レナ・レイン
TWの地図で校舎内にある喫茶店は一つしかない、バイト先がどこなのかすぐに分かった。
まぁ文字は読めないけどなんとなく分かったって事でスルーしてやってください。
「まずは校舎に行って…」
校舎はソラのいる寮からそれほど遠くなく、4分ほど歩いた所にある。
だいたい200m?
「今は12時33分か、生徒の皆は昼食を食べてる時かな?」
TWの地図を出したまま廊下を歩いていると、途中、中庭が右側にあり、少し立ち寄る。
勝手に学院内に侵入して、不審者と間違われなければいんですがね。
まぁそこはイケメンと言う事で許されます。(実際は教員方は事情を知ってます)
「ここが俺や母さんが倒れていた場所……どっかに元の世界に帰る手がかりないかな?」
辺りを見回す。
中庭はコートが2面ぐらいある広さで、中央には噴水があり、その周りに花が植えられている。地面には芝生があり、昼寝などしたら気持ちよさそうだ。
でも昼休みとかに昼ねなんかしたら確実に授業に遅れますがね。
「ん?なんだあの影は?」
ソラは黒い影のような物を見つけて近寄る。
するとどこからか、悲鳴が聞こえてきた。
「キャーーー!!」
「うおぉ!!」
その悲鳴の主は空からの天使の悲鳴。
なんて訳はなく、女の子でした。 空からってのは本当ですが…
まぁその事でソラはパニックに。 とりあえず両手を広げてその女の子を受け止める体勢になり落ちてくるポイントを外さないようにする。
(ボフ)
綺麗に空から降ってきた女の子はソラの手の中にすっぽりと落ちました。 そして今の状況を表すと、いわゆるお姫様抱っこ状態です。
これはもうかっこよすぎますね、はい。 ですがある程度のイケメンに限ります。
「焦った…大丈夫? あれ?どっかで見たような…」
女の子は腰まである長居金色の綺麗な髪の女の子で、美人だ。その女の子はゆっくり瞑っていた目を開けて、少し恥ずかしいのか頬を赤らめている。
流石に恥ずかしいんでしょう。なんたってお姫様抱っこは少女が一度は憧れたことのあるものなんですから。
しかも助けてもらった事もあるので、いきなり好感度UPdすかね?
「あの、助けくれてありがとうございます。ソラさんですよね?」
ソラの腕の中にいるのは、中庭でソラを見つけ、ローラさんに知らせてくれたレナ・レイン。
こんな運命とも言える出会い。まぁたまたまなんですが、ソラもレナの顔を見て思い出す。
第一印象でつい見惚れるぐらいでしたから覚えてはいるでしょうね。
ソラはとりあえずレナを降ろして、レナの問いに答える。
「は、はい。レナ・レインさん」
「そうです、覚えていてくれたんですね」
「こちらこそ」
2人は互いに軽く頭を下げる。
「ところで、さっきの事なんですが」
「さっきのは、翼」
(バサッ)
突然レナの背中からかわいらしい、まさしく天使の翼といった物が出現し空高く舞い上がる。
でもスカートで飛んじゃったら、見えちゃいますよ? ギリで見えないんですがね。
「この魔法の失敗をしちゃって、そのまま落ちちゃったという事です」
なるほど。にしても、ソラが居なければあなた危ないことになってましたよ? まぁソラはちゃんと受け止めてくれましたけど。
そしてそのソラは、「おお~!」と少し驚きながら拍手をする。 それに、レナは少し照れながらゆっくりと降りてくる。
「今のは移動系の魔法で、空を飛ぶ事ができるんです」
「移動系にそんなのがあるのか」
そんな事を話しているとソラはある事に気づいた。
そう、今の時間は12時を回った頃。
「あの…今は昼ですよね? 食堂に行かなくていいんですか?」
他の生徒は皆食堂に行き校舎には弁当の人ぐらいしかいない。
そう、今高等部1年の校舎はおそろしいぐらいに静かなのだ。
「私は、さっきの魔法を最近インストールしたばかりで、お昼は抜きにして練習してるの」
手をモジモジさせながら、話している。
その仕草。本当にそれだけなんでしょうかね? ダイエットとかしてるんじゃないですか? やはり年頃なのでそういうことは気になりますがね。
まぁソラはそんな事気づいてませんが。
「へ~、上手く使えるといいね、その魔法」
笑顔で言うと、レナは顔が赤くなって俯いてしまった。
「どうしたの?大丈夫?顔赤いよ?」
ソラはレナの体調がおかしいのか、少し心配そうに聞く。
まぁソラはイケメンですからね。 いきなりニコッ!!なんてされたらそりゃ赤くもなるでしょう。
そしてお約束の「風邪でもひいたのか?」と考えるソラ。
どこの主人公でも一度はあるんじゃないでしょうか? まぁそれすら気づかない鈍感もいますが。
「ううん、大丈夫だから」
「そう?ならいいんだけど」
顔を小さく横に振りながらレナは答える。
それを見たソラは、大丈夫ならいいか。と、そんなノリで目的の喫茶店に再度向かう事にする。
「それじゃ、レインさんがんばってね」
「は…はい!がんばります」
ソラはレナに、手を振ってから中庭を抜けて廊下に戻っていく。
以外にあっさりしてましたね。
ここはもっとこう……と、レナの様子がさっきと少し違いますね。
のぞいてみましょう。
ソラが行ってしまって、少し残念そうにしている。
やはり少しソラに気があるのだろうか?
