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チーム







「よし、これでいいかな?」


 白と黒のクローゼットの右にある鏡で自分の制服姿を確認する。

 そして部屋を出て、鍵を閉め広い廊下を歩いき、階段を下り寮を出る。

 5分程歩いて、校門に到着した。

 大きな白い校舎を見上げ、呟く。


「今日からここで俺の学生生活が始まるのか」








 校舎に入っていき、TWの地図を見ながら職員室へと歩いていく。


(コンコンコン)


「今日からこの学院に編入する事になっているソラです」


 声が聞えたのか、ドアを開けて、中からキール先生が出てきた。

「待ってたよ入って」と右手を中に向けられ、入っていく。

 職員室には、何人もの教員がそれぞれの椅子に座っていた。そこに、学院長であるウォンが立ち上がりゆっくりと歩いてくる。その右肩にはリリがチョコンと座って微笑んでいる。

 リリはある程度学院長が俺に近づいたら、頭の上にヒラヒラと飛んできて着地する。

 それにしても、リリの格好は…。

 リリは学院の女子の制服に背中のはねの部分だけ無い物を着ていた。

 白を基準として、黒のラインがある制服。少し短めのスカートは黒に白のラインがある。正直似合っているから別に気にはしないが。


「昨日はよく眠れた?ソラ」


 顔を覗き込むようにして聞いてくるリリ。


「ああ、よく眠れたよ」

「ソラ、自己紹介を」


 学院長は目を瞑って、後ろで手を組んで自己紹介するように進める。


「はい。お…僕はソラです。学院長から話は聞いていただいているかと思いますが、僕はこの世界とは違う異世界みたいな所から着たらしいです。あまり実感はありませんが。それで、元の世界に帰る手がかりを探すために、今日からこの学院に通う事になりました。よろしくお願いします!」


 最初に俺と言いかけたが、ここは僕と言い直した。あまり意味は無い。これでいいですか?的な意味で、チラッと学院長を見た。

 学院長はOK的な意味で微笑み返してきた。

 そして、俺について教員達に俺について話をする。


「ソラが異世界から来たというのは生徒達には秘密にしておいて、普通の生徒の用に接してやってくだされ。後は昨日TWに送った資料を見ておいてくれ」


 それからは、一人一人と握手をして、名前など軽い自己紹介をしていく。

 しかし、かなりの数の教員達の名前を覚えるのは正直きつい。時間を掛けて覚えていくしかない。

 教員の中には母さんの事を知る人や、ローラと同じく仲のよかった人も何人か居た。

 その後はキール先生にアテナ学院で皆が使用している黒に白のラインが入ったバックを渡され一緒に職員室を出た。


(キーンコーンカーンコーン)


 丁度チャイムが鳴り、HRが始まる時間らしく、他の教員達も職員室からゾロゾロ出てくる。

 ちなみに教科書などはバックに入っているらしい。


「あの、リリも一緒でいいんですか?」

「別にいいよ、ソラ君のお母さんの時も普通に一緒に居たらしいし」

「そ…そうですか」

「ねぇソラ、ソラはどんな魔法をインストールしたの?」


 髪の毛を引っ張りながら、聞いてくるリリ。引っ張られても痛くはないがなにか、むずむずする。


「後でね」

「ケチー」


 頬を膨らませながら少し不機嫌そうにするリリ。そんな光景を見ておかしかったのか拳を作り、口元を押さえ笑うキール先生を見て、俺とリリは一緒に首をかしげた。


「すいません、さて私達もいきましょうか」

「はい」


 なにがすいませんなのか、よく分からないが別にいいか。






 キール先生の後をついて教室まで来ると、外で待ってる用に言われドアの外でリリと話をしていた。


「うぅ、緊張するな…」

「私はワクワクするよ?」

「俺はしないよ」


 両手をモジモジさせながら緊張していると「ウフフ」とリリがおもしろそうに笑う。

 そして遂に名前を呼ばれ、教室のドアを横にスライドさせ中に入る。

(ジ―――――)

 お約束と言ってはお約束。めっちゃ見られる。

 教室はなんと言うか広くはあるが、元の世界の教室とあまり変わらない。強いていうなら机と黒板が違う。

まず机が真っ白!とにかく白い!!白いったら白い!!

