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功徳天の指輪

作者: 裸形炉

山々に囲まれるひっそりと佇む里がある。人々の世界にありながらそこは外の世界とは隔たれた空間。そこに住まうは鬼の一族。その里に一人の男が迷い込む。偶然だったのだろうが捉えられた気さくな人の男。最初こそ嫌がられていた男だったが里の鬼と交流を深め一族の長である女の鬼との間に子供をもうけてしまう。しかしである男はふらっとその里を後にする″やるべきことがある″と一言残して霧のように消えてしまう。あれから10年が過ぎたある日鬼の少女がこっそりと里を抜け出すのだった。里は大騒ぎだ一族の長である女の鬼は娘を連れ戻すように赤い鬼と青い鬼を街へ向かわせる。少女は街の大きさにあっけにとられる。里で育った彼女にとって外の世界の凄さには頭の中で空想したものとは段違いであった。見るもの聞くもの触るものそのすべてが夢の国のようだ。ウインドウに顔を張り付かせキラキラしながら覗き込む様は田舎者の典型である。さて田舎者が都会に出て来て最初に行われる事?それは「お嬢ちゃん、パパやママは一緒じゃないのかな?」都会でよくある風景売り払われるのか、体を貪られるのか…………珍しい事ではないが………「ともかく一緒に」胸ぐらを捉まえられる女の子だったがやめてと振り払うと男は壁へと吹き飛ばされる。「おい大丈夫か?」仲間が駆け寄るも男の意識は無く気絶している。「お兄ちゃん大丈夫?」吹き飛ばした女の子が駆け寄る「化け物!!」一人の男が叫び逃げ出すと蜘蛛の子を散らすように男達は居なくなる。ポツンと残される女の子哀しそうに歩き始める…………「広い街だ………鉄の塊が走っておる」年老いた緑の鬼は不思議そうに観察している「田舎者だなぁ、トカラの爺様は引き籠もってると想像力が欠如しますよ」緑の鬼の2倍近い背丈の黒い肌の遊び好きな鬼「サラタカの坊主はちょくちょく里を抜け出すのだったな、やれやれ想像力かこれは痛いとこつくの」そんな様子を人混みの奥から覗き込む少女「ぶーっとな!トカ爺とバカタカまで母上は本気だなぁ」「おい、お前!」後方からの声にハッと振り返るそこには中学生の男の子が立っている浪人のような髪型にカバンを腰から下げている。薄いカバンは優等生には見えない。キャー叫び声を両手で押さえ込む「何もしてないだろう?落ち着けって」……………アイスクリームを夢中で食べる少女「トリプルって見た目田舎者のくせによく知ってるな」財布を見ながら溜息をつく中学生「ところでお嬢ちゃんみたいな小さな女の子がどうしてこんな所に、親は何してんだよ。辺りを探してもいないみたいだし、ここら辺は都会でもかなりガラの悪い人々がおおいのよ。少しは気をつけアイスクリームを片手に目をキラキラさせながら学生服を引っ張る女の子。彼女の視線の先にあるクレープの屋台方へ引きずられる。ふと横を見ると遠くから此方に向かう上半身裸に大きな鬼の顔の彫り物をしている背の高い男とはちきれんばかりの胸に上半身ビキニだけ同じような鬼の彫り物こちらは右腕かな?スレンダーな女性が歩いてくる。カップルではない「″鬼吸の園″かよ、勢力圏を拡大してるとは聞いていたけど」女の子の腕を掴み建物の影に隠れ様子を伺う。「鬼吸いがここに何のようだ。ここはウチの島だけーの」厳ついスーツ姿のお兄さん達が鬼吸いの二人を囲んでいく。「別に島だの村だのに興味は無い」写真を一枚黒いスーツの男達に見せる。そこに写し出されているのは、すぐ横に要る女の子「この子に心当たりは?」写真をみながら「どうかの、ウチは幼女の売買まではやっとらんが、食ってしまったなんて!!」流暢に話していた口は一瞬で塞がれ黒いスーツの男は持ち上げられる。持ち上げているのはスレンダーな女性の方だ「!?!?」藻掻きながら女性の手を振り解こうとするも「やれやれ、リータナさん外して下さい」男の方がスレンダー女性に詰め寄る「洒落にならんだろう。さっさと素直に答えさせる為にも(一層力が入る)必要!」「死んでしまっては意味がありません!」冗談では無かったらしく渋々手を離す「我々の命令は″その子を確保すること″見つけたら教えてください………そうそうくれぐれも(目つきが変わる)手は出さないでください………その時は″潰しかねません″では」一部始終を目撃したあと両者にバレないようその場を離脱する…………一畳一間の部屋「何とかバレずに帰って来れた………いやチャンスだ!ここで一旗上げて…………」黙った少年に少女は「揚げて?食べ物?ヒトハタ?魚なの?アタシも食べさせて!!」緊張感ないなぁ………と思いながら彼女の髪に目が行く。髪留めというには大きすぎる。惹かれるように手が伸びる。すると「触らない方がいい、戻れなくなっちゃう」冷や汗が滴り落ちる。戻れなくなるどういうことだろう。出した手を引っ込める「正解、これ指輪なんだ。肌身離さず持ち歩きなさい母上様にキツく言い付けられている。あと誰にも触れさせないようにってね、詳しくは知らないけど徳を表す指輪何だけど、えっとね貴方良いことどれくらいしてる?」「良いこと?」「そう、自分で感じたことだけとは限らないけど、行ったことや関わったこと何かがたっーくさん詰まってるのがこの指輪なの」徳ねぇ、ありがたい指輪か拝んどくかな、自分が拝まれているようで女の子は得意気のようだ。さてと「名前聞いてなかったな」男の子が尋ねると「カスミだよ、お兄ちゃんは?」名前を聞かれ「イナ…………アブラアゲ…………」ふーんとうつむくアブラアゲを覗き込み「ラアゲの兄ちゃん……………アゲ兄!!んんコレがいいや!」好きに呼べばいいと言いながら「それでこんな処に、女の子一人で来た理由は何だ?」真っ直ぐ見つめるラアゲ兄から目をそらす「特に………何もえっーとつまんないんだもん。毎日儀式だ祈りだってそんなことばかり。何でたまには外の世界をお散歩しているのです」オウチカエレと言いたかったが「出歩くのは得策じゃないかなら」………ピンポーンとchimeを鳴らすインターホンから『いません』と返答が「居るだろう、早く開けてくれじゃないと」ピンポーンを連打する。ドアが勢いよく開くと「何?お金なら貸さないわよっーかこの前貸した二千円返して?!」部屋から出て来たのは部屋着を着た髪がボサボサの陰キャラマックスな女性「このリア充溺死しろ!」ドアを閉めようとするも「違う違うえっーと親戚の子だから」少し空いたドアからジト目が品定めしている。「隠し子説は………ないか!」断言されショックだが今は急を要する「悪い頼む!」何時にもない彼の仕草に「ハァー分かったわよ。とりあえず入って」とドアを開く「お兄ちゃんの奥さんなの?」吹き出すお兄さんに「おじさんとは腐れ縁なの!っーかとっくの昔に別れたっーの」部屋の中に通される二人「ワァーお人形がいっぱい」輝いた眼差しを向けるカスミに「触れるな!アタシの永遠の真理を!」「すごい!コレが母上が云われていた″真理″なのか」シッシッと女の子の人形を持った少女がリアル女の子を追い払っている「相変わらずというか増えてない?」廻りには一緒にいた頃より何だろう………怖い二、三個あるならまぁ分からなくは無いけどこれだけ増えると見られてる感がぱない「それでこの自称親戚の女の子連れ回してるのかな」人聞きの悪いこと言うなと部屋の主に釘をさして「調べてほしい事があるんだ。一つは鬼吸の園についてあいつらはこの子を狙ってる」驚く部屋の主「冗談でしょ?!鬼吸っていえばそこらの暴力団より達悪いって噂よ闇の組織ですら関わらないって暗黙のルールが出来るくらいなんだから」芳しくない顔は予想できた………だけど「頼む!