滅んだ世界
まあなんとかなるっしょ。
今まではそう言って乗り切ってきた。でも今回のは流石にまずい。どうしよう。本当にどうしよう。現実を受け止められなくて、受け止めることが怖くて、思考が停止する。なにも出来ないまま、いや、何かをするというのがどうしようもなく怖い故に動けないまま、ただ時間が過ぎる。時間といっても、もうここではそれは意味を成さないということが頭をよぎる。事実がだんだんと私の中で本物になっていく。
ああ。頭が痛い。さっきから時々来るこの頭痛の原因はなんだ。一定の時間ごとに頭に激痛が走る。まるで地球がまだ生きているみたいに。そんなことを言って、まだ希望の光を信じていたのかと自分に失望する。
すいちゃん、今まで一緒に居てくれてありがとう。すいちゃんとは価値観がすごく似ていて、他の人とは分かち合えない気持ちを伝え合ってた。前世はきっと双子だねなんて言って笑ったな。
これが走馬灯ってやつか。16歳では見たくなかったな。
周りは物音を一切立てず、途方もないほどに静かで、落ち着きがなくなる。どうしてこうなってしまったのだろうかと自分を悔やみ、憂い、呪った。でも今となっては、その行為すら、もう誰にも知られることはないのだ。誰にも宿題を手伝ってもらえないし、その宿題すら課されない。なんだか宿題までもが恋しい。そんなことを言っている暇はない。なにをしても変わらないこの現状を打開するべく術はないかを考えなければ。でも、どう足掻こうと、どう叫ぼうと、誰も来ない。私の存在に、私の生命活動に気づいてくれる人は何処にも居ない。
世界は滅んでしまったのだから。