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第20話 『ドラマの放送』 ※掲示板あり

 俺が樹拓海いつきたくみと言うヒロインの相手役で出演している『お嬢様な私がクラスの貧乏な美少年助けて、一流の執事として育て上げる』がとうとう放送される。


 俺は屋敷で咲や、安藤さん、メイドの河内さんや普段お世話になっている屋敷のスタッフの方達と一緒に放送をみることになった。

 初回は15分拡大スペシャルで宣伝の方もバッチリだったし視聴率はそこそこ行くんじゃないかと個人的には思っている。

 

「あぁー、早く始まらないかしら。まだ9時にならない? 安藤、録画の準備は万全よね?」


「はい、咲お嬢様。この日の為に機材を新調しております」


 なんだか俺より周りの皆の方がそわそわしている。

 今の俺の心境としてはやれることはやったので達観しているような感じだ。


「もうすぐだよ。咲も落ち着いて」


「和希は落ち着いてるのね。私はなんだかドキドキしちゃって……」


「俺ってそんなに心配?」


「そうじゃないのだけれど、なんだろう? 見守る親の心境というか……保護者的な心境なのかしら」


 やはり落ち着かない咲を落ち着かせるため手を握ってソファーに座らせる。


「ほら、ここで一緒に観よう? 大丈夫だから」


 俺も咲の隣に座る、咲の少し暖かい温もりが伝わってくる。

 それに、なんだかいい香りもして少しドキドキしてしまうが落ち着いてドラマが始まるのを待つことにした。


「あっ、始まったわ!」


 咲がそう言うのとほぼ同時にドラマが放送され、皆での鑑賞会が始まった。



◇ ◇ ◇



『ふふっ、私、貴方の事が気に入りました。だから私の屋敷で執事として働いてみませんか?』


『僕が執事?! ……僕には貴女の様な、高貴な人に仕える知識もありません、それに、僕の家は貧乏であなたの執事として相応しくありません。見てください、着ている服だってボロボロで、住む世界だって違う。とても貴女の隣に立てるような人間じゃないんです……』


『それなら、これから変えていけばいいのです。もう一度いいます、私は貴方が気に入っています。だから、どうか私の執事として働いてはくださいませんか?』


『これから変えていく……貴女が、僕を望んでくれるなら――』


 少年、 樹拓海いつきたくみは少女の前で膝まづく。


『貴女が望む限り、僕は生涯、お嬢様の執事として仕える事を約束します。どうか、至らぬ身ではありますが僕をお嬢様の執事として御傍においてください』


『はい、もちろんです。これから、末永くよろしくお願いいたしますね。拓海たくみ


『こうして、執事の誓いを交わした青年:樹拓海いつきたくみは大財閥のお嬢様:富田由香とみたゆかの屋敷で執事として働く事になったのです』


 最後にナレーションが入りドラマは終了、エンディングに主題歌が流れ始めた。

 やっぱり何度聞いても自分の歌が流れると恥ずかしい。

 それと、執事の誓いってなんだよ、騎士の誓いみたいな感じで言ってるけど。


「はぁ、面白かったー。来週も楽しみね」


「咲にそう言ってもらえてよかったよ」


 安藤さんや他のスタッフからも来週も録画して観ますとか、和希くんカッコよかったです、とか色々な感想を貰えて俺も満足だ。


「それにしても、ドラマの和希と現実の和希はずいぶん違うのね。すごい美少年だったわ、ドラマの方が……」


「現実でも十分美少年でしょ?」


「そうなんだけれど……ドラマの和希は保護欲が掻き立てられると言うか。本当に別人みたいだったの、貧乏な生活を送ってる和希をみて思わずお金を送りたくなったわ」


「別人に思われたなら、きっとそれは和希様の演技力が高かったからでしょう」


 後ろから声をかけられ振り返るといつの間にか安藤さんが飲み物をもって近くに来ていた。

 