お前しか頼めないお前も知っての通り軟派な奴だからさ………すぐにも逃げ出してーよ………でもさやらなきゃなんねーっかやる!そう決めた」胸ぐらを掴む部屋の主「アンタは守れるんやろね、アンタが優柔不断なのはしっとーけど、こんこを守るちゅーことはアンタの決意とはまた違うはなしなんよ」真面目に見つめられる目から逸れてしまう「ほらみなん、いっつもそう『ピンポーンピンポーン』なんや今日は配達なんかあったかな?」玄関に向かう部屋の主の袖を引く女の子「厭な匂い………ダメ!」そのまま部屋の主奥の部屋に投げ入れる「ちょっと何?怪力?」ドアが爆発した?壊れたドアが倒れ「ほんまにここなん?三人いるけど?誰なん?子供?あーああんこか!?わかったわかった」ずかずかと土足で「じゃますんでーおまん…………嬢ちゃんが″例のお尋ね者″見るまではお伽話なのかと思っていたが」ニヤリと笑いながら「こちら手の鳴る方へってね(拳を鳴らす男)さぁ狩りを」踵を踏まれ倒れ込む男後ろには金髪グラサンのおねーさんがいる「大事な商品でひょ………でしょ取引は基本さぁ商売といきましょう。なれない自分にってね、思いは重ねられない…………誰といても誰かを信じても………貴女の思いは重ならない………変わらない。さぁ楽しい日曜日の朝は終わりEDが聞こえるでしょう」女の子の持つ指輪を眺める「凄いはコレが功徳天の指輪………功徳を図ると言われている鬼の財宝………この世に二つとない代物だよ。こうやって」女子の腕を自身の胸に当てさせて「あら残念″真っ黒ね″善意のバランサーというのは本当か」「放せ!!」震える足を前に出しながら叫ぶアゲ兄「キャハハーダセーな子鹿かよ」周りの男が笑うも「女の子を守る男の覚悟は笑うモノでは無いわよ」周りの男達を一喝する「ごめんねウチの若いのは血の気が多くてね、でもその子は依頼主が捜してるアタシにとっては大事な商品、君もこの街長いんでしょう。だったら理解が」差し伸べられた手を払う「おぉーこわ………黒服のオヤジはおっかないのさ、ウチら下っ端の組織は肩身狭いの………今の時代には合わないってウチのオヤジも言ってんだけどさ、でもさその子を連れて行けば少しは味方が」窓ガラスが割れる。「アタシの誠意は伝わんないか………じゃ遠慮無く刈りますか!」直ぐさま黒服の男二人組が窓から飛び降り追い掛けてくる「今日がゴミの日だったから良かったけど……ここ二階よ無茶するわね」ゴミの匂いをハタキながら「ちっ………もう追ってきたか」二階からコンクリートに降りても何もなく追い掛けてくる凸凹コンビ「車回して、この娘をよろしく」凸凹コンビの前に立ちはだかるアゲ兄「………俺らの狙いはあのガキだけだ″トオルゾ″」小石を拾い投げつける手甲で小石を防ぐ「小石を的確に投げ足留めか………気が変わったどの道あの女が車でここに来るそれまでにお前の足をもいでおくか」小さなアタッシュケースは一瞬で斧に変化する。変化した斧からは鉄の匂いが染み出している。「武器の管理ぐらいはしろ。日常茶飯事だとしても」斧を肩にかけて「悪い悪い(斧を眺めながら)今時は錆びないから良いよなハァー眠い眠い…………と言うわけだガキ」小石が斧男に迫るも粉々に砕ける小石「いいなぁー気合いの入った1投だった目覚ましにしては(投げようとする小石が砕ける)うーんいいだろう手がある喜び」手の中にあった石だけが跡形もなく砕ける。斧男の言葉は投げようとする腕を切り落とす事が出来たことを示した。アゲ兄の腕が上がらない………怖い………怖い「次投げると腕が落ちるってな…………行くぞもうそいつは抜け殻だ。足をもぐ必要もあるまい…………お前は俺らに感謝しろ………こういう世界だもう片脚を突っ込むことのないようにな二人組が真横を通るエンジン音が響くボンネットに無理矢理乗せられる落ちない?カスミちゃんが腕を掴み…………ちょっと「カスミちゃん!絶対放しちゃダメ!」大きな声で「オッケー!」その場を立ち去る「車で抜けきっていった?イヤイヤないやろ」遠くの車を見ながら「どうします?追いますか?姉御?」悩む姉御?は「追わないわ、親父に報告に行くわよ………これ以上はあたし達の管轄じゃない。この場を逃げられた時点であたし達が″あの子を捕まえるチャンスは終了″あの子を連れて逃げ切れるかしら」……………車の中で震える右手を見つめている(止まれ!止まれ!震えるな!ちゃんとついてるだろ手指はちゃんと動くんだ!でもでもクソクソ震えるな-!)ソッと小さな手がアゲ兄の手を包み込む「暖かい………ちゃんとここにいるよ………ねぇアゲ兄ちゃん」自然と震えが止まっていた「ロリコンロリコンロリコン」違っはいはいとハンドルを切る「それでロリ兄ちゃんはどこに行くのかな?」車の背もたれに寄っ掛かり「なぁカスミには仲間は皆里にいるのか?」窓の外を眺めドライブを楽しむカスミちゃんに尋ねて見る「うーん、そうだフカドじいさん!そうそうフカドじいさんがいる」フカドじいさんを訪ね車を走らせる。古びた骨董屋中に入ると中から二十代の男性が出てきた「朝早くから客か?って!」ダイブするカスミちゃん「おーお嬢じゃん。何で里の外にいんだ?!お前さん達はお着きじゃないだろ?」視線はアゲ兄と元カノに向けられる「攫われたって訳じゃ無いみたいだね…………店を閉めよう…………奥で話した方が良さそうだ」奥の客間に通される。そこには店の店舗に並んでいた商品と一線を画すものがある「ここにある物って?」その言葉に「鬼の秘宝だよ。こういう職業何でね人に取られた我々の秘宝を集めたのさ」カスミちゃんの髪留めを見ながら「功徳天の指輪………厄介な代物だ。ここに来た理由はそれだろう」手を前に出しながら「其れをおれに渡すのか?くれるというなら貰うがな」すぐに手を挙げ「冗談冗談、善意を量る指輪……鬼祖が力を込め長が代々持ち続けている。そうかあの小娘も子を持ち立派になったか」腕を組み周りの人間に「お前さん達は″人″だよな………鬼との混血でも無い闇のルートに転売すれば″値段は言い値″だぞ」「それでアンタは力をかしてくれんのか?」「即答なんだな………いい人とあったな」カスミちゃんの頭を撫でる。「さてお兄さん達があった追っ手はあくまで″人″なんだな?」人という言葉に狙っているのは人だけじゃない?と感じる元カップル「人じゃない……何言って!」店の主が髪留めを外すすると髪の間から年季の入った二本の角が見える。その角は近くにいても″作り物ではない″感覚暖かみのようなもの″息をしている″と感じるのだ「″恐いかな″」言葉が鋭く胸に刺さる。鬼………昔話で聞いたことはあるが目の前にいる。カスミのような子供ではない正真正銘の鬼「今なら戻れるぞ、普通の生活に」戻らないっーか戻れないでしょという家主と決意の固いアゲ兄「なら足搔いてみるか、お前さん運動神経はいいかの?」トントンと襖を叩く「お久しぶりお嬢様っーか人間の連れいんじゃんまぁ、面倒い連中も街を闊歩してんよね。速めに見つかって面倒くさくなる前に帰りましょうや」黒い肌のお兄さんがカスミちゃんを諭すも「バカタカのくせに生意気」アゲ兄の後ろに隠れる。「このクソガキ」まぁまぁとバカタカを制止しながら「サラタカの坊主の云うとおりだ。今里に戻るのが時期としては一番だ。我々もサポートに入るが″鬼吸の園″奴らは人とは違う″混じり″と戦うのは疲れるのよ。負けはせんし逃げるだけなら何とかなるが」頭を抱えるトカラ爺さんに「トカラさんも大変だなぁ」と店主が呟く「直ぐさま連れ戻せが命令なんですよね?でもお嬢様は帰りたくない。