 そして、元の世界では黒板だった物が白版となっている。そこに黒い文字で、『ソラ』と書かれている。

 この世界は白がすべてを支配しているのか?と思ってしまうぐらいに、白い教室。そういえば、学院長の部屋も白かったな。というよりあれは白い空間か?

 それは置いておき、自己紹介をする。


「名前はソラってです。今日からこの学院に編入する事になりました。」


 視線が痛い…特に女子の視線が。男子は昨日の歓迎会で俺の事は知っているからそれ程でもない。


「ねぇあの子かっこよくない?」「うんうん。それにこんな時期に編入してくるなんて、なにかあるわね」「そうそう、名前もソラってだけらしいし…」「でもその不思議な感じがよくない?」「私はテリアル(ルーク)の方が好みかも…」


 何を言ってるんだ?まぁ、そんな事より今は自己紹介を成功させる事を優先すべきだ。


(こういう時は最初が肝心だ。ここは何かおもしろい事でも言うべきか?でもすべったら終わりだ…ここは普通に感じのいい奴、的な感じで)


 わずか0.7秒で考える。


「えと…色々分からない事ばかりなんで、色々教えてもらえると助かります。これからよろしくお願いします」


 軽く頭を下げ、ニコっと自分が作れる最高のスマイルをした。


「///」「う…///」「ドキ///」


 自分では気づいていないが、ソラの笑顔は女子だけでなく男子でも一瞬だがドキッとしてしまう程の威力がある。

元の世界ではかなりモテてはいたが、なにせ自分がかっこいいなんて、思ってもいない。周りには自分よりかっこいい子がたくさん居て、自身が無い。

 女子はソラ、ファンクラブの掟で一人だけ親しくなるのは禁止!!

 などと言うルールがあり、ソラとは必要以上は話しはしなかった。そのせいで自分は嫌われているのではないか?など思ったりしていた頃もあった。

 そういう事だから、ソラは元の世界では男友達ばかりで女友達は居なかった。

 そんな自分に好意をよせる子なんて居ないだろう、など今でも思っていたりして。


 皆が少し頬を赤らめてソラから目線をはずしている、クラスの光景をおもしろそうにフフフと笑うリリは、俺の自己紹介の後に頭の上で立ち自己紹介をする。


「私はリリ、見てのとおり妖精さんで~す♪」


 一瞬でソラの微笑みでできた「ホワワ~ン」的な空気が固まる。


「あの子今妖精って言った?」「私てっきり何かのお人形かと」「あいつ、昨日の歓迎会には居なかったよな?」「妖精に懐かれてるってソラって何者?」


 リリに対しては男子もかなり興味津々だ。妖精はリリも言ってたが、この世界ではリリ一人しかいないらしく、皆妖精なんて初めてみるのだからそれもそうだろ。

 そんな中でリリは自己紹介を続ける。


「私は大体ソラと一緒にいるから何か用があったらソラを探してね」


 リリの自己紹介も終わり、席につくように言われる。ソラの席は一番後ろの窓側にある空席だ。

 席に座りホッと息をつき、バックを机の横にかける。



(キーンコーンカーンコーン)



 チャイムが鳴り、HRが終わった。

 普通ならここは質問攻めになるのだろうが、誰一人として寄ってこない。

 初日から嫌われたのか?でも昨日は男子とも仲良くできたはずなんだが…やはり俺は女子のはモテないのか。

 そんな事を思いながらバッグから教科書類を取り出し、机に入れていく。

 そして、ルークが体を後ろに向けて話掛けてきた。ちなみにルークの席は目の前だ。


「妖精か、ソラは不思議な奴だな。M値は高いし、妖精と知り合いとは」

「色々ありまして~」

「ハハハ…ありまして~」


 誤魔化すようにリリに続き苦笑いをする。

 リリは異世界から来た者にしか存在を見つけられなくて、それで自分が見つけたから懐いたなんて言えま、せん!!






