Episode007 共有する秘密
「最近お前秘密多すぎないか?」
それは些細な質問。得に仲の良かった友達が、仲の良い友達のカズに質問しました。
彼は、それはもうモテる男で、今彼は2人の女子に争奪戦を繰り広げられています。
でも、そんなことを知ってるのは、その時はまだ僕だけでした。
片方の女子と付き合っているが、もう片方の女子が好きだ。
―いったい、どうすればいい?
僕はそう悩みを打ち明けられてちょっと慌てました。僕はカズにそうアドバイスしました。
―いっそのこと、2人とも諦めろ。
その言葉を参考にしてくれたかどうか分かりませんが、カズにはそのような悩みが多々あります。
そのせいで、カズの印象が変わりつつありました。
「なぁ、誰と付き合ってんだよ。言ってよ」
本人に聞くのを諦めると友達は僕に聞いてきます。
「言えるわけねえじゃん」
「やっぱ知ってんだ。お前ってさ、何をどこまで知ってるからわからんよなぁ」
よく言われます。なんででしょうね。
放課後。偶然同学年の古池に会いました。彼女は接しやすい女子生徒で、カズを取り合う1人でもありました。
「よ。カズと一緒じゃないの?」
「あんたこそ、最近水口さんとは仲が良さそうで」
「俺を怒らせるために喋ってるのかな、君は?」
僕は古池の隣を歩きながら学生鞄を空け、中からスマホを取り出しました。家が若干遠いので、僕はいつも音楽を聴きながら帰っています。
「さっきまで遊んでたからさ」
「よくこんな真っ暗な夜に遊べるね。しかも制服のまんま」
「まあ、俺いわゆる不良だから」
古池は僕からイヤホンを片方奪いとると、片方の耳につけました。
「おめぇちっちゃいから歩きづらいよ」
「じゃあもう片方貸して」
「俺が聞いてる」
仕方ないので僕は少し前かがみになりました。
「良い曲」
「俺のセンスは抜群だからな」
「意味わからない」
「そのまま流してほしかったな」
僕と古池はそのまま歩いて帰りました。
カズが見てなかったらいいなぁ。