のんびり
サイとシイナの魔法バトル(ケンカ)が終わってから、すぐにチャイムが鳴り、一時間目の授業は終わった。
俺、まともに魔法すら使ってなかったんだけどね。
しかし、まだ時間はある!!2時間目、3時間目、4時間目とクラスマッチが近づいているから、午前中は全部魔法技術をするそうだ。
そして、今は4時間目……。
「翼!!」
魔法発動の合い言葉を言い、空へと飛び上がるレナ。その背中には真っ白な小さな翼がある。
レナの使う、翼は1700のMを使う、Aランク魔法、その分扱いが難しい。レナのM値は1年生にしては1800と高く、1700の翼をインストールしてもまだM100の日常などで、よく使うEランク魔法を一つ、二つとインストールできる余裕がある。
空を自由に飛びまわる、レナはうれしそうにしている。レナは小さい頃に鳥を見て、自分も空を自由に飛んでみたいと思っていたらしく、それで翼をインストールしたのだと言う。
「ねぇねぇシイナー、どう?かなり上手く飛べるようになったでしょ?」
「うん!!最初の頃よりはかなり上手くなったと思うよ~」
大声で話をする2人。レナは結構、空高く飛んでいる為大声で言わないと聞えないのだ。
レナとシイナが会話をしているなか、俺とサイ、ルークの男組みは交代で2対1での魔法バトルをしていた。ちなみにリリはシイナ達とキャッキャ騒いでいる。
そして、魔法バトルは今は俺が一人で2人の相手をしている。
てか、正直きついです。
「火の玉!!」
サイは火の玉を3つ作りだし、俺に向けて放つ。最初は避けられず、かなりの数当たっていて、制服が少し焦げていたりしている。
この学院では、魔法で発生した炎や雷などのは、対人にはあまり危害はないらしい。
でも当たると結構痛い…。
サイの放った火の玉は避けるタイミングはもう分かっている。
横に軽くヒョイっとステップして、シイナがやったように後ろにある岩に火の玉を当てる。
「そこ!」
サイの攻撃を避けたのはいいが、これは2対1だ。俺が避ける事を予想してたルークは俺の隙をつき、両手で持っている大剣で横から斬るように軽々と振るう。
ルークの持っている剣は両面に刃があり、先端がない銀色の剣。大きさはルークの身長より少し低いぐらいの幅がルークの体がすっぽりと入る大きさ。刃と言っても、元々がアクセサリーの剣だから斬れはしない。しかし当たる とすごく痛いだろう…。
それを軽々と振り回すルークは本当に同い年なのか?と思うぐらいだ。
ルークの家は昔から剣術を自分の子供に教えると言う掟があるらしく、小さい頃から家で父に色んな剣術を教わっていたと言う。
そんなルークの攻撃を、俺は「重力」と合言葉を言い、重力魔法を発動させ、ルークの持っている大剣を対象に重力を重くする。
「ぐっ!体積変化」
元々重い大剣をさらに重くさせられては流石のルークも持ちきれなくなり、地面に選りこんでいる大剣を元の手のひらサイズのアクセサリーに戻し、ソラから距離を取る。小さくしたアクセサリーの剣をポケットに入れ、別の剣のアクセサリーを取り出す。
「体積変化」
今度は比較的に短い小刀を逆手に持ち、かまえる。特徴はない小さなナイフのような物だ。
「あぶなかった…また負ける所だった。よし!今度は俺から!!」
そう、俺は何度も負けていた。てか初めて魔法使うのに簡単に勝てる訳ないじゃん!! でもそれは禁句だ。言ってしまったらなにかと疑われる。
ルークを対象に重力を変える。ルークは地面に膝をつき、つらそうな顔をしている。
それもそうだ。その苦しさは俺も味わったから…あれはやばいよな。
「今だ!!」
膝をついているルークの所へ走っていき、留めをさそうとした。
俺って鬼ですかね? が、そう簡単にはいかなかった。1対1ならば、俺の使う神の力(勝手に言ってるだけ)は最強クラスだろうが、2対1のように片方を抑えてももう片方にやられてしまう。まだ複数の重力を一気に変える事は俺にはできない。
そんなにホイホイと使えるような物じゃないって事だ。
つまり、今は魔法が使えないただの人になってしっている訳でして。そのただの人にサイの火の玉が直撃する。
ルークに気をとられサイの攻撃に反応できなかったのだ。
ドォォン!
