影の話(2)
「これから話すものは、極秘のため誰にも口外してはならない。わかったね?まあ口外するための『人』に今後会えるどうかは別としてね。」
そう言って説明が始まった。もう何が話されても、何が起きてもびっくりはしないと私は自分に言い聞かせた。もう人に会えないってか。まじか。
「レイン家には、昔から代々伝授されてきた「壊葬殿術真化郷またの名をシリアスクラッシュ」というものがあるんだ。」
なになに?!すごい厨二病っぽいのきたー笑
びっくりした。うん、もうびっくり。認める。
「君にはこれからそれを術得してもらう。だが今はその話よりもこっちの方が重要だ。」
一息置くととうとう本題に入った。
「私は君がどこまで知らないのかを把握してないから、まずはニューワールド政策から説明する。よく聞いていてくれ。
ニューワールドはその名の通り、『新しい世界』。つまり、この世界を作り変えるということだ。今の世界がサイム連合にとっては不服なんだ。理由は今の王の権力の強さだ。大体のことは王の力でどうにかなるからね。
ニューワールド政策を行おうとしている、サイム連合の大将「サイム」は、王として多くの手下、側近の家族を従えている。
その手下や側近の家族「櫻木家」は、家系法の「壊葬殿術真性郷またの名をダイナクラッシュ」を使えるんだ。
この力を使って、ニューワールド政策を行うという情報が私たちが送った刺客によって判明した。政策の内容はずばり、シリアスクラッシュの撲滅だ。
今我々がこうして安全に暮らせているのは、他でもないシリアスクラッシュのおかげなんだ。その力はとても強大で、どんな「悪」をも必ず砕く、いわば神に授かれし力であり、それに対抗する事はほぼ不可能なんだ。ほぼ一つのことを除いてね。その一つというのが、ダイナクラッシュを持つものの結託だ。」
一旦一息をついた。すごい情報量で頭がパンクしそうだ。
つまりは、私の家系法でニューワールド政策を阻止すればいいんだな。
私の家系法ってすごいんだー。まだ全然知らないけど。
しばらくすると、また話が始まった。
「私たちのシリアスクラッシュは、それぞれの場所でそれぞれの役割、例えば結界で守護神のようなものをしており、ひとつひとつの力は強いが、その力が集まることはほぼないんだ。一人一人がこの力を持つことによって発揮されるものであるため、結束という事がとても難しいのだ。頑張れば出来ないこともないが、、、ほとんど無いと言っても良いだろう。比べてダイナクラッシュは、櫻木家の党首が全てをその手で操ることができるため、ダイナクラッシュを持つものの力を収束することは容易いことなんだ。
そこで、私たちのシリアスクラッシュがそのダイナクラッシュによって端から少しずつ崩される可能性が出てきた。
だが君の家系法を使えば、もしシリアスクラッシュが崩されても全て元通りにすることができる。君は言わば救世主なわけだ。
そこで改めて聞くが
私たちの救世主になってくれるか?
君は今日、こうやって急にここへ呼ばれて動揺してるかもしれない。なにを言っているのか分からなくて不安かもしれない。
それでも私たちには力が必要なんだ。
私たちのことを信じて欲しいんだ。
どうか、、、どうかお願いだ。」
自分がどうしたいのかは置いておいて、その者たちからは心の底から私の助けが必要なんだと感じた。
私の意志かは分からない声が自分の喉から出てきたのが聞こえた。
「はい。この私に任せて下さい。必ず守って見せます。」