 そんな話をしていると、サイと女の子が2人、ソラとルークの方に近づいてくる。


「よ!ソラ」


 元気よく右手をあげて二カっと笑顔であいさつしてきたサイ。 

 その後ろにはなにやら二人の女の子が…。


「えと…そちらの女の子は?」


 一人は背中辺りまである茶髪をポニーテールにして、瞳はサイと同じ用に黄色い。なにやら元気いっぱいの女の子。

 もう一人はその女の子の後ろに隠れている腰の辺りまで伸びた綺麗な金髪の女の子だ。 ん?この子、どこかで……

 

「あれ?もしかして……レインさん?」


 そうだ。レナ・レインだ!!

 立ち上がり、隠れているレナ・レインと思われる女の子の近くに寄っていきヒョイっと顔を出す。

 隠れていたのはやはりレナ・レインだった。

 ぺコっと挨拶するレナは少し顔を赤らめている。どうしたんだろうか?恥ずかしいのかな?


「ソラさん昨日は助けてくれてありがとうございました」


 そう、昨日は中庭でレナが魔法のミスで空から落ちてきた所を助けたのだ。

 あたりまえの事をしただけで、感謝される程の事じゃないんだが。しかし昨日はいきなり女の子がソラから降ってくるんだからもう、焦ったよ


「あれ?レナはソラ君と知り合いだったんだ?」

「うん…ちょっとね」


 もう一人の女の子はレナと仲のよさそうな子だな。

 しかし、レナに負けないぐらいの美人さんだな。

 ちなみに他の子達も皆、普通にかっこよかったり、かわいかったり、となんと言うか…あれだ。


「あ、私はシイナ・ウィルソン」


 ウィルソン?確か、誰かの名前もそんな感じだったような…。 そんな事を思いながら、手を差し出されたので軽く握手をする。


「私はそこの馬鹿の双子の妹なんだ」


 その言葉に「ああ~」とサイの名前を思い出して手をポンと叩く。

 それにしても馬鹿って……。


「馬鹿ってなんだよ馬鹿って!!」

「馬鹿に馬鹿と言ってなにが悪い」

「お前本当に可愛げがねぇな!!そんなんだから男が近寄ってこないんだよ!!」

「フン!私は男なんて興味ないね!!」


 いきなりの口喧嘩にぽかんと口を開けて驚いている俺。そこにルークが止めに、割ってはいる。

 ルークの立ち位置は、喧嘩の仲裁役なのか?


「その変にしておけサイ、シイナも。ソラが驚いてるだろ」


 そりゃ驚くよ。会って数秒で兄妹喧嘩って、そんなに仲が悪いのか…。

 ルークの介入により口喧嘩は止まり、2人揃ってこっちを見てくる。その顔はまだ少し言い足りないような顔をしていた。

 頼むから俺にぶつけてくるなよ…。


「あハハハ…さすが双子だね、そっくりだ」


 思っていた事を思わず口に出してしまった。 これは、二人の同時ツッコミがくる所か?


「「どこがだよ」」


 はい、予想どおりきました。

 それにしても見事なまでに揃って怒る。俺は少し後ずさりながらハハハと力なく笑う。

頭の上にいるリリもおもしろそうに笑っている。今日のリリは笑っているばかりであまり、喋っていないな。

リリはどちらかと言うとよく喋る方だ。


「リリ、今日はやけに口数が少ないな、どうした?」


 視線を上に向けて聞く。


「だって見てるだけでおもしろいもん♪」


 そうですか。

 その顔は本当に楽しそうに笑っていた。









 そんな会話をしていると、レナが手をモジモジさせながら話し掛けてきた。

 ごめん、少し忘れかけてた。


「ねぇソラ君……私達のチームに入らない?」

「え!?」


 ん?君?別に呼び捨てでもいいのだが、まぁいいか。

 突然チームに入らないかと誘われて変な声が出てしまう。


「あ!!俺が言おうと思ったのに!!」


 どうやらサイはその話の事で来たらしく俺を誘う。

 そんな中チームがなんだったのか忘れていた俺は頭の中を探っていた。


(チームってなんだっけ?えーと……あ!魔法技術とかの時に一緒に行動したりするんだっけ?)


