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体育祭ーフォークダンスで君と

体育祭の競技がすべて終わり、校庭はオレンジ色に染まっていた。


最後のイベントは――フォークダンス。


男女が輪になって、音楽に合わせて手を取り、次々に相手を替えていく。

義務のようでいて、どこか特別な時間。


朝霧蓮も、その輪の中にいた。


音楽が流れ始め、少しずつ、ゆっくりと人の流れが動き出す。


【姫川 咲】

最初に向かい合ったのは、姫川咲。


にこっと笑って、手を差し出す。


「……今日、見ててくれた?」


「すごく頑張ってた。全部、見てたよ」


咲の顔が赤くなる。


「……私も見てたよ…」


一回転のあと、咲はほんの少し、蓮の手を長く握っていた。


【黒瀬 結愛】

続いて手を取ったのは、黒瀬結愛。


目を逸らさずに、静かに言う。


「……今日は、勝ちたかった。誰に、ってわけじゃないけど」


蓮は少し考えてから答える。


「全力でやってる姿はわかったよ」


その言葉に、結愛は一瞬だけ目を見開く。


「……そっか。なら、それでいいや」


さらりと言いながらも、耳がほんのり赤くなっていた。


【早乙女 玲奈】

次に現れたのは、いつもの勢いのまま近づいてきた早乙女玲奈。


「よっ。……今日はどう? 惚れた?」


「なっ…!?」


「えへへ~!」


いつもよりさらに楽しげに見えた。


【志賀 楓】

そして最後に手を取ったのは、志賀楓。


「わーい、せんぱい。ラストですねっ!」


笑顔を浮かべたまま、手を握る力が少しだけ強い。


「今日、たくさん頑張ったんですよ。見ててくれました?」


「ああ」


「ふふっ。じゃあ――これからも、他の女の子よりもっと見ててもらえるように、頑張りますね」


そう言って、手を離す瞬間――

「せんぱい、また次も……お願いします♡」

と、そっと囁いた。


夕暮れの校庭に、音楽が静かに消えていく。


騎馬戦、パン食い競争、フォークダンス――


すべてを終えて、蓮の心には確かに、余韻が残っていた。

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