表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/13

オープンチャンネル











「リリ、ちょっと文字の読み方教えてくれないか?勉強についていけなくて」

「分かった。それよりもレナの事いいの?」

「ん?少し元気なかったけどどうかしたのか?」


 俺の言葉を聞くいた瞬間に「ハァ」とため息をつく。

 いったいどうしたってんだ。レナの事?はて、俺はなにかまた嫌われてしまうような事をしてしまったのだろうか?


「もういいわ。はぁ、レナ苦労するわね」

(苦労?なにか新しい魔法の練習とかしてるのだろうか?)


 そんな会話を、校舎の下駄箱で靴を履き替えて話していた。

 ちなみに上履き用の靴は最初から用意されていて、1年生はラインが青。真っ白な靴だけあってよく目立つな。

 2年は赤で3年は黄色らしい。 ルークに聞きました。


「あ、リリ。少し買い物に付き合ってくれる?」

「いいけど、ソラお金なんて持ってるの?バイト代まだ貰ってないでしょ?」

「いや、さっきメイさんが『日常品とか用意しないといけないでえしょ?』って今月のバイト代を少し先に貰ったから」


 それにしても、カードって。落としたらしゃれにならんぞ。 とりあえず、TWの地図を見る限りでわっと。


(あっちか)


 しかし、地図にのっている買い物エリアはかなり広いな。てか学院の校舎より敷地広くないか? 遊園地? なんでそんなもんがあるんだか。あれか?学生の息抜きに必要だからとか?

 まぁなんにせよ、ほんとなんでもありだな。この学院は。
























「うぇーん。シイナ~。」

「ど、どうしたのよレナ」


 レナとシイナは同室。二人は中等部からの友達で、ルームメイトになった時はレナもシイナも大喜びだった。

 それにしても、部屋に入って早々に泣きついてきたレナをどうしたものかた考えるシイナ。 泣きつくといっても、本当に泣いてる訳じゃない。

 寮に帰る途中はずっと黙ったままで、サイとルークと別れた後もずっと沈黙が続いていた。

 それが、帰ってきた途端にこれだ。


「ソラ君が、ソラ君が~」

「あ~。やっぱり気にしてたんだ」


 頭を手で押さえて、困ったように顔を歪ませるシイナ。

 レナもレナで、ソラが自分の気持ちを否定された気持ちは結構効いたであろう。

 まだ本当に、その感情が本物なのかはレナにも分からない。だがやはりシイナの思っていた通りに、ソラの言った事を気にしているのは間違いない。


「だって、だって~」

「はい、はい。分かった分かった」


 先ほどからレナの、不十分な説明でも長年親友をしてきたシイナにはすぐに分かる。


(ソラが自分の事を、あまり気にしていないとかそんな事を考えてるんだろうな。それからあの言葉を素直に受け取って、自分の気持ちを確かめてるのかな?)


 色々と予想するシイナ。 にしても、シイナには恋をした経験など一度もない。ましてや、どう言ってあげたらいいのか分からない。

 そこで、シイナの頭に一人の顔が浮かんできた。

 それはリナ・レイン。レナの双子の姉。

 シイナは、リナともレナと同じくらいに仲がいい。

 さっそく、TWを取り出してリナとのオープンチャンネルを開く。

 オープンチャンネルはリアルタイム映像つきの、通信システムだ。これなら本当に会話しているみたいに話せると思って開いてのだろう。


 シイナがTWを取り出すと、シイナから離れてベットにダイブして転げまわるレナ。

それはいつものレナとは思えない行動だ。

 引っ込み思案で、男の子には時間をかけないと慣れないレナが、まだ会って間もない男の子の事でここまで変るのものなのだろうか?