なら遅かれ早かれ″混ざり″と戦うのさ」ならとトカラ爺さんに提案する店主………「ドリームゴーストねぇ」カタカタとキーボードを紡ぐ「ほんとにこの″ドリームゴースト″って人物がカスミちゃんを狙ってるの?」間違いないと店主が応える「数年前にサイトが立ち上がった。最初は小さなサークル活動程度だったが、今や秘密クラブみたいな感じだ。参加人数も活動内容も不明のっそりと大きな大きなものがだだそこにある感じが不気味さを増していってる。ネット上の夢追い幽霊これが大ざっぱな見解だ。そこでコレ」一枚の写真をみんなに見せる「これってキャリアウーマン?歳は三十代かな?」写真を見ながらタイプじゃないだの、独り身だの言いたい放題だ。「この人間の女子がドリームゴーストだというのかの?」顎髭を触り画面の女性を凝視するトカラ爺さんに「今はネット上だから老若男女で姿ってのは色々だよね、情報を集約していくとやはり彼女みたいね、でも近付くのはちょっと無理そうよ」何で?と聞く一同に彼女の奥にある建物を指差す「丸い屋根?珍しいね周りは高層ビルなのに?」「宗教ね、まぁ間違ってないわね″障痕教″って聞いたことある?」聞き慣れないのか、その場にいる全員の思考回路が停止する「しょうこん?ナニソレ?」「障痕教………結構古い時代からある……秘密主義の宗教………大規模なテロ活動もないから………公安に目はつけられてないけど………スレスレの組織ね」隠キャな彼女が提言する。「兎に角、この娘の探索が敵の全貌把握に最短ということか」なら………「えっと今日から教徒となったサラタカだよ!よろしく」肘がサラタカに突き刺さる「ごめんなさい、社会の生活に馴染んで揉まれて蔑まれて心が………心が………」そんな小芝居な彼女に「大丈夫ですよ………ここに居られる方々は多かれ少なかれ傷を持った者の集まりです。枝葉の気持ちは理解出来ずとも根幹の鈍い痛みは共有出来ます。さぁ手を共に歩み答えを求めましょう」白い修道服後ろがかっぽり空いている。セクシー何だけど空いた背中を覆うように十字架の聖痕が痛々しく刻まれている。柔やかな修道女とのギャップが顔を背けたくなった。施設の中には老若男女数十人が集まりお経や祈りを捧げている。新興宗教がピン来る。然しよくよく聞くと″障痕教″の歴史は古い江戸末期に創設された宗教らしい大きな地震や迫害などで大きくなったり小さくなったりを繰り返していたが、プロキシアスって名前の会社がバックに着いてからは安定している。まぁ裏ではなにやってんだか分からない。黒い肌のチャラ鬼が声をかける「それで″例の写真の女″は居ないけど?どうする?あまりコミュ力全開は疑われるぜ、それに鬼の力も使えない」とりあえず様子見でと施設内をそれぞれ探索する中はだだっ広い普通の大学みたいな感じかな。中にいる人物は手足がない、目が見えない、耳が聞こえないなど体の一部が欠損している。そんな方々が全国いや世界からここに集まっているんだ先程″大学″と称したのはそのためだ。実験が日々繰り返されている障害を治すために。一日足を棒にした結果が今述べた通りだ。「結局は″ドリームゴースト″に関わる女ってのは見つからなかったな」鬼であるサラタカさんは体力も余っている。鬼ってすごい「それにしても、この施設凄いですね。宗教団体ってのは怪しく外からも分からないけど、障害を何とかしたいってのは伝わってきます。手段はバラバラだけどここは最初は小さな過疎村だったようだ。ほらあの掛け軸」壁に掛けられている掛け軸には白い衣装に身を包む男が描かれている「開祖の持ち物らしく崇拝対象なんだそうだ」開祖?「この絵の人物が開祖じゃないの?」チャラ鬼は頭をかきながら「いやー分かんないな施設の関係者に聞いてもあやふやな回答ばかりだった。とにかく今この施設の代表はさっきの白い修道女だ。彼女に詳しく聞くしかない「私に何ですかえっと」真後ろから小鳥のようなさえずりが聞こえた「こんにちは信徒さん」小鳥のさえずりに似合うその姿に「こんにちは」と不意に挨拶を返してしまう。そのまま手を取り「何でも聞いてくださいね、私で分かることならお応えしますから」ならとサラタカさんが「ドリームゴーストって奴を知ってるか?」いやいやストレートパンチっうか直球、ど直球すぎでしょと脇に肘打ちが入る「ちまちまやっても見つからない、俺らはここに神頼みに来たんじゃないぜ、ならさっさと聞く方が無難だろ」…………「″ドリームゴースト″ですか?機械の方は強くないので、それに個人情報に関わる事なので、ハッキリとは云えませんが、ドリームゴーストという先程の話の内容に合いそうな信徒は居られません。何か話せない事情あるみたいですね」哀しげな顔に頷く一同それを見て「分かりました其れでは私の執務室へそのドリームゴーストに該当する信徒がいるか今調べてみます。勿論直接データベースは見せられませんが」一行は執務室へ部屋に入ると中は図書館のように広い「オジャマー………へぇー」中央のパソコンへアクセスを開始する「その″ドリームゴースト″というのは女性なんですよね?」椅子に手をかけ「えぇ、二十から三十代だと思います」へぇー結構若いわねと眉を上げ驚くお姉さんいやいやお姉さんも若いですよ。照れながらパソコンの操作を続ける「他に特徴はありますか?」そうだな少し考えたが「ない!」と断言するサラタカさん「特徴と云うほどではありませんがスタイルはいいかと」つまりやせ型であるが一部の肉付けはグラマラスなのねというお姉さんにええっまぁと冗談言わなそうな女性だったのでびっくりした。検索が完了する「ヒットした人数は″3人″ね一人目は子持ちの信徒。災害に会って家も失い心中をってとこを助けられ行くとこなくて入信ってとこかしら。旦那は教団職員で娘は関連の保育園に通ってるわよ」子持ちの奥様か………自由な時間は沢山ありそうだが一応残りの二人の情報も聞いておく。二人目は元キャリアウーマンね。ここへ来たのは過労で自殺未遂ってとこか、世間への恨みは無いとは言えないけど添付ファイルには元キャリアウーマンの写真見てると掃きそうになる。全身に無数のキズ親に恋人、自分自身………様々な種類の傷が彼女の人生を物語っていた。次のファイルは?「えーっとドリームゴーストは女性ですよ?」明らかに男性だ「元女性なの、性転換したのよ」彼女の言葉通り面影はそこはかとなくある「然し、これが男?」時代は変わったのと頭をかく「それでこの三人の誰かが俺らが捜してる″ジェットコストコってのか″」わざとなのかと尋ねたい「ジェットコストコって速いの安いのどっちもなの?…………″ドリームゴースト″恐らくはこの中にいると思います」何故そう言いきれるのとパソコンのキーボードを弾きながら返すと「私達の情報ではこの障痕教の内部にいるところまでは、調べがついています。それは間違いありません」だとしてもアタシが紹介した三人がそのドリームゴーストだとは言いきれないんじゃと話す。パソコンを動かす「この障痕教には数十万の女性教徒がいるわ。勿論小さな女の子やおばーちゃんまできみの言った三十代の女性は多くないでも、この三人だけじゃないわ」パソコンに数十のフォルダが表示される「ざっと二、から三十ってとこ、さっき絞り込んだのは事細かにそれじゃないかなぁって少し精査してみだけよ、完璧じゃないもの」画面から両目を離す。目薬を点眼しながら「キミ達が特定出来ているのは″この障痕教にいる″ってとこまでなんでしょ。だったら」言葉を閉めようとするもサラタカさんが「いいや、絞れるんだよ。そこを教えるわけには行かないけど、少なくとも俺にはその技術とでも云えばいいかな、其れがある。さっきお前さんが言ったこの団体にいるのを特定させたのも似たようなものだ。