした。
せっかくの天気なんだ、トボトボ歩くのは勿体無いじゃん。
学校に着くと、クラスにはボチボチ人数がいた。
「うぃーす! おはよう!」
「新太郎、今日は早いな」
「気分だ、気分」
自分の机にカバンを置きながら、友達と会話をする。
東西京高校の体育祭は、縦割りのクラス対抗戦だ。
一、二、三年生はそれぞれA、B、C、D、E組に分かれる。
この五つの組で競い、優勝組を決める。
オレや陽平、牧原はB組、綾人はC組で戦うってわけだ。
「おはようさん。新太郎、今日は珍しく早いな」
後ろから声をかけてきたのは、陽平だった。
普段なら図書館から帰ってきたところなんだろうが、カバンを持っているので今日は図書館には行っていない様だ。
「家にいるのが落ち着かなくてな。それより、お前こそ、今日は図書館に行かなかったんだな」
「さすがに体育祭の日に図書館は開かないんだって、綾人から聞いてたからな」
「開いていたら、行く気だったのか?」
「ん、まぁな。どうせ開会式まで暇だし」
「そうか。ま、とりあえず着替えに行かないか?」
「そうだな」
というわけで、オレたちはロッカールームに行くことにした。
東西京高校は、男女別にロッカールームが存在しており、各学年に一つずつ存在している。
体育などで着替えるときは、このロッカールームを使うことになっているのだ。
「ところでよ、陽平」
「何?」
「黒永のやつは、どうなったんだ?」
その瞬間、陽平はギョッとして、オレの方を向いた。
お前は何も言わなかったけど、落ち込んでいた理由ぐらいは分かるさ。
きっと、黒永が体育祭に参加しないって言ったんだろうな。
陽平は割りとおせっかいな奴だから、黒永を何とかして参加させようとしたはずだ。
「驚いていないで、答えは?」
「お前、何で?」
「あのなぁ、中学からの付き合いだぞ? 気づかないわけがないだろ」
綾人がのどに障害を負ったときもそうだった。
人の不幸や苦しみを、まるで自分のモノのように大切に扱っていたお前なんだ。
だから、オレや綾人は陽平の口から聞かなくても何で悩んでいるのか、分かるときは分かるのだ。
人の悩みをほじくり返すような真似をしたくなかったというのもあるが。
「……黒永さんは、参加するよ」
「ほほぉ、上手くいったのか、そりゃすげぇや」
着替え終わると、教室に戻るまで間どうやって彼女が参加することになったのかを聞いてみた。
陽平が話した内容はまるで冗談のようではあるが、彼がオレに嘘をつく理由もないので本当のことなんだろう。
しかし、話を聴いている内に一つ気になることができた。
「なぁ、どうしてなんだ?」
オレは隣にいる陽平に言った。
「ん?」
「どうして、そんなに彼女に関わろうとするんだ?」
陽平はオレから視線をはずして、廊下の窓から空を見上げた。
そこには朝から変わらず真っ青な空が広がっていた。
その空を一羽だけ鳥が飛んでいた。
ただ、飛んでいるのが分かる程度の大きさしか見えないので、何の鳥かまでは分からない。
「さぁ……どうしてだろうな」
視線は空に――いや、鳥にだろうか――向けたまま、陽平はつぶやいた。
その答えから思ったことは、こいつは自分の気持ちには鈍感なんだろうなということだった。
それから、教室に着くまでオレたちは無言で廊下を歩いた。
―(有賀陽平)―
『宣誓! 我々、生徒一同は、スポーツマンシップに則り、正々堂々と戦うことを誓います!』
グラウンドと校舎の間で、壇上に立つ校長先生に向かって、今年の生徒会長が選手宣誓をしていた。
グラウンドどころか、近隣住宅にまで聞こえるであろう声量がスピーカーから出てくる。
体育祭実行委員会は存在しているはずなのに、なぜ生徒会長が宣誓をしているのか。
牧原さんから聞いた話によれば、この体育祭は生徒会長選挙が終わった直後に行われる行事なので、生徒会長の顔と名前を改めて知ってもらうためということらしい。
ともかく、この選手宣誓が終われば、いよいよ体育祭が始まる。
『生徒会執行部生徒会長、二年A組、坂梨日降』
生徒会長が一礼して列に戻ると、全員で行う準備運動が始まった。
これが終わると、アナウンスで生徒は各応援席に戻るように言われる。
俺はポケットにしまっていた黄色のハチマキを取り出した。
各クラスにはイメージカラーがあり、それぞれA組は赤、B組は黄色、C組は緑、D組は青、E組は紫である。
黄色のハチマキを頭に結びながら、グラウンドを囲むように用意されている、校舎の前に設置された本部とは反対側にある応援席に戻る。
