02.対話イベント
『まあ、そう言うなよ。異世界転生、しかもTS転生は男の夢なんだからさあ』
「どんな捻くれた生き方したらそんな夢を持つようになるんだよ……?お前さんの世界ではソレが普通なのか……?というか美少女になって何をすんだよ?男としっぽりやれって言われても流石にむりだからな……?俺にも俺の……絶対に引いちゃならねえ矜持ってもんがある。それともお前さん、もともとはメスの個体だったりするのか?」
『は?俺は正真正銘の男だぞ?あと男と寝るとかありえないから。俺は美少女になって最強の百合ハーレムを築きたいの!あ、TS女と女の百合は解釈違いや教義の違いで最悪殺し合いに発展するから発言には気をつけろよ?』
「お前の世界はどんだけくだらねえ事で相争ってんだよ!?」
こちとらタダでさえややこしい国家情勢と人種問題と群雄割拠の魔王共のせいで人間も亜人も……魔族でさえも望まない泥沼の殺し合いの日々が続いてるっていうのに、どれだけくだらねえ理由で争いあえるんだよ。
いやまあ、ある意味では生存や尊厳をまもる為でなく、くだらない理由(本当にクソくだらない理由)で争いを起こせるのは他の部分が恵まれているからかもしれねえが。
そもそもだ。
「お前さんは美少女になったうえで女と乳繰り合いたいんだろ?身体を共有してるとは言え元オッサンの美少女?と他の女の乳繰り合いなんか見てて楽しいか?それともそう言う時だけはお前さんに身体の主導権を譲ってやったほうがいいのか?」
『ん?俺にそんな知識があるわけがないだろう!!!!!んな状況にいきなり放おり出されてみろ!!一瞬でパンクするからな!?』
「悲しいことを堂々というなよ!?」
『あと、俺の世界には元おっさんのなTS美少女がオッサンの精神のままガサツにふるまい、その達観した精神性で行動するギャップを楽しむ派もいるし女の子に女の子としての楽しみ方やメスの快楽をおしえこまれ心まで女になっていきつつもいざとなったら勇ましく頼もしい所をみせるハイブリッド派もいる、いっそメスとしての本能に抗えず男に恋してしまうメス堕ち派もいるからな?中身オッサンのTS需要は結構あるんだぞ?』
「どんだけ業が深いんだよ、マジで(ほんとマジで)」
『ちなみにその派閥は複数、なんなら全部に所属することもできる!俺も全部行けるからどう転んでも美味しいし見てて飽きない!!だから安心してくれればいいからな!!』
「だからどんだけ業が深えんだよ!?テメェの世界は!!?」
本当にこいつは大丈夫なのか……?
あるいは俺は命よりもやべえものを差し出してしまったのでは無かろうか……?
そんな後悔が思考に取り付いてくるが、すでに事は済んでいる。そもそも契約を果たすからこそこの自我は保たれているという事を忘れてはならない。俺は気を落ち着かせる為にベッドに腰を落ち着けた。
自らの身体が小さいからかやけにデカく感じる。
行きつけの宿屋の一室で慣れたベッドだって言うのにやけに新鮮な感覚だ。諸事情で此処に駆け込む必要があったものの、落ち着くことのできる空間と時間ってのは今の俺に一番必要なものだったらしい。
「いつまでも漫才してても話が進まねえからな。ここらでいっぺん状況を整理するとするか。思えばお前さんの話ばっかり聞いて俺の事は殆ど話しちゃ居なかったしな」
『お、自らの内側に潜む化け物との対話、若いイベントか!?』
「お前が言ってることは殆ど解らんが、それは少なくとも最序盤でやる展開じゃねえことだけはわかる。っていうかいい加減話をすすめさせろ!?」
とは言え、別段語るほどの人生もないのだが。
それでも打ち解けあうのに身の上話はコレ以上なく有用だ。わかり合う必要はない。テメエの過去と相手の過去に適当な共通点のひとつでもありゃ人間は案外仲良く慣れるもんだ。
人種なんてお構いなしに。
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