ターフのカノジョ 中原牧人編 ~ベコが私の人生を二足のわらじに変えた~
ベコが私の人生を二足のわらじに変えた。
ベコと出会ってまだ三ヶ月も経っていない。
それなのに彼女は私の人生の物差しを静かに、しかし確実に変えてしまった。
人は、自分の物差しで世界を測る。
そのスケールを超える出来事に出会うと「自分とは違う世界の話だ」と距離を置いてしまう。
私もそうだった。
十五センチの定規で世界を測っていたごく普通の会社員だった。
その物差しを三十センチ定規に伸ばしてくれたのがベコとの出会いだ。
建設業の会社員として働きながら趣味で競馬同人サークルを続けてきた。
さな師匠の「競馬は方程式」という言葉から始まったサークルは、
2007年の有馬記念で存続の危機を迎えた。
「外れたら終わり。夢だったということでいいよね?」
その言葉が胸に残っている。
しかし▲△☆の三頭が入着しサークルは続いた。
マツリダゴッホ、ダイワスカーレット、そして三着のダイワメジャー。
このエッセイを書きながら気づいた奇跡。
そのダイワメジャーこそベコの祖父だった。
あの時、サークルを救った馬の血を引く孫娘に再び私が救われている。
金沢競馬場での御恩から始まり、いしかわ観光特使として活動するようになった。
そして今観光特使の枠を超え、ベコと共に全国の復興や地方創生に力を尽くしたいと思うようになった。
その活力をくれたのもベコだ。
人は馬を「経済動物」と呼ぶ。
だがベコは私にとって伴侶であり家族であり未来を照らす存在だ。
数字だけでは測れない価値があることを彼女が教えてくれた。
出会ってすぐに骨折という試練が訪れ、今は休養中。
それでも彼女は復帰後に
ノトキリシマ賞、加賀友禅賞、北國新聞杯、白山大賞典を目指す。
夢を胸に静かに力を蓄えている。
そして私も会社員としての人生に加え、復興・社会貢献・競走馬のセカンドライフ支援を考えるという“もう一つの人生”を歩み始めた。
二足のわらじで自分にできることを探し続けている。
この物語はベコが動かした。
ターフのカノジョ特別編(三次元の物語)が今まさに動き始めた。
それがベコの存在であり、私の役目なのかもしれない。