だが、B組の応援席に直行せず、C組の応援席に向かった。
数人からなるグループがおしゃべりをしていたが、彼女はその中で一人だけポツンとその場にいた。
俺は見るに耐えかねて、彼女に話しかけにいった。
「黒永さん」
「有賀、どうしたの?」
「ん、まぁ、ちょっとね」
あまり口に出来ることじゃないので、適当にそう言った。
だが、彼女は真意が分かったからなのか、ため息を吐いた。
「まぁ、いいけれど。そろそろ席に戻ったらどう?」
確かに、もうほとんどの生徒が席に戻ってきている。
一応、敵であるのだから、そのまま居座るわけにもいくまい。
B組の応援席に戻ってきた。
パイプ椅子の応援席には、すでに新太郎や牧原さんが座っていた。
「あ、やっと戻ってきたな」
「ああ、ちょっとな」
『ただいまより、本年度の体育祭を開始いたします。プログラム一番、百メートル走、プログラム二番、二百メートル走に出場する方は入場門にお集まりください』
「あ、私行ってくるね」
二百メートルに出場する牧原さんが、入場門の方に向かった。
新太郎は午前競技の花形である学年選抜リレーがあり、俺は障害物競走が待っている。
我が校の体育祭は、午前と午後で競技内容が大きく異なる。
午前は大体走る系統、午後は団体競技が多い。
そして、一人最低一種目、多くても午前と午後で一つずつまで出場できる制度なのだ。
『プログラム三番、四百メートル走に出場する方は入場門にお集まりください』
百メートル走を駆け抜けたクラスメートが続々と戻ってきた。
四百メートルの二つほど後の競技が障害物なので、少しだけ緊張してくる。
「ん、綾人?」
新太郎がそう言ったので、彼が見ている方向に顔を向ける。
そこには確かに緑色のハチマキを巻いた綾人がいた。
「どうしたんだ?」
俺は当然の疑問をぶつけた。
綾人はメモ帳を見せた。
『黒永さんがいない』
俺はその言葉を瞬時に理解した。
入場門に行ったからいないんじゃない。
立ち上がると、二人を放って駆け出していた。
「あ、おい!」
新太郎の叫ぶ声が後ろから聞こえていた。
まずは応援席を見て回る。
B組からA組、戻ってC、D、E組の順で探す。
だが、彼女の姿はどこにもない。
もしやと思い、生徒の家族用の応援席にいるのかと思い探してみる。
だが、体操服を着た女生徒は誰もいなかった。
そうこうしている内に、二百メートル走もいよいよ三年生が走る番になっていた。
三年生が走り終えれば、次はいよいよ四百メートル走だ。
ひょっとして入場門のところにいるのかもしれないと思い、そこまで行ってみる。
しかし、期待もむなしく、黒永さんはいないばかりか、彼女がいないために体育祭実行委員が大慌てだ。
ここにもいないとなると、残された場所は校舎の中しかない。
入場門から離れ、急いで校舎に入る。
全校生徒は全員外にいるので、とても静かだ。
俺は階段を駆け上がる。
きっと、彼女はあの部屋にいるに違いない。
なぜだか、そう確信できた。
第二化学実験室。
俺は荒れた呼吸を整えることなく、その部屋のドアノブを回す。
使われる予定のない日には鍵がかかっているはずだが、案の定、鍵は開いている。
扉を開け部屋に入ると、そこには予想通り、黒永さんが椅子に座っていた。
ただ実験中のときと違うのは、頭には緑色のハチマキを巻き、体操服に身を包んでいることだ。
その横顔は初めて彼女を見たあの日の顔と酷似しているようだった。
俺は声をかけるべきかどうか迷っていた。
汗が頬を伝って、流れ落ちる。
外では体育祭で盛り上がっているはずなのに、この部屋にその喧騒が届いていない。
異次元空間に迷い込んだ二人。
今の状況を説明するのに、ふさわしい表現だと思う。
「有賀、どうしたの?」
しかし、意外にも彼女の方から声をかけてきた。
「黒永さん、何やってるの?」
「ちょっと、イメージしていたの」
「イメージって、徒競走の?」
「そう、四百メートルを走るイメージ」
そう言って、彼女はスッと立ち上がる。
「ここなら、誰にも邪魔されずにできるから。あなた以外に」
そのとき、俺が考えていたのは、彼女が口にした“走るイメージ”についてだ。
たなびく緑色のハチマキ、駆ける細い四肢、そしてゴールを――前を見る目。
一体、どんなイメージを黒永さんはしていたのだろうか。
「もうすぐ私の番なんでしょう?」
「あ、ああ」
俺は呆然とたたずんでいた。
その横を黒永さんは通り過ぎようとしていた。
