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事の終わり
花火大会から数日。
夏期補講で集まった教室でわずかに違和感が漂っていた。
その理由のひとつ――
蒼馬と古賀が学校にいない。
表向きは「体調不良による欠席」。
だが、生徒たちの間ではさまざまな憶測が飛び交っていた。
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「ねえ、やっぱ蒼馬くんたちってさ……なんかやらかしたんじゃない?」
「ていうか、あの夜の件、関係あるんじゃ……?」
「さすがに偶然とは思えないって」
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昼休み、屋上。
「……結局、あいつらどうなったの?」
玲奈がポテトを口に運びながら言う。
「表向きは“指導中”ってことらしいけど……たぶん停学処分だと思う。少なくとも、あのやり口じゃ」
結愛が静かにスマホを見ながら答える。
「自分じゃ手を出さずに、他人を使うなんて。……正直、最低だよね」
「うん。……でも、蓮くんがちゃんと避けてくれて、本当によかった」
咲がそっと呟く。
「せんぱい、何もしてないのに“全部守った”のって……かっこよすぎです……」
楓の声に、蓮は苦笑するしかなかった。