まぁソノトクテイモ会ってみて分かるんだけど、とりあえずその三人はどこにいんだよ今は?」パソコンに入力するとガタガタと横のコピー機が動き出す。そのコピー用紙を取り出し私達の前に差し出す「この建物の地図よ結構入り組んでるけど、捜すのには苦労しないと思う。三人ともに色んな意味で目立つからね、アタシができるのはここまで後は貴方達で、軒並みだけど神のご加護を」コピー用紙を握りサラタカさんと三人を捜し始める…………スポーツジムみたいだ。トレーニングルームでは何筋肉のカミサマでも崇拝してるのかと思うような光景シックスパットが並んでいる老若男女問わない「筋肉量がすげぇ筋肉の国でも創るのかね」面白半分に見て回っているとターゲット1と出会った女の子を背負っている傷だらけの女性が一人「ようこそ墓石何キロ背負える?」筋肉鍛えすぎると頭も筋肉になってしまうんだと遠い目になる「えっーと背負えませんけど」小さく弱々しさアピール「よし、じゃあ大理石一角から始めるよー♪」筋肉国を脱国したい………結構すぐに冗談だってという彼女に「パソコンできます?」と振って見るも「昔のデスクトップなら上腕二頭筋も」と筋肉の話に戻ってしまう「言えそうじゃなくて、そうさの方なんですけど」というとからきしだめだと笑い飛ばされる……つぎにむかう二人めがいるのガ真っ暗な部屋昼間なのに日の光が這入ってこない。床が軋む音が響く「もしもーし誰か」と話そうとするも「………」気配はするけど返事はない「キミお話しする」すっと現れる黒髪ロング生首、悲鳴が木霊するもカチッと電気がつく「アタシの部屋に何が?」生首だと思ったのは首が少し長い普通の女の子だった「ごめんね、勝手におじゃまして」にこやかな笑顔に歯軋りをしながら「…………それで用件は何ですか………」言いづらくしていると「あーもぉあのなガキお前さんはドリームゴーストなのか?」壁にドンと倒れながら問い掛ける肌黒いサラタカさん鼻息荒くなるっーの………ふとみると長い髪の女の子から赤いモノが………同士よ!親指を立てたい(ココロノナカデ)サラタカさんを押し退け「あなたはずっとここにいるの?」優しく語りかける少女。警戒するように闇に紛れながら「少し前からここにいるの………ほっといてよ(体育座りで背を向けながら)アタシは魔女なの!居るだけで不幸に会うの!ドリームゴーストなんて知らない!だから出てってよ!」暗闇に悲痛な叫びが木霊するついていた膝を上げる「邪魔をしてスミマセンでした」一礼したあと部屋を出る「ドリームゴーストは知らないか………この部屋にパソコンやスマホの類はあるのか?」尋ねるサラタカさん「パソコンや通信機器は配備されてなかったと思います。勿論彼女自身がスマホなどを所有しているかは分かりかねます」一応保留か彼女イコール″ドリームゴースト″というのは安直すぎるか「とりあえず残り一人の確認をしましょう。次がドリームゴーストなのかもしれない」最後の一人が居る部屋の前に一呼吸してその場に止まる「彼女いや彼?とにかく一番気難しいので」一言添えると部屋をノックする「はい、どちら様ですか」スラッとして出るとこ出て引っ込むとこ引っ込んでるお姉さん「何だ、俺になんか妖怪なんちゃってな」開口一番の親父ギャグ………間違いない″男″だ。確信する一同下乳をはみ出させる仕草は羞恥心の欠片もない「目の保養にどうぞってね……全部云っとく❤」他の二人と違い結構なワイルドだろう?!サラタカさんが前に「私が質!」五本の大きな爪がお姉さん(お兄さん)を引き裂く血飛沫と共に地面に落ちるが「ひどいね″同族″への挨拶なの?これが?」口から血を垂れ流しながら話す男の娘「同族?!混ざりのくせに大きな口をきくなお前が鬼族なものか!人の匂いが混ざりすぎで吐き気がする」終始おだやかとは言えないが分別のあったサラタカさんがやはり鬼なのだと実感させられた。「行こう。ここは外れだ」部屋を出ようとするサラタカさんに「外れ?何の事なのか説明はなし?」殴られたいのかこの人?鬼オカマさんは「こいつの力はまがいものだが俺ら鬼の力と同等だ。だからあんな回りくどい真似はしないよ」立ち去ろうとするサラタカさんに「″ドリームゴースト″なるほどなるほど…………心当たりあるよ!」唇をニヤリと緩ませ話すお姉さんにジト目で返すサラタカさん「ホントに知ってるんですかそれなら教え」口を塞がれる。、「……!?!」ジタバタする手足顔を真横に持ってこられ「ひとつアドバイスだ。俺ら鬼だけじゃない″人ではない異形の者″にはやたらと願いを云ってはいけない多かれ少なかれ″見返りを誓約にされる″からだ」静かに語られた言葉は重く女の子の耳に響いた。「じゃあな、今のはなしだ。アンタも鬼族の血をひく端くれなら多めにみてやれ、人間ファーストさ」鬼の末裔の女(男)に進言したあとにその場を後にした。収穫は無かった。結局三人の中に″ドリームゴースト″と呼ばれる異種族刈りの親玉は見つからない………「やっぱり戻って」と出かかる言葉に頭をかきながら「分かった………俺が聞いていてやるよ」バツの悪い顔を見せないように顔を隠しながら元来た道を戻ろうとすると「最初にいっておくけど、アタシはドリームゴーストじゃないわ…………でも″あの鬼の王女さま″の情報を流したのは私なのよこっちではカスミちゃんだったかしら」彼女知らない情報を口にするつまり「何だよ、いいのかよ、認めちまうと本気で聞き出すぞ!」イヤーン本気ってそういうとモジモジする女子「さてと何処から話すかな………ドリームゴーストはここにはいないわ」撤収撤収と準備を始めるサラタカさん「そのドリームゴーストも俺らと同じか?」多分鬼の一族の末裔なのかと聞いているのだろう「そうですね、直接聞いたわけじゃ無いし、私は“混じり“なので匂いや感じというのが分かりません。ただ“彼女に初めてあった時に私を鬼の血が入っていることは理解していました。彼女には大きな夢があると………そして」その場にいる全員に向けて「彼女はアタシのような“まがい物“じゃ無い…………本物の鬼族………そこのお兄さんと同じようにね」鎮まる一同「そうかい(放たれた言葉に一同の視線が移る)ならなおのこと会わないといけないな」決意を固め施設を後にする…………お姉さんの案内の元とある街へ古びた街だネオンが点灯しては消えかかっている光が届かない暗闇一言で云うならそんな街だ。お姉さんを先導に街の中へ足を踏み入れる門の前で「ん!?鬼の仮面か?」手渡したお姉さんは鬼の面を填めている「これから先は鬼のすみか………なんて(暗闇に包まれた奥を覗きながら)“歪な街“偏見も常識もない世界あなたたちが踏み込もうとする街は“そんな場所なの“」街の中は普通の商店街を思わせる。ただ一つ違うのは皆一様に仮面を付けている「ここにいるのってホントに鬼何だ」「厳密には違うけど人じゃ無いわね」おおーいと呼ぶ声が聞こえた「サラタカ!サラタカじゃんおひさー」げっーと気まずい顔をする「っーか姉御を無視するとは偉くなったね」サラタカさんのほっぺをつねり笑う少女仮面で顔は隠れているが姉御いや明らかに年下だ「ほっぺは離せよ、もうガキじゃないんだから」昔は姉ちゃん姉ちゃんって袖をつかんでついてきたハナタレ小僧だったのにねとオカマ男子と世間話、あらやだ全く男の子ってのは知らない間にねーと花が咲く。風景はご近所の立ち話“息子なんてみんなそんなもんよ~“という前を通るのが恥ずかしいってそんなこと話してる場合ではない………「ここにドリームゴーストって奴がいるってのを聞いたことねぇか?」胸ぐら掴まれ「あんた………また何かやらかしたの!」