「有賀、ありがとう」
小声でそう言うのが聞こえた。
俺はそのまま通り過ぎていった黒永さんの背中をただ見ることしか出来なかった。
出場にはどうやらギリギリ間に合ったようだ。
俺は応援席に戻ると、新太郎たちにどうなったのかを説明した。
新太郎はまぁ、微妙な顔をしていたが、元から黒永さんに興味がないので、すぐに応援に戻る。
綾人も事情を聞いた後、C組の応援席に戻っていった。
途中で牧原さんも戻ってきた。
「もう、どうしてあたしが走っているところを見てないのよ!」
黒永さんを探している最中に、二百メートル走が終わっていたようだ。
このことで牧原さんからこれから数日間、ちょっと冷たくされるのだが、それはまた別の話。
「お、いよいよ黒永が走るぞ」
新太郎の声に、トラックの方に目をやる。
確かにカーブのところにあるスタートラインに彼女の姿があった。
トラックの内側からA組、B組という感じで並んでいるので、彼女はちょうど真ん中のコースだ。
「おい、あれ……黒永じゃないのか?」
「え、本当だ。あいつ、行事に参加するのかよ」
「でも、どうせビリだろ? 体育に参加したことないって話だしよ」
「相手は私たちB組が誇る陸上部のエースだから、負けるわけがないでしょ」
俺の周りにいるクラスメートも、その話の内容はともかく彼女の存在に気づいたようだ。
ちなみに、彼女と一緒に走るB組女子は玉環結衣さんだった。
玉環家は、かつて一大政党の代表を務めたこともある政治家、玉環龍治郎が築いた財閥が有名だ。
その龍治郎は今でも政治に影響力を持ち、“政界の竜”として恐れられているとか。
もっともそんな話、高校生の俺にはほとんど実感が沸かないのだけれども。
そんなわけで玉環さんはいわゆる金持ちなのだが、気さくというか話しやすい人だ。
細く結んだ一本結びが、彼女の動きに合わせてぴょこぴょこ動くのが見ていて楽しいのだ。
だけど今日の、眼鏡を外したその目には負けられないという気迫が映っている。
周りが言うように、彼女は陸上部に所属する実力者のはずだから、手は抜けないのだろう。
客観的に見て、運動が得意ではなさそうな黒永さんが玉環さんに勝つことは到底無理がある。
だけど、俺は黒永さんの勝利を祈る。
レース前にイメージトレーニングをするほど真剣な彼女に負けてほしくなかった。
スタートラインに立つ先生がピストルを構える。
「位置について、よーい……」
そう言っているように見えた。
その後、パーンと乾いた音がグラウンドに響いた。
同時に五人の女子が白線を越えて走り出し、一歩、二歩、三歩……と、加速していく。
その中でも飛びぬけて早いのは、やはり玉環さんだった。
だが、驚くべきことに黒永さんはビリになることもなく、他三人の女子と変わらない速さで走っていた。
今、彼女はイメージしていたように走っているのだろうか。
俺にはどんなイメージか分からないけれど、とにかく彼女は風を切る勢いで足を回し、腕を振っている。
いつもの黒永さんからは想像もつかない動きだ。
玉環さんは相変わらずその速度を維持し、残り四人も負けじと走り続ける。
その調子で順位に動きがないまま、二百メートル地点に差し掛かったときだ。
黒永さんが集団の中から抜け出したのだ。
その瞬間、周りの応援席から歓声が沸いた。
その歓声に応えるように、彼女はさらに加速をかけたのだ。
緑色のハチマキや結んでいない長い黒髪が後ろへたなびいていく。
抜かされた他の三人も懸命に加速をかけようとする。
しかし、二百メートルを走ってすでに体力が限界なのか、黒永さんを抜かせるほど速度が出なかった。
カーブに入る前は十メートルはあったであろう黒永さんと玉環さんの距離が、少しずつだが縮まっていく。
彼女のどこにあれだけの力が秘められていたのだろうか。
玉環さんとの距離は残りわずかの場面で、最後の直線に差し掛かった。
直線は残り五十メートルあるかないかだが、ここに来て黄色と緑色のハチマキが並ぼうとしていた。
「玉環、負けるなー!」
「黒永、頑張れー!」
ギリギリの勝負に応援にも熱が入る。
どっちが勝つんだ。
手に汗握る戦いの結末は……。
『順位の発表をします。一位、B組、二位、C組……』
僅差で玉環さんが勝ったが、思いがけない名勝負に、応援席から歓声があがる。
大気を引き裂かんばかりの歓声に、玉環さんは笑顔で手を振り答える。
四百メートルも疾走したのにも関わらず、疲れの色が見えなかった。
立役者となった黒永さんは、すでにその場にはいなかった。