 今はそうでもないが、サイやルークの時はもっとビクビクしていた。


(ポーン)


 奇妙な音と共に、リナの顔がシイナのモニターに映し出される。


『どうしたの?こんな時間にオープンチャンネルなんて』


 シャワーを浴びた後なのか、シャワールームでまだ髪が濡れていてタオル一枚を巻いた状態。


「ごめん。シャワー浴びてたんだ」

『ん?別にいいよ。どうせもう上がる所だったし』


 モニターの奥で、せっせと着替え始めているリナ。 そして、シイナはある部分に注目する。


「リナ、どう?成長した?」

『うっさい!!双子なのに、どうせレナに比べたらあたしなんて!!』


 この会話は、まぁあれだ…。


「とまぁ、そんな事をわざわざ確認する為に呼んだんじゃないの」

『そんな事!!そんな事とはなによ!!だいだいね――』

「はいはい、すみませんでした。だから話聞いてよ。ね」


 リナにこの話をしたら、1時間は聞かされ続けるだろう。

 シイナはリナの話を途中で打ち切り、呼び出した理由を説明する。


『レナが!?その男って誰?レナが悩んでるのにその男は!!』

「お~い。リナさ~ん。ソラはそん―――」

『ソラって言うのね!!明日の朝にでも一発!!』


(プーン)


 先ほどとは少し違った奇妙な音と共に、リナの怒りに燃えた顔がモニターから消えていく。

 シイナの言葉など耳に入っていない。そして、あの捨て台詞のような物。 シイナは冷や汗をダラダラと流す。


(やばい。ソラごめん)


 リナが、レナの事を物凄く大事に思っているのは分かっていた。こうなることも予想はしていた筈なのに、今になって物凄く後悔する。シイナは、その場に膝をついて顔を隠してしまった。


 後で何度かメールを送った。だがそれは意味は無いであろう。

 リナは、超がつくほどのモテッぷり。それは男子だけではなく女子からの人気もある。 あの、男らしい性格に運動神経抜群。成績優秀。くわえて美人。

 更にあらゆる部活の助っ人や練習に呼ばれている為、ある程度の生徒にアドレスが渡っている。

 そのせいで、あらゆる人から毎日大量のメールが送られてくるのだ。 そんななかに一通のメールを送っても、それを読む頃にはソラはもうお陀仏であろう。

 そして、唯一の連絡手段である通信は……繋がらない。









「お~い。レナもシイナも、夕食の前に浴場に入らない?……ってドウシタノ?」


 隣の部屋から元気な、ショートで銀髪のかわいらしい女の子。

 ネーナ・ソウリンが部屋に入り目の前に、ベットで転げまわるレナと膝をつき顔を手で覆って落ちているシイナを見て、カタコトで聞くが返事がない。

 誘いにきたのだが、そんな雰囲気ではない。あまり触れないように、そ~っとドアを閉めて戻っていく。
























(ゾクッ)


「どうかしたの?ソラ」

「あ、いや。なんか寒気が」


 大量の買い物をすませて、今は部屋でリリに文字を教えてもらっている。買い物中に、店員さんがカードに入っている金額を見て、物凄く驚いていたがいったいいくら入ってたんだ?

 早く文字を読めるようになりたいものだ。


 にしても、今のはなんだ?背筋がブルッと震えてしまったじゃないか。

 誰かが、俺の悪口でも言ってるのか?


「ふ~ん。まぁいいわ。はい。次はこれね」

「サーイエッサー!!」


 あ、これはリリに言われた事であって、俺が言いたくて言ってる訳じゃない。なんでも自分の事を一度大佐と呼んで欲しかったらしい。だから、遊び半分で付き合っている。


「大佐殿!!この文字はどういう意味でありますでしょうか?」


 こんな喋り方なんて、初めてだからな。適当にそれっぽく言ってるだけである。 だが、楽しいなこれ。


「軍曹よ。今日はもう疲れた。私は寝る」

「ラジャー!!」


 ノートを閉じて、部屋のドアを開けてやる。


「一人で大丈夫か?送っていこうか?」

「ふぁ~。大丈夫。じゃあねソラ」

「ああ、気おつけろよ」


(バタン)


 あ、ノートを閉じた瞬間に軍事言葉ではなくなる。

これもリリが決めた事だ。

 にしても、母さんともこういう事をしていたのだろうか?また今度聞いてみよう。


(コンコンコン)


 ん?誰だ?