 でもなんで自分なのかよく分からない。

 まだ会って、間もない奴を誘う理由が見つからない。誘う理由を聞いてみる。


「なんで俺なんだ?ちょっとM値が高いぐらいだろ?」


 確かに俺は16歳にしては教師クラスのM値を持っている。それはすごい事らしいのだが、なにせ神の力(勝手に思ってるだけ)だ。そうホイホイと使える訳がない。


「だってソラとチーム組んだらなんかおもしろそうだし」


 そですか。

 そんな事で、成績に関わるチームのメンバーを決めていいのか、少し不安になる。

 まぁそれでいいならチームに入るのもいいが、レナのチームと二つも掛け持ちはできないだろうし、どうするか…。

 迷っているとルークがそれに気づいたのか話掛けてきた。


「もしかしてどっちに入るか迷っているのか?だったら心配するな、サイとレナ、それから俺とシイナは一緒のチームだ」


 イケメンはデフォルトで人の心を読む事ができるのか、流石だな。 だが、今はその特殊能力は助かった。

 せっかくチームに誘ってくれて断る理由はない。むしろ誘ってくれて感謝しないと。


「なら俺でよければチームに入るよ」

「ソラ君、別に嫌なら入らなくてもいいんだよ?ソラ君の気持ちが一番だし、馬鹿が勝手に言ってる事だから」


 シイナも君か…。なんだか照れるな。

 元の世界じゃ、皆呼び捨てだったしな。あ、でも何人かは君だっけ?

 あ、ちなみに分かってはいると思うが、シイナの言っている馬鹿とはサイの事だ。

 

「別に嫌とかじゃないよ、むしろ誘ってくれてありがたいぐらいだよ。それから俺の事はソラでいいよ?」

「そう?ならいいけど、あ、私もシイナでいいからね」

「分かった。じゃあシイナ、これからよろしく」


 軽く微笑んでみる。


 ソラは気づいていない。

 その瞬間に男に興味が無いと言ってたシイナも一瞬だが顔が赤くなるのを。やはり威力は絶大な笑顔だ。


 そんな光景を見たレナは「私もレナって呼んでいいからね!!」となにか勢いよく言ってきた。

 いきなりどうしたんだ?びっくりするじゃないか。

 その時サイは何か気づいたように、ニヤっとするのを俺は見た。 なにか企んでいるのか?




「じゃあそういう事で、TWを出してくれ」


 そう言って、サイはズボンのポケットからTWを取り出して半透明の青いモニターを出す。それを見て、俺もTWを取り出してモニターを開く。

 TWなんか取り出してどうするんだ?


「今からチーム登録するからな、ちょっとそのまま待っててくれ」


 ピッピッピと、モニターに触れていくサイ。そして俺のTWがピピピっと鳴り、モニターの真中に何か変な文字が出てくる。

 やばい、俺この世界の文字読めないや。どうしよ…

 するとリリが真中の変な文字の下にある四角いマークをピッと触る。


「よし、これで今からソラは俺たちのチームに入った事になる。よろしくな」


 どうやらリリが押した変なマークはチーム登録する為のボタンだったらしい。

 正直助かった。文字が読めませんなんて言えないもんな。 リリはニコっと微笑んでまた頭の上にチョコンと座る。


「よーし!!4日後のクラスマッチが燃えてきたぜ!!」

「え!?」


 そう……今は6月、三ヶ月に一回あるクラスマッチの最初の一回目が始まる月だった。




読んでいただいてありがとうございます♪

突然ですが、ソラ視点でしたがどうでしたか?

今までは前振りで、これからは主にソラ視点でいきます。たまに神(作者なんですけどね)視点も混ぜて生きますが・・・

感想、アドバイスなどお待ちしております。

一言くれるだけでやる気メーターが一気に上がるのでくれたらうれしいです♪

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