ジト目がサラタカさんを睨む「はぁ、聞いたことはないよ………ってかドリームゴーストって何?人間あんたの連れの知り合い、そっちの擬きは別としてそこの眼鏡は人間でしょ」隠す素振りを見せるサラタカさんに「まさか手をつけたの」「ちげーよ!!」全否定された「ぶっぶっ反応そういうとこだぞ」笑いながら話す女の鬼に「ホントに知らないんですか?!何か心当たりでも!」鬼気迫る彼女に「ドードーってね、マジなの、さっきもいったけどそのドリームゴーストなんて名前?聞いたこと無いしごめんね助けになれなくて……」沈黙の後大きな音が響く「話は後で分かってるわよね」先程までは賑わっていた商店街の明かりが暗くなる軒下窓から外を眺めるそこには大きな鬼?カラクリがゆっくりと歩を進めている。固唾を呑む一同。然し周囲を見ると怯えているのは私達だけじゃなかった「サラタカさん……あれって」小声で話すも先程まではのそのそと歩を進めていた大きな鬼がピタリと止まる『ヒトノ“ニオイ“』やばい冷や汗が落ちる。此方を振り向こうと首を傾げた瞬間大きな鬼の前にサラタカさんが飛び出すそのまま頭を下げ土下座をする「申し訳ありません。私は先程この国に入ってまいりました下界の鬼です。ヒトノニオイが染みつき不快な想いを抱かせたこと誠に申し訳ありません」素直に謝るサラタカさんに右手を乗せる踏みつぶされるサラタカさんに「フカイ、フカイ、フカイ!!」やばいお怒りだ「イケイケ沸沸、馴れ馴れガブリエ」大きく空いた口の牙を受け止める「あーあらしくねーよな、っかいきなり食うって」カラクリの牙をへし折るサラタカさんに後ろ足を一歩引く大きな鬼『カオショウニン………ガイトウナシ…“…ハイジョ…………スウル』大きな鬼の体にはサラタカさんの拳がめり込んでいる「悪いこりゃ全面戦争かな」素早くアタシと鬼擬きのお姉さんの腕を掴むその場を離れる「告白の場所でまってるーん❤」散り散りになる面々『追々………捜探…………奪壊!!!!!』雄叫びが木霊する。木霊に呼応するように街角の古びた機械の歯車が回り出すゆっくりゆったり心臓の鼓動が波打つように大きく!太く!広く!!鳴り響く音に「チェ!早いわね」道順を変える大きく開く足を矢のように飛び跳ねていく。大きな大きな………ちぎれそうな腕を必至に離さないように掴んでいる。後方からだけじゃない全方位から何かが現れる。が現れる何かはすぐに撃沈されていく。前を向く信じられないけど私を引っ張って逃げながら現れる“何か“に対してこの鬼のお姉さんは正確に一撃を入れ沈めている?喋ろうとするも「舌かむから話さないでね、今は止まってる時間無いから今レベルなら一撃だけど足を止めれば“カナシキ“に追いつかれるあれは足が遅いけど一撃では仕留めきれない」そう言いながら加速していく「カナシキは中心の警護のみを行っている。外へ逃げれば追って!!ってやば!カナシキよりやばいのと遭遇で~す」一歩引くも周りに機械を着た“鬼“が数匹逃げ場が無い「おい止まれ」ゴーグルを外す一匹の鬼すぐに右手を翳す「認証システム………女の鬼は住民か!それでその人間は御前のなんだ?!家族なのかなそれともエサか、食料問題は解決したはずだ。今さらそんなクソ不味い物喰わなくていいだろう?それとも“餓鬼返り“みたいな宗教もちか、ナンセンスだよ。渡せ、殺しはしないがこの街に入った以上“一生牢屋暮らしだ“可哀想だが」一生牢屋………頭の中が真っ白になる「守秘義務………まぁ鬼の力は魅力的だもんね」「勘違いするな争いを回避したいだけだ。静かに暮らす為にな」差し伸べられる手を払う「あんた達の業務に首突っ込む気は無いよ。大方あのツンケン女の差し金でしょう。あーあやだやだだから頭のお堅いエリートは嫌いなのよ、出来るだの出来ないだの線引きばっかり、上司に伝えな“アタシは指図は受けない“ってね」粋がるねと廻りの鬼からちゃちが入る「俺にやらせなよ!」一際大きな体付きの鬼が前に出る「この所ヒマでヒマで運動したくてうずうずするんだよ」大きな鬼は隊長格の鬼に進言する「ダメだ、我々が必要無いと判断する戦闘は避けるべきだ」と返すと「いいじゃんやらせなよ模擬戦だけじゃ感覚鈍るんだよ。相手は同じ鬼、そこの人は戦力にならない。ほら下ろして良いわよ。誓って隊長以外は手を出さないから…………けど戦闘であんたが負けると捕獲するけど手荒くはしないから安心して例え、その児が舌を噛み切ってもあたし達が頭を動かなくするのが早いから」柔やかに微笑んだあと「分かったわ、少し降りてて……でもアタシからはなるべく離れないで「ったくオマエラはいいのかね、君が負けると彼女は死ぬまで檻の中だ。ここから逃げても」手を前に翳しその先の言葉を止める「それで相手は誰?そこのでかいの?それとも全員?ここまでやって全員がかりならちょっと引くけどね」がっははと笑う一同「いやいやゴメンね、あたしらこんな職業だからこういうあおりはしょっちゅうなの。でもこの所は根性あるやつすくなくなってさ、正直嬉しいんだよ」そういうことと前に出る大きな鬼然し「誰があんたがやっていいって言った?ここは公平にジャンケンっしょ、あんたが勝つにしろ負けるにしろ相手の手の内がわからない一番手がスリルショックサースペンスなわけだから公平にジャンケンでけってーいだよ」それから数十分…………「あのよろしくお願いします」選ばれた?のはヒョロイ鬼のオッサンだった。ブーブー垂れてる他の鬼一同「ジャンケンは絶対!」の一言で静まり返る「いつでもいいですよ」というヒョロイ鬼のオッサンお互い動かない足元やら手先は微妙に動くものの亀のような動作が続く「へぇ~あの女の鬼やるじゃん、動きに合わせて手先足先が着いてきてる」「相手の出方見るのはいいが先手は取れてないなこのまま萎縮しないといいが」「それって思ったよりつまんないって?事堅物のあんたがそれ言うの、ここは石でも投げて」こつかれる「無用な手出しはなしだ。そんなに戦いたいならあの鬼が強いことを願うんだな」鬼のオッサンが動く「後ろへぇギリギリですけど反応できましたね」えらいえらいと褒めながら腹へ一撃蹴り飛ばす態勢を立て直し着地する。ジェットコースターに乗ってる気分頭がクラクラする「かわろうかー(棒読み)イテッ冗談ですよツッコミ強くなーい」とパワハラを訴える女の鬼に「他の連中はどうなってる?」と報告を求めるので「カナシキがかぎまわってる。まぁみつからんわな」そうかと溜息をつき戦闘中の私たちに語りかける「お前達の目的は何だ?わざわざ鬼の国に来たのは何故?脇に抱える人でもいいんだがな?我々とて戦闘は本意ではない………だんまりか」鬼のオッサンの腕を掴み「ここまで抵抗せずに私と来てくれ、このまま戦闘が続くと脇の人がタダでは済まないぞ」「話聞いてくれますか」横から会話に入り込む人に「話すなら荒ぶる鬼より人のほうがいいか、話は我らの集会所でいいかな?」抱えられる鬼女を見る「わかったわよ、ただし何かあったら速攻でとんずらするわよ。いい?」集会所に向かう足は止めず「その時は手を振って見送れるといいな」とどちらとも取れない返事を返す……「くそ、何だ!あの鬼!」サラタカさんが孤軍奮闘中カナシキでは足留めにもなってない「ん、まだ終わってないじゃん。まぁサラタカくんじゃしゃあなしね」「ゲッ!姉姉御」頭を掻きながら「ユスイにこっぴどくやられてそれでも泣きながらウチに勝負しにきてたもんね。アタシの膝枕何度貸してあげたか」顔を赤らめるサラタカくん「昔の事ですよ」クスクス笑う姉さん「おうおう体だけじゃなく精神も大きくなっちゃってお姉ちゃんは悲しいのだ」泣きまねには付き合わず戦闘を続行するサラタカくんに「ユスイは投降したわよ。