「うげぇ!!」
「へへ、またソラの負け」
「これでソラの成績は1勝3敗だな。俺に重力を使って、動けなくしたのはいいが、もっと周りを警戒するんだな」
でも俺って一勝してるんだよな。まぁ、殆どマグレのようなものだったけど。
仰向けになっている俺の横に2人して、座りこみ今回の反省をする。
少し、時間がたつとチャイムが鳴り響いた。
(キーンコーンカーンコーン)
「はーい!これで4時間目の魔法技術を終了します。皆、集まってね」
レイランの声は音系の声を大きくする、大声音を使っている。レイランが使用している合言葉はマイクだ。
マイクって…。
レイランの大声音で大きくなった声が岩山に響く。それを聞いた生徒達はゾロゾロとレイランのもとへと集まっていく。勿論俺達Fチームも少し駆け足で集まる。
他の生徒達は、俺と同じように制服がボロボロに汚れている人が殆どだ。
うわ、あっちの人痛そ~。
「皆、集まったかな?それじゃいくよ」
(シュン)
(シュン)
教室に戻ってきた3組の生徒達は、各自シャワーを浴びにいく者、先に食堂に行く者とそれぞれ教室を出て行く。
にしても、何回経験してもあのワープは慣れないな。
なんか体が、こう…上手く説明できん。
「俺もとっととシャワー浴びて、バイトに行かなきゃ」
「私は先に行ってるよ、喫茶店だよね?」
「場所分かる?」
「アキナのバイトしてた所だもん。分かるよ」
「そうだったな。じゃぁ店長にすぐ行きますって言っといて」
「分かった。じゃね~」
そう言って、リリはヒラヒラと飛んでいった。
(ザー)
俺は今、シャワールームにいる。今は三組の男子の貸切状態。しかもいるのは俺も合わせて、たった7人だけ。
教室並みに広いシャワールームを7人で使うのは、なんだかいい気分だ。
「ソラ、今からシイナとレナと一緒に食堂に行くけど、お前もどうだ?」
隣でシャワーを浴びているサイが聞いてくる。
この学院では、チーム行動が殆どらしく、男女はあまり気にしないようだ。
元いた世界では男子と女子はお互いに、恥ずかしいのか、あんまり一緒に行動などはしないんだけどな。
机が男女隣同士になったら、必ず10cmは離してたからな。
話に戻るが、せっかく誘ってくれるのはありがたいのだがバイト先で食べるんだよな、俺。
「ごめん、俺無理なんだ。4人で食べてきてよ」
「そっか、んじゃまた今度誘うな」
「俺、昼食はバイト先の喫茶店で食べる事になってるから、無理なんだ」
「喫茶店?行った事ないな」
「まぁまた今度来て見てよ」
「おう!」
そんな会話をして、いるとルークが「先に出る」とサイに言って出て行く。
俺もそれに続き、新品のようになった制服に着替えて、シャワールームを出る。少し、制服の袖が焦げてはいるがそんなに目立ちはしない。
シャワールームや、寮の浴場には魔法水と言う水を溜めている所があり、それにつけると制服などの汚れが綺麗に落ち、さらに汗臭い臭いもすべて消える、魔法の水。
布などについた魔法水は、空気に触れると10秒程で乾いてしまう。元の世界にあったならば、洗剤もいらない、乾かす必要もないで、奥さん方に大人気間違いなしだろう。
帰る時に、持って帰ろうかな。
「ふーさっぱりした」
シャワールームを出ると、すぐ隣にルークが腕を組んで目を瞑っていた。
てか、まだ完全に乾いていない髪にそんな格好してると、本気でかっこいいな。
イケメンはなにをしても絵になるんだよな。こんちくしょぅ。
