第4話 お姉様を探しに行くのですわ
「下の妹のカタリナ・アシスだ。ミルドラン殿」
ほとんどやけくそになって、ラルフォンは、銀の森の若長のミルドランにカタリナのことを紹介した。
ミルドランは、カタリナの幼いながらの美貌に見惚れた。
「ご挨拶申し上げます。ビルラード王国のカタリア・アシスですわ」
膝を少し折って、左手を胸に添える。世界共通の正式な挨拶だ。
「これは将来が大変楽しみな姫君だな。でも僕のお相手はお姉様のはずだけど……レジーナ姫はどうされましたか?」
ミルドランも幼い姫が本物の見合い相手だとは思っていない。
カタリナも、彼の気持ちを察して言った。
「お姉様なら、騎士と駆け落ちしましたわ。今は、西へ西へと街道を進んでおります」
一瞬場面は凍った。その中でいち早く立ち直ったラルフォンが言い放った。
「西だな? 速く追っ手を出せ!!」
ラルフォンは、周りにいた衛兵に命令を下す。しかしカタリナが「待った」をかけた。
「お兄様。お姉様には好きな人がいましてよ。身分違いだからこそ、王宮を出て行ったのですわ。でも、大丈夫です。あたくしなら、お姉様の後を追えますわ。直ぐに出発いたします!!」
「へ!?」
ラルフォンが、口をあんぐりしてる間にカタリナは、その場から消えていた。
こうなると、カタリナは止まらない。
厩へ行って、自分に合う馬に乗り込んで城門も無理やり開けさせて、颯爽と西方へと向かって行ったのである。
カタリナは、大地から情報を集めることも出来た。
うまいタイミングで、レジーナの乗って行った馬が足を痛めて行軍は、大国ヴィスティン王国のエラルードという街で止まっていた。
朝早くに、王宮を出た割に進めていなかった訳だ。
▲▽▲
「ねぇ、クレッグ。何とかなりそうですか?」
「完全に捻ってるな。これ以上走らせるのは可哀そうかと」
「困ったわね……何とか今日中にサマリスクまでは行きたかったのに」
「仕方ありません。大姫は、俺の馬に一緒に乗って下さい」
レジーナの顔がパッと輝いた。
クレッグも悪い気はしない。
そして、五頭の馬はひたすら街道を西に駆け進んだ。
が、遠くの方からでも分かる地響きと聞き覚えのある声がレジーナのもとまで風が運んできた。
「「お姉様~~!! あたくしも行きますわ~~!!」」
馬にあんなスピードが出るのかというくらいの超スピードで、後ろから、五匹の馬の行軍をロックオンして、追いかけてきたカタリナである。