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第10話 捕まりましたわ!!

ディナーレに着いて三日目

 クレッグたち一行は、目立たぬようにヴィスティン王国の内情を探っていた。


「おかしいな……騎士の数が多すぎる。何か、企てているのかもしれない」


 ディナーレに着いてから、やたらに騎士の姿を多く見かけるのだ。


「どうします? 隊長。神殿に報告しますか?」


「騎士の数が多いだけで、報告したら、こっちが探ってることを公にするだけだぞ。もう少し、証拠がほしいな……」


 クレッグは、ビルラードからいっしょに来た騎士四人と話していたのだが、そこに、小さな金色の頭が混じっていることに気が付いた。


「ちい姫……」


「ねぇ、クレッグ。どんな証拠があれば良いのです?」


「大姫!! ()()を俺たちの話に混ぜないで下さい」


「あら、ちょっと目を離したら」


 カタリナは、「フフフ」と笑って、


「お姉様、半刻(30分)近く、あたくしの影と話してましたわ」


「まあ!!」


 ここでもカタリナは、新しく思いついた魔法を試してみたくて、レジ-ナ相手に使っていたのである。


 でもこれは、簡単すぎた。

 で、クレッグの役に立ちたいと思ったカタリナである。


 そして、次のお試し魔法は決まっていた。


《精神飛ばし》だ。

 肉体から精神だけを飛ばし、いろいろなことを見たり、聞いてみたいと思いついたのだ。


『黒騎士、あたくしが王宮を探ってみますわ。待っててください」


「ちい姫? 何をするつもりだ?」


 クレッグが、カタリナに喋りかけた時には、カタリナの身体に意識はなく、精神を飛ばした後であった。


「精神を飛ばしやかったな!! 危険な魔法だ!! 直ぐに呼び戻さないと」


「誰が?」


 レジ-ナの言葉に一同は、静まり返ってしまった。


「ああ、もぉ!! 俺が風の声を追いかけてやるよ! 俺には、それしかできないからな?」


「十分だわ、ありがとう。クレッグ」


 レジ-ナは、申し訳なさそうにクレッグに頭を下げた。


 クレッグは、皆から少し離れた木の下に行って、耳を風の精霊たちの噂に集中させた。

 クレッグには、風追いという特技がある。もともと父親が正規の魔法使いではないが、かなりの風の使い手で、クレッグもその片鱗を中途半端に継いだのだ。


 カタリナは、ヴィスティンの王宮に潜入する事ができて、いい気分であった。

 城の造りは古く、王の間では四、五人の男が集まって大きな設計図を広げていた。

 カタリナには、それが何の設計図か分からなかったので、もう少し近くに行って見ようとした時に、精神がからめとられてしまった。

 縄のようなものなものだったが、今のカタリナは精神体なのだが、彼女の存在に気づいた者がいるのだ。


「陛下、可愛いらしいネズミが、かかりましたぞ。何処の者かききだしましょう」


「こんな奥の間に入り込むなど、何者だ? フェザー!!」


「どこぞの子ネズミでしょう。正体を暴いてきます」


 言って、黒衣の導師の服を着た男は、カタリナの精神体を棘の縄で縛り上げて空中高く移動していった。

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