まぁ、助けてもらいましたからね。 気にならない女の子はそうは居ないんじゃないでしょうか?
「あの人、不思議な人だったな。黒髪に黒目なんて、珍しかったし、昨日はここに倒れてたし。ここの学生だったのかな?今日は征服着てたし、でも初めて見る顔だったな」
そう。 ソラの黒髪に黒眼はこの世界ではかなり珍しい。
居なくはないが、この世界でも極少数の人達だけだ。 たいていの人は、金髪やら茶髪。 赤や青、銀やらといった、色とりどり。
そしてソラの事を考えながら、近くのベンチに座るレナ。
「でも、優しい人なのは分かるかも。だって助けてくれたし…それにあの笑顔……(ボン!)」
また赤くなった。両手で顔を隠すようにして、「わぁぁぁ~」と唸っている。赤くなった顔はまるで熟したトマトのようだ。かわいらしいですね。
「また会えるよね……」
そう言い、青い雲ひとつない空を見上げる。
なんともまぁ、ソラに彼女が居なかったのが不思議に思えてきます。その理由はいつかまた……
「えーと、ここを左に曲がればっと、あったあった」
目の前には木の立て看板があり”営業中”と書かれている。中はおしゃれな感じで椅子とテーブルが3つ並んでいて、カウンターの所にも椅子が5~6個並んでいる、生徒は皆、食堂で一人もいない。
一応この店でも昼食をとってもいいらしいのだが……流行ってないんでしょうね。
「店長さんは居ますか~」
奥の部屋にカウンターごしに呼んでみると、奥の部屋から女の人の声が返事をした。
「はいはい~あら」
黒い、エプロンをした、20代位の背中辺りまでの茶色の髪に、綺麗な黄の瞳。スラッとした体形にロングスカートを穿いた、綺麗な女の人が出てきた。
この学院の女性人は皆美人さんがいっぱいですね。
「明日からここでバイトをする事になっている、ソラです」
「学院長から聞いてるわ、ソラ君ね、それにしてもアキナにそっくりね」
その言葉にソラは驚き店長の顔を見て聞く。
まさか、店長さんまで自分の母親の事を知っているなんて思いません。
「え!?母さんを知ってるんですか!!!」
「ええ、アキナとはこの学院のクラスメイトで、この喫茶店もアキナと一緒にバイトをしててね、それで今はこの喫茶店”ルル”の店長をやってるメイ・モーシャンです。気軽にメイって呼んでね」
「そうなんですか・・他の定員さんは?」
辺りをキョロキョロ見回しながらメイに聞く。
「店員は私しかいないのよ、だからソラ君が入ってくれると助かるのよ」
「そうなんですか…あれ?もしかして今メイさんて今36歳ですか?」
そうは見えませんよね。 人物紹介の時に20代とか言っちゃいましたし。
しかし、アキナと学生時代のクラスメイトだとそういう事になる。
だとすると、ローラとも友達なんですかね?
「そうだよ?」
「へ~、最初見たときは20代くらいの人かと思ってましたよ」
「ありがとね、でもアキナも結構若く見えるでしょ?」
アキナの事を思いだすソラ。 確かにアキナも30代には見えない。24~26くらいだろうか?
「そうですね。あ、そうだ!明日からは何か征服のような物着るんですか?」
すると、メイは奥の部屋に戻っていき、何やら持ってきてソラに見せる。
「一応、この征服を着てもらって、私もしているこの黒のエプロンを着てちょうだい」
長袖の白いTシャツにズボンは黒と言う、なんとも私服のような征服だ。それに黒のエプロンは膝らへんまで長さがあり、胸の辺りにはこの世界の文字らしき者が書いてある。
「これって…制服なんですか?」
確かにエプロンはいいとして、長袖Tシャツに普通のズボンと言うのは…あれだ。
「気にしない気にしない、それじゃあ明日は昼休みにきて、後は放課後の4時から6時までの間ね」
メイはそう言って、奥の部屋をソラに案内する。
「昼食はここで食べていいから、勿論御代はもらうけどそんなに高くないわ」
次にメイは男子更衣室へ。
「ここが更衣室ね、ロッカーはどこでも使っていいからね」
更衣室にはロッカーが4つあり手前のロッカーに制服とエプロンを入れる。
「仕事は接客と皿洗い、それから帰りに私と一緒に掃除をして終わりね」
「分かりました、では明日からよろしくお願いします」
「ことらこそよろしくね」
そして、ソラは店を出た。
読んでくださりありがとうございました
またしても神の視点です。(まぁ作者なんですけどね)
読んでるとうざいかもですけど、書いてる方は以外に楽しいんですよ。
感想、アドバイスお待ちしております。