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フレンド

作者: 李アイ
掲載日:2024/05/08


 ミリは今日も幼稚園に向かう。息子であるユウタロウのお迎えの時間だからだ。


 しかし道の角を曲がる瞬間、彼女は咄嗟に立ち止まり、踵を引いて身を隠した。


 (ワコちゃんのおばあちゃんに捕まると長くなる)


 そう思い、反対側の道からゆっくり歩いた。


 昨日のことであった。


「セラちゃんがほぼ毎日のように家に遊びに来ているのよ。セラちゃんのお母さん、あまり言葉が通じなくて……、ユウタロウくんのお母さんからちょっと言ってくれないかしら。毎日は私もちょっと疲れるから、たまに来て欲しいなと思って」


 セラ自身に言えば通じるだろうに、と思ったが。


「あ、そうですか。言ってみます」

「言葉が通じないんじゃねぇ」


 ワコのおばあちゃんはこう言って帰って行った。


 そこでミリは、セラの手を引く母親に話しかけた。


「ワコちゃんのおばあちゃんがそんな風に言ってたけど」

「うん。でも、セラはワコちゃんと毎日会いたいって言うの。セラはワコちゃんが特別なフレンドだと言って聞かないのよ」

「じゃあ、どうしようもないのね」

「いくら言い聞かせてもダメよ」

「そう」


 ミリは大学留学のために日本に来てから十年後、同じ会社で知り合った人と結婚して東京に住んでいる。


 一方、セラの母親は夫が日本で働く韓国人で、韓国から来たばかり。日本語があまり上手くなかった。


 ワコの母親はキャビンアテンダントとして国際線で働いている。仕事中は、おばあちゃんがワコの面倒を見ていた。


 しばらく静かな時が過ぎ、3月3日のことだった。


 ミリがユウタロウを迎えに行った帰り道に、一つの群れが出来ていた。同じ組の女子、約12人の群れだった。


 その先頭にはワコのおばあちゃんが立ち、子どもたちを引率して歩いていた。


 全員を家に招いて、おひな祭りをするらしい。


 もちろん、おばあちゃんのすぐ後ろには、セラとワコが手を繋いで歩いていた。


 その後、ユウタロウも幼稚園を卒業して小学校に行ったが、この二人と同じ学校になることはなかった。


 周りには小学校が何校かあって、選んで入ることが出来るからである。


 またそれから十二年が過ぎ、ミリはバス停でセラの母親にばったり会った。


 セラはアメリカへ行って、英語を学んでいると言った。


 ミリはみんな大きく成長したんだなと思った。


「ユウタロウくんも大学でしょう」

「うん、行ってるよ」

「私は仕事しているのよ」


 彼女は明るく、普通に話した。

 二人は同じバスに乗って、別の場所で降りた。


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