「開いてるよ?」


 ドアを開けたのはサイだった。なんでも夕食の準備が出来たらしいから呼びにきたそうだ。 どうも、わざわざありがとう。










 食堂にくるのは初めてだな。

 ここは、なんというか温かい感じだ。光玉(ひかりだま)の色が教室などにある真っ白で明るさがある物ではなく、黄色見のかかった光玉。

 あ、この世界では光を照らす時は魔法アイテムの類に入る光玉を使っている。電源の部分に手を触れると魔力を吸 収して光る仕組みだ。一度光が灯ればもう一度電源に手を触れない限り決して消える事はない。

 そして、広すぎず狭すぎずと言った落ち着いた木から作られたテーブル。と言っても、キャンプとかにある木その もの、のテーブルではない。普通に家庭で使われている奴だ。 

ルークの隣が空いていたので隣に座らせてもらうか。 さて、ここの料理を食べるのも初めてだからな。

パーティーの時の料理はキール先生が作ったみたいだけど、この寮って料理当番があるんだよな。

目の前にあるのは、俺の知らないこの世界の食べ物であろう物。

 材料は、元の世界にもあったキャベツやトマト。他には知らない野菜?が盛り付けてある。

 たぶんサラダ。それにウィンと書いてある白いドレッシングのような物をかけて食べるらしい。

 そして、これはハンバーグか?なにか肉の塊にトマトケチャップがかかっている。

 どれどれ、ハンバーグを一口。


(パク)


「う~ん」

「ああ。美味いのだが、な」


 俺の隣に座っている、ルークも俺と同じく微妙な顔をしている。

 うん。不味くはないよ?どちらかと言うと美味い。

 のだが、なにかこう味が足りない気がするんだよな。

 俺の知っている母さんのハンバーグは、こう肉が固くもないし柔らかすぎというのもなく素晴らしい物だ。 だがこれは、なんだか固い部分と柔らかい部分がごちゃ混ぜになっている。

 後、ちょっと脂っこいかな?

 でも不味くはないんだよな。


「誰が作ったのかな?」


 キール先生もなんとも言えない微妙な顔で皆に聞く。


「フフフ。それは俺さ!!」


 サイ?サイは今日当番じゃないよな?


「正確には、俺が一つ手本を見せて作った。それを今日の当番の1・2・3号室の奴らが量産した」


 なに!!サイは料理が出来るのか!?俺は出来ないぞ!!指を切った事なんて何度もある。

 男で料理できるのはいいことだ!!俺もがんばって練習しないとな。

 てか、この場合はサイが原因なのか?それとも1・2・3号室の今日の当番が原因なのか?

 普通に考えれば量産した当番なのだが、この17個のハンバーグの中にサイのオリジナルがあるとすれば、誰か気づく筈だ。

 だが反応がない。つまり今日の当番はサイのハンバーグを完全にコピーしたとでも言うのか!! だとすればすごいぞ…。

 そして原因はサイと言う事になるだろう。




 そして、この問題は結局サイが原因と言う事で皆の胃袋へと消えていった。

 まぁ、美味しかったんだけどね。原因とかどうでもよかったんだけどね。



あまり目立たないクラスメイト

ネーナ・ソウリン

ショートの銀髪で、瞳は紅く肌は日本人のそれ。元気いっぱいの女の子。

少し小柄な事を気にしていて、美人と言うよりかわいらしいと言うのがあっている。


M値は1400と平均よりは低めだが、魔法を扱う才能はすごい物。

チームは、クラスリーダーのいるAチーム。

M1400すべてを使って、空気の手。合言葉(パスワード)はエアハンド。

離れているものを掴んだりする事ができる簡単な魔法。

M1400でも上手く使えば、自分では持てない重いものなども簡単に持てる。

1400すべてのMを使ってインストールしている為に、日常で使う簡単な魔法などはインストールしていない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