表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/18

第3話 見合い当日

 その日は、数か月に一度行われるビルラード王国の西域への偵察部隊を出す日でもあった。秘密裏に『ディナーレ』より西のアルテア王国郊外のサントスという街まで行って、情勢を探って来るというものだ。

 人数は六名。いつもこの人数で行く。何か事件に遭遇しても解決できる最少人数の精鋭だった。


 だがクレッグ・ロゥは、頭を抱えていた。

 昨晩、大姫(この場合、第一王女レジーナを指す)にとんでもないことを言われた。


「一緒に逃げて!! 結婚させられるの!!」


 クレッグの心は、痛んだ。

 クレッグが騎士見習いの頃から、鍛錬場の方にいうも視察に来ていた大姫がご結婚!! 憧れ……仄かに恋もしていたが……。

 まさか……向こうも、同じ気持ちでいてくれていたとは……。

 だが、こちらはただの平民!! 貴族ですらない!!

 あちらは王族で、王妹だぞ!! 凛凛しく美しい男装の姫君だぁ……


 嬉しくもあり、困り果てたクレッグは、部下の一人の夜食に強めの下剤を投下した。


 そして隊長の権限で、朝日が昇る前に出発した。



 ▲▽▲



「レジーナ姫のお支度はまだですか?」


 銀の森の三賢人の一人が、立会人としてビルラード王国の王宮に来ていた。


 10の刻の約束だが、もう一刻は過ぎている。


 城内では、密かにレジーナ姫探しがされていた。

 大掛かりには出来なかったのは、魔法を操る一族と、その元締め(神殿の神官)がいたためである。


 見合いの相手である、エル・ロイル家のミルドランは、城に吹く風から情報を得て直ぐに、「嫌われたようですね」とポツリ……。


 何処の王女だってなれない身分を自分から手放すとは……。

 ミルドランは、正直に言ってレジーナに興味を持ってしまった。

 だが、彼の拾った風の噂は絶望だった。



 ▲▽▲



「では、レジーナは城には居ないのだな!? カタリナ」


 カタリナは頷く。

(なんで、昨日の内に気が付かなかったのだろう……)心の中で自問した。


「取り合えず、今日はお前が若長のお相手をしなさい」


 カタリナはポカ~ンとしてしまった。


「あたくしがお姉様の代わり?」


「これ以上若長をお待たせできぬ」


 カタリナは、シグリット夫人の「あと小半時だけお待ちを!!」の声と共に支度部屋に連れて行かれ、誕生日の時に作ってもらったドレスを身につけ、髪をまとめられて、リボンで結び、靴を履き替えてミルドランのもとへ連れて行かれた。


 うすい灰色の髪と瞳の美丈夫な青年がそこにいた。

 歳は、レジーナと同じだという。

 肩の下まで伸ばした髪を、後ろで結び、上質な上着を着ていた。

 上質というだけで、真新しいわけでもなさそうだ。


 ミルドランも、見合いの相手が急に13歳の少女になって戸惑っていた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