『プログラム四番、障害物競走に出場する方は入場門にお集まりください』
っと、俺の出番か。
黒永さんは全力で頑張ったのだから、俺も頑張らないと。
走者にはどんな障害物が待ち受けているのか知ってはいけない。
これが障害物競走の決まりである。
そのため、障害物の準備をする前に走者たちにはスタート直前まで目隠しをしてもらうのだ。
歓声の中、一体どのような状況になっているのか全く分からないのだ。
「次、君の番だからスタートに立ってもらうよ」
隣にいるであろう実行委員の指示に従って、トラックに立つ。
そこで目隠しを外され、真っ暗な視界に光がさす。
「位置について」
先生の声が聞こえ、俺は前を確認できずに構えをとる。
「――よーい!」
パーンと乾いた音が響き渡り、俺は走り出す。
最初の障害物は何段か分からないけど、俺の胸ほどの高さの跳び箱がいくつか置かれていた。
この上を通っていけということだろう。
俺は助走をつけると、踏み台を踏んで、その上を跳んだ。
「ほいっ!」
無事着地し、再び走り出す。
他の走者もそうしたようだ。
周りを確認すると、どうやら俺が一位のようだった。
これならば、障害物で手惑わなければ、勝てる。
次に見えたのは、縄跳びが地面に置かれていた。
その近くにはこんな立て札があった。
『次の白線まで駆け足跳びで進むこと』
指示に従って、俺は駆け足跳びで前に進む。
ヒュンヒュンと空気を切る音が聞こえる。
駆け足跳びは慣れているならば、そんなに慌てないだろうけど、そうでなければ酷な障害物だ。
さて、次の障害物は……テーブルが置いてある。
白線のところで縄跳びを置き、テーブルに近づく。
その上には箸とお椀と、大豆が五粒載った皿があった。
そして、指示が書いてある紙が貼り付けてあった。
『箸で大豆をお椀に入れよ』
それを読んですぐに箸で大豆をつかみにかかる。
しかし、意外とこれが難しい。
つまむのだが、大豆がポロリと皿に落ちる。
他の走者も俺の隣に並んで大豆つかみを行うが、皆同じように苦しんでいた。
四粒を入れ最後の一粒をつまんだところで、青色のハチマキが駆け出した。
「げっ、しまった!」
オオーという歓声があがる。
ちょっと手間取りすぎたみたいだ。
俺は急いで残りを落とすことなく入れると、すぐさま青色の――D組を追いかける。
恐らくは次の、数的には最後の障害物で勝負は決するはずだ。
地面に落ちているのは、野球用の木製バットだ。
D組の奴はそれを立てて、額につけ、バットを軸にして回っていた。
これをすると、目が回るためまっすぐに走ることは出来なくなる。
俺も急いでバットを立てて、額をつけてぐるぐる回る。
立て札には『十回以上回れ』と書いてあるので、十回だけ回ることにする。
側に立っていた審判であろう体育祭実行委員が黄色の旗を揚げる。
それが、俺が十回回ったという証明であると気づくと同時に、バットから頭を離す。
あまりの気持ち悪さにそのまま地面に倒れそうになる。
「うえっ……」
だが、早くゴールしなければ。
頭を上げると、青いハチマキがフラフラと走っているのが見えた。
俺もその後ろを目指して駆けようとする。
コンニャクみたいにグニャグニャな体が右に左に動かないよう必死に抑える。
視線の先に、白いゴールテープが見えた。
だが、D組の奴は俺より一歩先にいる。
走らなくては。
自分で顔に一発ビンタを食らわすと気合が入った。
足に力を込めて、地面を蹴る。
まっすぐ走れなくてもいい。
とにかく、D組を抜かして、あのテープを切らないと。
「頑張れ!」
走る。
「陽平、頑張れっ!」
走る。
「有賀くん、頑張ってーっ!」
とにかく、走る。
みんなの応援を受けて、走らなくては。
「有賀、頑張って」
ピストルの音――気がつけば、俺はテープを切っていた。
体が前に倒れる。
膝がつき、腕で地面に倒れないよう支える。
「ハァ、ハァ……」
自分の吐息がうるさかった。
でも、一瞬だけ、この体育祭の歓声が無くなった気がした。
そして、そのときに聞こえた、透き通る声は――あの声は、きっと、黒永さんの声だ。
確信もないのになぜか、俺はそう思った。
そんなこんなで競技はどんどん消化されていった。
正直、俺にとってB組の勝ち負けはそんなに重要じゃない。
黒永さんが参加する、そのことだけでもう幸せだったからだ。
もう、今日の体育祭はどうなっても良い……。
こうして、今年の体育祭はA組の優勝で終わったのだった。
第六話へ続く