一緒にいた人のお嬢さんが促したみたいだけど、ここでの戦闘にあまり意味はサラタカさんないよ、ついてきなさい」カナシキを手放し両手を挙げるサラタカくん「俺の連れは無事何ですよね?」問い掛ける後ろ姿に返答はなくサラタカくんは着いていくしかない…………「外鬼は原則追放するべき案件では?」鬼の町の中枢大きな建物の頂上にそびえ立つ楼閣。そこに集まりし数名の鬼。体格の差はあれ大きな角と鋭い爪や牙が見え隠れする様はそこにいるもの達が異形な者達であることを認識させられた。円のテーブルを囲むように椅子が配置されている。一番奥には一際大きな角を持つ年老いた鬼が鎮座している。周りの者達とは違い話し合いには参加せず、うつらうつらと体に似合わず静かな寝息を立てている。堪らず「意見がないなら勝手に勧めるぞ」その言葉に「お好きに、ただ迷い込んだというにはここは秘境だよ道を間違えないように送り返す術はそこかしこに施してる。なら人の童はかなりの覚悟でこの地に足を踏み入れた違うかの」強烈な視線が一同を捉える「吟味はします。然し如何なる理由でも無断で入るのは無作法が過ぎます」発言したのは若い鬼女物静かだがその眼の奥にあるものは深々と息を続けている「オオシキのとこの娘か?オヤジ殿のかわりかの?」肘をつき笑顔で「耄碌したの?だったらあたしに鬼頭譲ってくーれない?」と返すと「またいちだんと大きくなったの態度と比例して膨らみが」とセクハラかましてくる。背を向け胸を隠しながら「このエロジィはヤダヤダ視線こっちに送らないでもらえます?!」嫌失敬失敬と微笑む「とにかく、よそ者の鬼やまして人とのかかわりは避けること!これだけは譲りませんから」言いたいこといって部屋を出る女の鬼「若いというのはいいの!だがアレの意見も一理ある何かしらの対策は示すべきだよ」わかった話をワシ自らきこうか………一同に集められる侵入者「お菓子でも食べる雰囲気ではないか………回りくどい言い方はやめよう。ここへは何を求めてきたのかの?」静に話す口調は穏やかに感じる「ドリームゴーストがここにいるそう聞いてここへ来ました」包み隠さず話す「夢鬼か!君達の世界で好き勝手にやってる我らの同胞だったか、そこの出来そこないと脱走を図ったおり捉え損ねた問題児だよ。それからは音沙汰はない………ここにはいないよ」寂しそうな横顔「知り合いなのですか?」尋ねる人間の少女に答えにくそうな老いた鬼「夢鬼慎陰………娘なのよ、長様のね」寂しそうな声で話す女の鬼、きっと彼女とも何かの縁があるようだ。気を撮り直し「夢鬼さんの居場所に心当たりは無いんですか?」尋ねると「うーむ、教えてもよいがどうにもならんよ」歯切れの悪い返事「教えても理解できないって事ですか?それとも力不足?」詳しく知りたいので問い返すと「どちらもだよ。キミは人だ力不足なのは最初から……それだけならそこにいる若い鬼の兄さんがいれば問題はクリアだが“理解できないに近い“あいつはコノセカイにはいない、信じられないかな。断言してもいいお前さんたちやワシらが八方手を尽くして探しても、見つからない絶対にな、だからあきらめて帰り」帰れない一同が声を張る。1枚の写真が一同の前に投げ出される「数ヶ月前……ビルの一室で大量の人が惨殺される事件が起きました。部屋の壁は血で真っ赤に染まり、部屋は換気を行っても血生臭は今も消えていないとか、銃の痕跡は見当たらずそれどころか肉片の一つもなかった……何か人ではない者に“食い荒らされた“そう判断するしか無い」唾を飲み込み「鬼って人も食べるの?」辺りを警戒する女の子「悪しき風習………昔は食べていた。結構旨いらしいぞ臓物とか」舌なめずりの長様の言葉にサラタカさんの後ろに隠れる「一応俺も鬼なんだが………」わかってますでも安心するので「俺らは天餓帝の命を受けて動いてる………その辺も考慮に入れてくれさすがに手が届きそうな距離だ。出したくない名前も出した」手札を見せきり勝負に出るサラタカさん「じゃああたしがついていくそれでどう、ウチとしてもアレは放っとけない、でもウチの鬼の集団を表立って動かせばここぞと他の鬼に攻められる。ならあたしがあんた達についていくそれでいいのかな、童子くん?」若い鬼の女帝に投げ掛けられる長様髭を触り少し考え「しょうが無い今はそれしか…………では“ドリームゴースト“こと夢鬼は今世界の狭間にいる。まずはその入り口を探して貰う」世界にいない?どういう事か理解できない、入り口を探す?頭がオーバーヒートして充電を控えてしまいそうだ「難しく考えるな、世界の狭間ってのはあちこちにある。袋小路やら別の場所への移動やら鬼だけじゃない。異端者はよく使っている。異端者?鬼以外神様?魔族?精霊とかかな」まぁ鬼がいるんだから人以外の何かがいるというのは脳が理解は出来ている。状況がカオス化していく「あーあもう頭がこんがらがる今日一日でキャパシティ超えすぎだよ」とりあえず一番近い世界の狭間へ向かう………ここが狭間……想像していたのは洞窟だの人気のない暗い細道とかでもここは一通りの多い交差点「ここが入り口?いやいや鬼目立ちすぎだし」横から女の鬼が前に出る「鬼目立ち?木を隠すなら森よ、仰々しい寺か神社に祀ってあるとでも思った。長が言っていたでしょう。我々はこの物世界に寄り添って生きてるの。だから隣り合せの鏡のように世界の狭間はあちこちにある。入り口は管理しているけどね、さぁいくわよ」女の鬼を先頭に「おっと、自己紹介がまだよね、私はリュリュ村の武守頭をつとめてまーす。貴方達の捜している慎陰の………ドリームゴーストの親友でーす」身構える一同に「やだな公私混同は致しませんよ、うたないといけないなら必ず討つさ♪」楽しそうに話す口元と違い目はしっかりと何かを決意して見据えている。一歩踏み入れると頭がぐらつく足元が安定しない地面はそこにあり歩いているけど「時期慣れるわ」リュリュさんからのアドバイス「目を瞑り、足元を感じる。触覚に頼るんだ」触覚に頼る?分からないがやってみる。すると感覚が研ぎ澄まされたのか足先に豆腐?ふわっとした冷たい感覚が体を上ってくる。中は暗い真っ暗ではないがよそ見をすると前を歩くリュリュさんを見失いそうだ「さてさて、この闇道を通るのも久しぶりかな、あちこちがたもきてるよね」暗い森の中フクロウが鳴いている。田舎の夜道を連想させた。遠くに大きな目玉が見える。辺りが暗いこともあり目玉は、ハッキリとそこにある「意識しては駄目よ、何事もないように通り過ぎなさい、いいわね」リュリュさんの言葉通り意識せず目玉の横を通る「ドコ ダレ コレ マダ アノソノ ドノ ネェ コッチ キケ コタエロ オマエ ムケ ミロヨ 」言葉が荒く意識させようとする言葉が続く。足が止まりそうになる「大丈夫 意識しない 無視して」目玉は私達の周囲を分裂しながら子供のように取り憑いて離れない。意識しないつもりつもりなんだけど………チラリーと目を開ける「うわぁーー」腰を抜かす女の子。目の前には小さな目玉が幾つも跳ね回っている。気になるっーか気にならない方がおかしいよ。辺りが少し明るくなる。そこには目玉だけじゃない耳や鼻一風変わった者達がいっぱいいる「これは魂の残骸………そうね霊ってね、摩耗していくのよっぽど霊力が強くないと形の維持は難しいから、命ある万物は肉体を離れると魂が解き放たれるそして神世界に一時を過ごし転成していくの、でもここにいる霊達は長い期間ずっと彷徨い続けているだけ。自身が何者だったのか、断片的にしか覚えていない本当にさもしい存在よ」夜道を歩き負えると小さな祠が見えた「ここが最深部よ」祠に備え付けてある鈴を鳴らす。