誕生日
私の名前は、レイン亜弥利。お父さんがフランス人、お母さんは日本人のハーフだ。顔立ちはヨーロッパの人としか言いようがないような顔だ。と言っても、私は日本から出たことはないし、日本語しか喋れない。よく道端で年寄りにハローって言われるけど、ちょっとイラつきながら笑顔で皮肉を込めて、こんにちはって返すような捻くれ者でもある。お父さんは私が物心つく前に死んでしまったので、顔は覚えていないがきっと私みたいな顔をしていたのだろう。私には中学校からの一番の友達がいる。すいちゃんとは小学校も一緒だったのだけれど、その頃は、誰ってなるくらい互いに知らない間柄だった。中学生になって同じクラスになると、すぐに仲良くなった。価値観がすごく似ていて、日々の小さな考えや出来事に対しての思いが、毎回共感できるものばかりだった。前世はきっと双子だねーなんていって笑ってた。こう考えると、周りの環境には恵まれていたのだなと改めて思い知らされる。
その日は私の誕生日だった。
誕生日に学校あんのかー。土日がよかったなー。いっそのこと亜弥利記念日作っちゃうか。と思ったがそんなのは無理も承知なので、諦めて朝の支度を始める。
家を出る時、お母さんが仕事の帰りににケーキを買ってきてくれるって言ってたから、学校に行っている間に何味かなぁーなんて想像してた。学校に着くと、すいちゃんが駆け寄ってきて、誕生日おめでとうって言ってプレゼントをくれた。中には可愛いシャーペンと筆箱、手紙が入っていて、嬉しかった。
いつも通りの日常がそこにはあった。
今思い返せば、変化があったのは確かこの後からだ。
つまらない授業が終わって、部活がないから早めに帰れるやったーなんて言って学校を出る。帰り道を歩いていると、ケーキの味が気になってきた。何味買ってきたんだろう。定番のチョコかな。いやサーティーワンのアイスケーキかもしれない。ショートケーキもありだな。
最寄駅に着き、電車に乗る。20分ほどして、いつもの駅で降りた、、、あれ、おかしいな。降りる駅間違えたかな。いやこの景色はなんだ、、、
そこには知らない景色が広がっていた。都会とは思えないような、いや、日本とは思えないような緑の大地が地平線の彼方まで広がっている。まるで映画の世界だ。
改札のない駅を出て、草原を歩いてみる。こごち良い風が頬を撫でる。今度すいちゃんもここに連れてきてあげよー。なんて駅だっけな。
急にドキッとした。誰かの強い視線を感じたからだ。振り返るが誰もいない。
そういえばだが、思考が停止してたことを思い出して、現状の事を冷静になって考えてみる。
??
え、いやちょっと待って、、、
ただただ疑問が浮かんでくる。
えーっと私はいつも通りの電車に乗って、いつもの駅で降りて、、、あれおかしいな。どこで間違えた、、、?
っ?!
その時なにかが私の身に起きた。一瞬で何がどうなったのか分からなかった。
私の記憶はそこで途切れた。