「演技力かー、ねぇ、和希――」


「嫌だよ」


「まだ、何も言ってないじゃない」


 咲が頬を膨らませながら俺を睨んだ。


「どうせ、執事の誓いをやってとか言うつもりでしょ?」


「もう! そうだけどいいじゃない?! 減るもんじゃないし」


 俺はため息を軽くついてから演技のスイッチを入れる。

 そして、ソファーから立ち上がり咲の前でひざまずく。


「咲お嬢様が望む限り、僕は生涯、お嬢様の執事として仕える事を約束します。どうか、僕をお嬢様の執事として御傍においてください」


 俺は咲の手を取り手の甲に軽くキスをした。ドラマには無かった演出だ。


「きゃー! カッコいい。やっぱり本物の和希の方がいいわね!」


 どうやら、効果は抜群だったようで咲は両手で口元をおさえてきゃっきゃしている。

 俺は立ち上がり再び咲の隣へと座る。


「喜んで貰えてよかったよ」


「えぇ、もう今日は大満足だわ。このまま寝たらいい夢が見られそう」


 咲の喜ぶ姿が見られてなんか少しだけ嬉しくなった。恥ずかしかったけど。


◇ ◇ ◇


【木曜9時】 お嬢様な私がクラスの貧乏な美少年助けて、一流の執事として育て上げる  part3【氷室和希 黒羽モカ】


355:

へそチラしていた和希くんが美少年すぎて辛い

あの番宣は効果抜群すぎた、視聴率結構いったんじゃない?


357:

辛いのはムラムラしてだろ

でも、あのへそチラは永久保存するべきものだった


358:

タイトルに引かれて観てみたけど結構面白いやん

番宣を見逃した私はどうすれば……


364:

和希くん、美少年すぎる。執事として雇いたい。

あと、モカちゃんも可愛い……可愛くない?


368:

モカは今一番人気の女優だからな、演技上手すぎて他の出演者で演技ヘタな奴が浮き彫りになりやすい


372:

>> 368

その点、和希くんは安心ですね。新人らしいけど男性にしては演技上手じゃない?


376:

他の共演者も軒並み演技上手くて、一番心配されていたヒーローの演技だけど違和感なく見れて安心した

むしろ、よくあんな美少年の役者を見つけてこれたなってレベル


380:

ヒーロー役の子、演技うまくなかった?

顔もかなりよくて正直ファンになりそう、というかスケベしたい


385:

おまわりさーん、この>> 380です

でも、確かに演技うまかったし謎の包容力があったよなw


388:

主題歌歌ってるのもあの子なんだろ?

歌も上手だし、久しぶりの大物新人になるんじゃないか?


392:

確かに1話を見た感じだと人気でそうだけど、あのルックスと演技力に加えて男性でむしろ今まで無名だった事がすごい。

所属はどこなの?


397:

>>392

西宮財閥所属だって


402:

西宮ってがちエリートじゃん


406:

でも、西宮の所属役者一覧に載ってないんだけど


410:

>> 397

本当に西宮なの?

どこ情報よ?


415:

>> 410

番宣でモカちゃんが言ってた


421:

さっきsnsでモカちゃんが和希くんと仲良く映ってる写真アップしてたな

和希君は、女性に優しいって話本当らしいね


426:

>> 421

なにそれ、羨ましい


430:

>> 426

和希君みたいな美少年とツーショットとかモカに怨念しかでないだろ

でも、彼女いないらしいし、番宣で優しい人がタイプって言ってたから知り合えればワンちゃんある?


432:

一応、新人らしいじゃん、ヒーロー役の子

だからまだ、西宮のサイトには載ってないだけだろ


436:

>> 430

もう、発言がアウトっぽいし。ノーチャンだから諦めろ。


439:

男性俳優って棒読みだったりとかでドラマに出てきても微妙とか思ってたけど、あの子は自然体で素直にカッコいいって思えた。

あんな子が執事になってくれたら毎日の仕事も頑張れる


443:

>> 439

わかる。でもあんな展開はドラマの中だけだよ。いくら優しいって言っても物語の様な人物なんていない


448:

>> 443

でも、番宣とかモカちゃんの話きいてると物語に出てくるんじゃないかってレベルの優しさだよ?


452:

ヒーロー役の子なんて名前だっけ?


457:

氷室和希くんやで、やってる役は樹拓海いつきたくみ

エンドロールに書いてあるし、スレのタイトルにも書いてあるだろ


462:

妹役の子も演技うまいな

あと、和希くんに現実でも執事の誓いやってほしい


464:

執事の誓いのシーンホント好き

あんな美少年に生涯仕えてもらえるとか幸せすぎて成仏する自信あるわ


475:

主人公に仕える事になった時の笑顔が最高


479:

笑顔の花が咲くとはまさにあの事よ


481:

でも、貧乏が理由で男なのに学校で虐められてる描写があったじゃん

あれがすごい胸に刺さった、主人公、早く助けてくれーってずっと思ってたから助けられた時はスカっとした


486:

虐められてるシーンは確かに胸にきた

それをグッとこらえて家族にも悟られない様にしてる強さにも


490:

まぁ、ドラマのストーリーも役者もいいみたいだし来週も楽しみだね

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