表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/85

聖女たちの思い

【姫川 咲の心情】


教室の窓際。春の風に揺れるカーテンの隙間から、咲は何とはなしに空を見上げていた。


(……私、さっき志賀さんに、ちょっときつく接しちゃったかも)


図書室での一瞬の会話。あのとき、自分が彼女に向けた視線や口調が思い返される。


(ああもう、私ってば……大人気ない)


心の奥がもやっとして、少しだけ自己嫌悪。


でも――


(……それでも、譲れない)


胸に手を当てて、そっと目を閉じる。


(あの子が先輩で、中学からの知り合いでも。……私には、今がある)


咲はゆっくりと深呼吸した。


(朝霧くんと、ここで過ごしてきた時間に、嘘はないから)



【黒瀬 結愛の心情】


図書委員の活動を終えて、教室へ戻る途中の廊下。


(……志賀さん、いい子だった)


蔵書整理の合間に少しだけ話した、好きな作家のこと。物静かで、でも話してみると芯があって、言葉の選び方も丁寧で――


(正直、ちょっと好感、持っちゃったかも)


でも、それでも。


(だからこそ、負けない)


黒瀬は、静かに視線を前へ向けた。


(私だって、“ありがとう”を言いたかった人に、ちゃんと届いたから)


彼女の目には、確かな意志が宿っていた。



【早乙女 玲奈の心情】


下校の帰り道。スニーカーで舗道を蹴るように歩きながら、玲奈は何度も同じ言葉を頭の中で繰り返していた。


(なんか、増えてない? 朝霧くんのことを“気になる子”)


でも――


(ちょっと……面白くなってきた)


誰かが狙ってる、って思うと、逆に燃えてくる。

恋のライバルが増えて、混戦模様になるなんて――


(ラブコメじゃん!)


思わず口元がほころぶ。


(でも、負けたくないし……私も、頑張る)


制服のポケットに手を入れて、小さく拳を握る。


(絶対に、“好き”を諦めない)


その歩みは、どこか軽やかだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