【イラスト作成AIブームにより、mimic何某というライン超えAIが作られた件について】
さて。単刀直入に言おう。
俺は怒っている。
mimic何某、お前は何を考えているのだ。
先日、midjourneyについて文章を書いた。私はそこでAIの出現によって引き起こされる可能性のある問題について少し話した。読んでくれた方はありがとう。まだの方はぜひそちらも読んでくれると嬉しい。
あの時、私はmidjourneyはいけすかないやつだと思って書いていたが、このようなツールが出てくるのは仕方がないという風にも思っていたのだ。
ただ、今回の新しいAI、【mimic】は話が違う。
ふざけるなと。煮えたぎる怒りをこの場に叩きつけようと思う。私がなぜ怒っているのか、それはこのAIの根幹にある。
公式の謳い文句をここに載せよう。
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mimicは描き手の個性・画風をAIが学習して、その方の書き方が反映されたイラストメーカーを自動作成できるサービスです。30枚以上のイラストがあれば、あなただけのイラストメーカーを作ることが出来ます。
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ふむ、つまり絵を入れればそれに似た絵が勝手に作れるというわけだ。
ここで既に不愉快なのだが、このツールには大きな問題がいくつかある。
パッと出てくるものは
・プロイラストレーターのパクリ量産できる
・自作発言が容易にできる
・権利云々
辺りだろう。この時点で色々と問題があるのはよくわかるが、このAI、もとい公式がいかに「ヤバい」のかを話そう。
このmimicは、最初のツイートでこう言った。
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本日、イラストレーターさんの絵の特徴を学んでイラストを生成するAI サービス mimicをリリースいたしました!
2回までイラストメーカー(イラスト生成AI)を無料で作成できますので、ご自分のイラストを学習させたい方は是非ご利用ください!
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これを見たら、有名なイラストレーターの絵柄を真似させられる!つまり絵が描けない人でも画像が作れる!これはすごい!
という思考回路になる人が出てくると思うだろう。この手のAIツールの需要はここにある。自分で描けない人が、簡単にクオリティの高いものを作ることができる。だから、ツールを使う。イラストレーターに依頼するより安く済むし、好きなように弄れるから。
ところがどうだろう、このmimic、おかしなことを抜かすのだ。
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mimicでは15枚〜30枚程度のキャラクターイラストをアップロードすると、自動で顔部分を切り取り、AIが特徴を学んでイラストを生成します。規約によりご自身が描いた画像のみアップロード可能ですのでご注意ください。
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笑えない。本当に笑えない。
ターゲットはまさかのイラストレーター、絵描きたちだったのだ!
これは傑作という他ない。
絵を描ける人たちに『あなたの絵、簡単にコピーして似たもの作れますよ。使いません?』ってわけだ。
まず商売が下手だ。ターゲット層の選定を間違っている。
そして、だ。私がこのツールに対して激しい怒りを覚えたのは、
→ ご自身が描いた画像のみアップロード可能ですのでご注意ください。
バカにするのも大概にしろ。
いいか、自分の絵しか使えないなら権利問題解消できたな、と思っているだろう制作者よ!
随分と舐められたものだ。
この制作者はおそらくイラストなど描いたこともない、好きなイラストレーターさんもいない、イラストのこと自体そもそも商売道具としか見ていない、理解の足りない人間だ。商売に使うにしろ、その対象の理解がないのに成功すると本当に思っているのか。
商売に使うなら使うでそれを理解し、伝統を守り、それで奇抜なアイディアを混ぜ込んで儲けにつなげるってものだろう?それを絵描きやイラストに対する理解もなく、このようなツールで商売だなどと、本当に舐め腐っている。
さて、一番怒り狂っていることを話そう。
このツールは『絵描きであるお前の絵をコピーしてやれるぞ』という代物だ。
自分で絵が描ける人がこんなツール使うと思ってるのか?俺たち絵描きを舐めるな。プライド持って描いてんだ。自分の描きたいものは自分で描く。顔しか描けない上に粗悪品を生み出すツールなど使うものか。一昨日出直せ。
自分の絵をAIでコピーして、それを見た大衆が『いい絵ですね』と評価したとする。どんなに人が褒めようが、絵描きが一番分かっている。その絵に価値など感じないことを。自分の脳内から引っ張り出して、実際に手を動かして、思い描いたものを絵にする。そうやって今まで描いてきたのに、※たった数秒、数分で作られた『自分によく似たイラスト』に価値など見出せるだろうか?