鈴の音は辺りに木霊していく一方向に蝋燭の列が現れる「こっちよ、進みましょう」コロンコランと下駄の音がする現れたのは傘を被った流動体「やれやれ、何事かな、おや!懐かしい鬼の一族かね、私はスライスだ。見ての通り変幻自在の姿をしている。ここは常闇の離れ行き場を失ったゴミのたまり場さね、さてさてそんなゴミうーんゴミという感じではないね、ここへは何を求めて?」興味深く聞き耳を作りながら聞いてくる「ドリームゴーストとはあなたですか」聞いてみるが「ドリームゴーストか、確かにそれは私だねとはいってもだったというところかな、元々は別の呼び名で呼ばれていた………えぇっとなんだったかな、忘れてしまったよ。これがこの闇の離れにいすぎたせいかな?私はとんでもないことをやってしまったんだろう。そしてここじゃないどこかから飛ばされてきたのかもしれない」曖昧だなぁと想いながらも「キミは人だね鬼がお友達というわけでもないのかな?珍しい組み合わせあれ?私は人そうだよ今ので思い出した!私は人だったうんうん………それに家族そうだ家族もいた。目を瞑れば思い出す四角いテーブル小さな部屋さてさてどっこいどうしたモノかな、いやまて別の断片だ変な肩パットと一緒にいた?消された?うんつん消されて気付いたらしい………俺達のこと嫌俺のこと」流動体の体を満遍なく動かして己の記憶をうれしくダビングしている「鬼の間の乳怒れば自ずと漏れ出でる滴りを飲みホさん」スラスラと口が動き言葉を紡ぐ「君達の答えはソコニアルアデュー」蝋燭の光が消え気付くと地上の人混みの中にいた「離れは不安定いつなくなるかは運次第これからどうする?取りあえずさっきの言葉真に受けるのは辞めた方が、鬼の間の乳、怒れば自ずと漏れ出でるだったっけ鬼の間の乳ってのは多分パステルねぇさんのことだと思う。でもな~パステルねぇさんは呑みはするけど、漏れ出でるってはくってこといやいやナイナイあのねぇさんが呑んだもの出すなんていやいやナイナイげっーたいない」断言するリュリュさんだが「けど他にヒントもねぇみていダシよ、パステルの姉さんにあってみるしか無いんで無い」鬼の面々は少し顔がやつれている会いたくないんだろうきっとそれだけはわかった、けど今は他に縋る藁も無い「いってみましょうパステルのいる場所へ、それでパステルがいるのは?何処ですか「パステルねぇは神に嫁いだのよ、なんったけな八百万の神だったかな。だから神世界にいるのパステル姉は」神えっ神った。いやいやないだろ神様なんて鬼は百歩譲ろう然し言うに事欠い神様、神様みたいとかなんちゃって神様多いけど神様なんて見たことないよ。慌てふためく女の子をよそに「どうやって神世界に行くんだよ?基本神力を持つ神か″死なないと行けないぜ″」死ぬという言葉に後ずさりする女の子「死ななくても行ける方法もあるにはあるんだけど………とにかくパステル姉を探そう」私達は物世界?つまり私達がいる世界でパステルという鬼の女性を探すことになった。あてはあるのかとたずねると「神は基本″神と契約している″もしくは″神から認識を許された″この二つ以外見ること聞くこと触れることすら出来ない存在の魂の存在です。こことは違う神世界は魂の世界です。普通の人が神を認識するには死ぬしかないんです」それじゃ無理じゃないですかと反論すると「いいえ、死ぬ以外で神を認識することが出来る者それが神約者だから神と契約したものを探します」リュリュさんの言葉に真に受ける気にはなれない。それでも今は他に手だてがなかった。神世界についても教えて貰った。神々が住む世界色々な神がいるらしい驚いたのは死んだらかみに逝くということでも転生するまでの間何だけどそのあとは輪廻の輪に入り生まれ変わるらしいです地獄とか天国とかは感じ方次第なんだそうです。そうこう話してる間に到着しました「ここって古本屋?」中は色々なジャンルの本が無造作に棚に並べられている「お客様ってわけじゃなさそうね」長い髪をかんざしで止めた花魁のような女性が立っている廻りの古びた本の一冊から現れ出でたみたいに綺麗だった「うちにレズッチクな本あったかしら」心を見透かされているみたいだった。本棚を叩くサラタカさんに「一応商品なのよね、鬼のお兄さんには分かんないかもしれないけど」この人というか人なのか?今までの流れではこんな場面では人であった例しがない「んん?!何かな見つめられるというのは照れるわね」顔を赤らめる少女っーか「おばさん『お姉さんに何か?』いやおば………お姉さんは神様なの?」直球すぎた?でも知りたい「神様ではないわ、神様とはそうね契約しているってとこかな(こいつが神様と契約?)周りを見てもキミには神を認識出来ない」「神?ですかここにいるサラタカさんだって見えるのに何で?」眼鏡を上げながら話す少女に「あーあ、だって彼は鬼だもの鬼神ではないから、神というのはそうね私たちとは全く異なる存在、貴方に″魂″の証明は出来ないでもあたしにはできるの見えるし、触れられる。神と契約するってのはそういうこと″根本が全く違うものは理解出来てないとかそういうことではなくてないのよ。そのくらい違うもの」理解出来ないよね。と頭を掻いた後に「神約者でもない貴方たちが何で神約つまり神様を探してるのかな?」自分たちの探している人物が神と契約しているということを話すと「ふーんつまりパステルって鬼なのに鬼神擬きを探しに神世界へか………神世界っても広いからね、でも八百万の領域ならでも無理ね、厳密には神世界へは行ける神がいなくても神世界へは行けるけど肉体をトモナワナイ世界なので………魂が不安定で消えやすい………オススメしないそうね………そうだ!加護を受けるってのはどう?」加護?と聞き慣れない言葉「神約とは違うんだけど御守りみたいなものかな、神の守りは受けるのでないよりマシ」女性の隣に現れる大きな本を抱えたショタ『悪い子じゃないよ、力貸してあげてもいいかも』そう進言するショタくんにうーむと考えこむ「そういえば紹介まだだったねこっちがアタシの神約した神様″知識の神様″です。まぁなりは小さいけど頼りになるから」そうかと考えて「チーちゃん、加護与えられそう」『どうかな一過性のものなら何とかできるかもしれない』その場にいる全員の額に手を当てる『うん、大丈夫出来た………でもそっちの人じゃない方は加護の力が強くない』分かっていると頷くサラタカさん「それでどうやって神世界へ行くの?」と聞く私に『加護を受けているので私達が案内する』えっー店番どうするのよ?と詰め寄る女性の神約者…………『ここが神世界だ』長い黒い空間を抜けた先に広がる世界そこは神々の世界『よかった神の国ではないな』神の国じゃないのか?と聴くと『神世界だけど神の国ではない間にある無干渉地帯かな、死人の縄張りではないか』一際賑やかな街が見える『あれが死人が住む街だ。探してるのが人なら死人街に紛れてる可能性の方が高い』私達は死人街へ向かった。薄い薄い人達がわんさかいる「意外と活気って違うか」町の奥へ進んでいく。そこには大きな城がそびえ立つ。町の雰囲気とは不釣り合い城の前には門番がおり街にいる死人とは違い、武器を携帯している門番をしているのは小柄な幼女と腰の曲がった男の老人幼女の武器は見えないが老人は杖代わりに地面に突き刺さる大剣に寄っ掛かっている「カルテジィいいのほっといて?」寄っ掛かっている姿勢は変えず「目的は主か、それとも別か?判らぬよ……だから動けん」「うごけんってそれほっとく理由としては」私達の後方へ移動した?「薄くないよね、あんたら何者?」質問にサラタカさんの拳が先に動く「それが応えかの?ソイノ戦闘態勢じゃ城壁を隔離我が王を守れ」サイレンと共に城へと続く道に壁が「カルテジィは戻ってもいいよ。