「すいません、遅れました」
「いいのよ、どうせ昼に客は滅多にこないから」
やはり、殆どの生徒は食堂にいくのか。
そんな事は置いといて、すぐに奥の部屋に行き、更衣室で上の征服を脱ぎ、黒いエプロンをする。
昼はまだ授業があるから、エプロンだけでいいとの事だ。
「ソラ君これ食べてね。お金はバイト代から引いておくからね」
「はい、ありがとうございます」
店に戻ると、カウンターの上に料理があった。 ん?これは…。
「これ、なんて料理ですか?」
目の前にある料理と同じ物ような物を知っている。見た目は黄色く、ふっくらしていて上に赤い物で星が書いてある。
一応、名前を聞いてみよう。もしかした別の料理かもしれん。
「ん?『オムライス』よ?」
あ、やっぱり?てか、この世界にもオムライスが存在するのか…。
ちなみに、メニューを見ると俺の知っている名前のメニューが何個かある。
本当、ここ俺の世界とは違う世界なんですかね?
まぁ、一口。
「あ、おいしい…」
これは、なんというか上手い!!俺はリポーターとかじゃないから上手く表現できないけど、とんかく上手い!!
「そう?ありがと」
「リリも食べるか?」
「私は別になにも食べなくても生きていけるんだよ~。でも一口」
なんと!あれか?お日様の光を浴びてるからとかなのか?
リリは皿の上に乗っているオムライスの端っこをチビチビと食べる。
「メイ、腕上げたじゃない」
「昔の私とは違うのよ」
卵の部分を食べただけで、そんな事が分かるものなのか?
まぁ、別につっこんだりはしないが。
その後は、の~んびりメイとアキナの事について話したり、メイの使う魔法を聞いたりとまったりとしていた。
ちなみに、店長の使う魔法は内緒だそうで、教えてくれなかった。
(キーンコーンカーンコーン)
「あ、もうすぐお昼終わりますね。また放課後来ます」
「私はここでのんびりしてるね」
「店長、リリはここに置いていってもいいですか?」
「勿論よ。どうせ暇だしね」
「では」
そう言って、俺は店を出る。
教室は1、2、3組は2階にあり、4、5,6組が3階、7、8、9組が4階。 俺のいる3組は2階にあるので、階段を上って行かなければいけない。
てか、学年別に校舎があるとか、すごすぎだぜアテナ学院。
もう他の生徒は教室に戻っているのか、誰もいない階段を上っていると、「キャッ」と短い悲鳴のようなものが聞えた。
「なんだ?」
ヒョイっと階段の上を見上げると、誰かが俺に突っ込んでくるではないか。
え!?ちょっと待って!!嘘!!階段で落ちてくる人なんて始めてだからどうしたらいいか分かんないんだけど。
これって、あれですか?一緒に転げ落ちて頭打って(チーン)な展開ですか?
そして、予想通り俺は巻き込まれた。いきなりだったのでどうしたらいいのか迷ってたら、一緒に転げるのではなく、落ちていく。
そう、落ちるのだ。
「重力!!」
あせって、とっさに魔法を自分と自分にくっついている子を対象に重力を限りなく無にする。
そして、重力がほぼ無い、俺達はフワっとそのままゆっくりと落ちていき、俺は背中で着地した。
やっぱ、神の力(勝手に言ってるだけ)すげぇな。
読んでいただきありがとうございます。
なんてベタな!!と思う方もいるかと思います。ですが俺の頭ではこれが限界でして・・・
こう言うのって、サブタイトル決めるの難しいんですよね。
ではでは~♪