いいや、無理だ。絶対に見出すことなどない。今まで何枚も何枚も絵を描いてきたからこそ、自分の絵が描けるのだから。常に頭の隅に、AIを使って作った言わば『ズル』だと残り続ける。
もう絵を描かない人でもわかるだろう。このAIになんの価値もないことを。
規約で自分のイラストしか使えない、かと言って絵描きは使わない。
残る価値は『悪用』だけだ。
規約があろうが自分の絵でないことの証明などできないのだから。10枚自分のイラストを入れて、1枚だけプロのイラストを混ぜたとする。そして少しずつ混ぜ込んでいけば、元の自分よりは上手くなっている。そのような『ズル』にしか使えないのだ。
また、他人のイラストで作ったAIイラストを自作発言したとして、それの真偽を問うことが出来るわけがない。悪魔の証明然り、やっていないことを証明など不可能に近いのだから。
※追記 私も自分のイラストをAIに食わせてみた。出てきた文字はこうだ。『通常では数時間で作成完了しますが、混み状況次第では数日程度掛かる場合があります。』
自分で描いた方が早いなら余計使うわけがない(時間がないから使うという人もいるかもしれないが、そもそも今絵がちゃんと描ける人はそれだけ時間を使ってきたのだからおかしな話だ)
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よってこのツールは、ルールを守らない、絵に対して理解のない人にしか使われないAIなのだ。
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嗚呼、なんという駄作だろう。予言とまではいかないが、このサービスは近々なりを潜め、終了するだろう。いや、むしろ商売として成功したのなら私は人間に失望する。利用していると言うことは、自作発言をして密かにAIを使ってイラストレーターを気取る輩がいると言うことなのだから。
ある人は言った。
『多くの場合、イラストレーターは芸術家になれない。』
このようなツールが出回るのだから、そうでも仕方がない。かつて有名な絵画や文書を複製したレプリカは、今では芸術品として捉えられる場合がある。それは、かつては手作業で、精巧に複製していたからだ。
今のように自動的にコピーされ、元を知らずにばら撒かれれば、イラストが芸術になることがいかに困難か想像することは容易い。イラストが芸術となり得るのは、人が自らペンを持った場合のみだ。
故に、イラストの価値を貶めるこのツールに対して悪感情を抱いていたわけだ。
私の意見に賛否両論あるかもしれないが、少なくとも私はこう思った。絵描きのイラストに込めた魂を踏み躙るこのツールは嫌いだ。
文字数も微妙なところなので、とある絵描き、『カツキシオン』の独白でも見ていってくれ。こういうのは少し恥ずかしいくらいの文章が丁度いいのだ。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
俺は昔、自分の絵が好きだった。絵は日々を彩ってくれた。それで沢山描いた。友達家族、先生、みんなが俺の絵を褒めた。俺は嬉しかった。自信を持った俺は、ある時外の世界に触れた。周りはみんなレベルが高くて、俺は自分の下手くそな絵が嫌いになった。手癖の落書きに逃げた。いつしかまともに描かなくなった。
しばらく経って、あるアニメを見た。あるイラストレーターの絵に再会した。それで、もう一度ペンを持った。無性に絵が描きたかった。もう逃げたくなかった。A4紙の束を持って、いつでも絵を描き続けた。下手な絵を捨てないで、俺はペンを持ち続けた。何冊もノートを埋めて、何百枚とコピー用紙に絵を描き殴った。同い年のイラストレーターが成功するのを見て悔しかった。絵が上手い人を羨ましいと思った。
俺はプライドが高い。表向きでは自画自賛して、楽しそうにしていた。本当は下手な自分が嫌だった。絵を描いて、描いて、描いて、下手な自分と戦って、自分よりも上手い、自分よりも成功している人を妬んだ。
それでも徹夜で絵を描き続けた。手が動かなくなるまでペンを動かして、苦手だった色も塗り始めた。睡眠も削って、休みも削って、一枚の絵に何時間もかけて、泣きながら机に齧り付いて。それで、ふとした時に振り返ったら、絵が上手くなり始めてた。昔の自分と比べたら、確かに俺のかけた時間だけ絵は伸びてた。
再び外の世界に出た。確かにまだまだ未熟なのは明白だ。だけど、初めて外の世界で絵を褒められた。かっこいいですね、上手いですね、そうやって俺の絵を認めてくれる人が出てきた。俺は描き続けた。ぽつぽつとみてくれる人が増えた。フォローバックもろくにしない俺を、今じゃ400人以上が見てくれてる。俺にとっての400人は、本当に俺を肯定してくれる大切な100万人にも匹敵する人たちだ。
俺は流行りに乗るのをやめた。自分にしか描けないものが描きたかった。沢山絵を見て、資料を見て、描いて、描いて、いつか「自分の絵」を完成させられるように、今もペンを持っている。おそらく俺は生涯絵をやめない。例え人気が出なくて、いつか忘れられて、誰も何も言わなくなっても、俺は絵を描くことを知った。だから、俺は絵をやめない。俺はみんなに、そして俺自身に支えられたことを忘れない。
俺は絵が好きだ。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
絵を描く人は、その程度に関わらず、自らの時間を、魂をかけている。沢山の絵描きが筆を折る中、自らは折らずに、自分の腕一つを信じて絵を描いてきたのだ。死ぬ気で、絵が好きだから、描いてきているのだ。上手い、下手、そういう次元を超えて、絵描きは絵が好きだ!好きだから描くのだ!
mimicよ。愛のないツールに正しい価値は生まれない。人が愛して使うからこそ道具には価値が生まれる。空虚なこのツールで何をする。落ちぶれた先にあるのは絵の価値を下げたという結果だけだ。
嗚呼、なんとも残念なものだ。生み出された『創造物』であるmimicが、他の創造物の価値を貶めるのだから。
ここまで勢いで書いてきたので、文章もあまり綺麗とは言えないが、今のこの憤りを表すにはこれほど効果のあるものはないだろう。読んでくれた皆様は、暇つぶしになったとでも思ってくれたらありがたい。私の意見に同意も批判もあるだろうが、悪意があるわけではないので悪しからず。思ったことがあれば感想かTwitterにでも描いてくれたら読ませていただきます。
読んでくれてありがとう。
またまた汚い文章でしたが許して下さい。
前回のAIツールについてのエッセイや二次創作についてのエッセイもあるのでよければ読んでくれると嬉しいです。
【例のAI、midjourneyと人間絵師の関係、そしてAIが引き起こすであろう現象について】
https://ncode.syosetu.com/n7270ht/
【二次創作について嗤われたので、僕も一緒に笑いました-二次創作物に創造性はあるのか、芸術としての価値はあるのか-】
https://ncode.syosetu.com/n9090hu/
それでは皆様、良い創作活動を!
追記:mimicが無期限停止となりました!権利の問題を解決出来ておらず、それが成功したら戻ってくるらしいですね。お疲れ様でした!(もし今後、権利の問題を完全解決する手立てを生み出せたのなら、なかなかすごいと思うので素直に褒めます。利用はしませんが)