腰がキツキツでしょ」「そうはいかんソイノに任すと手加減知らんから荒廃してしまうわい、それに彼等は神約により此方に来とる。なめてかかることは転生を招くぞ、ワシがメインお主がサブじゃ」地面に突き刺さる剣を抜き肩に背負う丸い月のような刀だ「生きてる者が来てよい世界ではない」踏み込むカルテジィ散開する一同丸い月を思わせる剣を振りかざす地面に叩きつけられた刀から仕込み武器が八方へサラタカさんに命中する「ぐっ!」片膝をつく「スげぇーや、動けなくならないこれが神か!?」テンション爆上げのソイノに「正確には神約をしているからじゃ………いやこの程度なら″加護″でも十分かな魂かなり削らんと相手はちとキツいかの」仕込み武器を回収しながら「テンポを上げるがソイノ城壁を二段階へ羽馬へ王や民の避難を優先させるよう伝言してくれ」此方のことはキニスルナト振り返る事無く話す了解とソイノは「テンマルスケスケ~のリョ♪」といい城の中へ戻っていく。直後城の門が固くロックされる「さてここなら話は聞こえないだろ………お前達は物世界から来たでいいよな」頷く一同「夢見の旦那の知り合いかな?」夢見?聞き覚えはないがドリームゴースト?!こと言ってるのかな「鬼の類はいいとしても″加護″だけか………ついてきな」街の外へ移動を始める一同「協力してもいいんですか?」とカルテと呼ばれたおじいさんに尋ねる「構わぬそろそらか」一行は寂れた場所へ………そこが何なのかすぐに理解できた暗がりの中に蠢く死人「ここって………」言葉が続かなかった………あるだろうとは思っていた。だってそれは生きている頃から変わらなかった者達が薄くその場にいたからだった「ここは″障害者の町だ………精神の世界である神世界は本来なら肉体は関係ないけど″始めから無い″ってのは全くの別よく言うだろう″強い精神は肉体に宿る″でも逆もあるんだよ″肉体の劣化は精神にこびり付く″………悲しい事だ。生きていた頃も苦しみ死んだ後もその精神で苦しむ………そんな魂のこびりはまた肉体にこびり付く永遠と廻り堕ちていくんだよ」意味がないのか座り込んだまま動かないでいる死人達「こっちだ、合わせたい者がいる。ついてくるといいさ」街の奥へと歩みを進める。藁葺き屋根のテントにそこには手足の無いダルマのような若者が座っている「うん?カルテかこんな所に何かようか」座り込むカルテ「相変わらずの暮らしぶりかな」失敬なと思うが「前置きはいい厄介毎かな、そこの生きた人が原因みたいだな」「あぁ、探し人が神世界にいるらしいってな詳しくは嬢ちゃん達から聞いてくれ「私達は″ドリームゴースト″という生きた?多分だけど人を探してるの、あたし達の世界にはいないって分かって」全部は聞かず横から刀を取り出す「クソみたいな話をするな反吐が出る」聞く耳持たず「持ってる人間はみんなそうだ!ワシが生きていた時も村を守れなかった」悔やんでいるように項垂れる若者さてさてどうしたものか「あの聞きたいんですがドリームゴーストの行方を知っている鬼女がこの神世界にいるって聞いたんですけど知りませんか?」言葉が先に出ていたはやくおえて帰りたいそんな想いだった「鬼女?神ではなくか?」「はいい………そう聞いています。どうしたものか迷っていましてそこのおじいさんに連れて来られまして」ふーむと考えこみ「心当たりはあるが………おすすめはせんよ。神の領域にいる鬼だよ。そのワザは古き神から手ほどきを受けたほどだ……」「居場所を教えてください」分かったと一言話すと「″合点″」部屋の四方にあった鎧が集まる。達磨だった男の体に手足が生える「やれやれ、アレに会いに行くのはつかれるよ本当」起き上がる手足は人のものではなかった。距離を取り後ろをついていく「そう警戒するなよ、俺らの会いに行く鬼女は俺なんかよりよっぽどのバケモノだから」目の前のバケモノにバケモノと言わせる相手なのかとバケモノと数歩間隔は空けたまま進む………神世界は広い大きく分けると神それぞれの領域とそれ以外に分かれるらしい。死人というのは死んだ人はまず神世界に来るらしい……にわかには信じ難いけど現にここで見た人は皆薄い気力溢れる者も多いが無気力に項垂れただけの者も少なくはなかった「あまり顔を出すなよ、ここにいるのは本来の物世界で死んだ者達だけ、生きた者等いてはいけない、特にキミのように力を持たないただの人は特にね」とぼとぼと歩く姿は哀愁に包まれている。ここが神の住む世界なのだと忘れてしまいそうになる。思えば遠くへきたものだ。小さな鬼の女の子をかばい色々なものから狙われたり小説でもかけるんじゃないのかと思わせる冒険ぶりだろう。さてさていったい幾つの世界がここには在るんだろうか、てか神様か実感湧かないけど「あの~神世界というくらいなんだから神様いますよね?」「そりゃいるがそれがどうしたんですか?」「いやー会ってみたいうんうんどんな神様かつんてのはきになる所だけどまぁまぁ色んな神様いるのかなぁって思っちゃいまして」「ほらそこ一際明るい街が見えるでしょう。あれは獸神の一角″雷鼠″という神様の街何ですよ」「雷様みたいな神様何ですか?」「いえ獸神の中でもおとなしい神様ですよ見たことはないので分かりませんけど、他にも獸神には鳥神や狗神等複数にわたっていますよね」「今から会う鬼女は鬼神何ですか?」鬼神という言葉に「鬼神様ってのは聞いたことないですね」付きましたとさっきの獸神の町を横切った後で気づく大きな町「ここは?」「ここは死人連合の本部がある″宴清間隔″という死人の町です」「よお、晴学輩じゃねーか、珍しいなお前さんが街から出て来んのは?いつ以来だ。お互い転生もまだみたいだな」大きな体に金髪、鬼達が恐れている。「連れか?これはこれは珍妙な客よ」私達をめぶみするように見渡す「我如古お前さんこそ見慣れない羽織なんて着けてなかったろ」「これかいいだろう、死浪のグループの一つに入ったんだこれがよ虹色を好むやつらでな俺は黄色の羽織をもらった他にも赤だの青だの紫だのこれまた食わせ者揃いでよ」「我さん、昔の知り合い?」ひよこっと現れたのは赤色の羽織を着た少女だった「我さんが来ないってみんなぼやいてましたよ。死人神の護衛も任されるかもって言われてて話もいいけどこっちのようも忘れないように先に行ってますよ」女の子は駆けだしていく「ってわけだ俺もぼちぼち行くわ。この街は死人の中でも死浪が多い俺も含めて力を持ってるお前さんは分かっていると思う。だから油断するなよ」手を降りながらその場を去っていく我さんしかし彼の思いは届かない複数の視線が彼らを囲んでいた。それはこの街に入った頃からだったがいつ頃から気づいていただろうか。足音が近づいてくる「複数か」その言葉に全員が戦闘態勢「んん、新しい死浪か?」「ちげーだろありゃ角はえてんぜ、鬼?!鬼って神様なんだっけ?」「鬼神はそういえば聞いたことねぇーな、なんで自己紹介プリーズ」「先に名乗るのが礼儀だろう、失礼我々は死浪のグループの一つ″茅葺″というここには死浪の集まりに参加の為来た。本来はここより遥か先………龍神のすみかの近くに拠点を置いている」その様子に「龍神のすみかね、隠れ住んでる神様だっけ、ぶっちゃけ八百万の方が強かったりして」奥から現れたのは別のグループで黒いチャイナ服を着た男達だ「これはこれは、ミイラの犬のお出ましじゃないですか、死人王に仕えずに一死人に使えるとは死浪の面汚しかなとも想うけど……神様には勝てないしょうが無いよな

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