表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/57

第18話 『番宣放送』 ※掲示板あり

 さて、俺がバックコーラスのオーディションを受けてから既に数週間が過ぎていた。

 あのオーディションに合格したのは俺だけでモカさんもトーコちゃんも不合格だったようだ。


 俺があのオーディションに合格した理由だけど、単純に耳がよかったからだそうだ。

 耳と言うのは歌う人にとってとても大切だと大物歌手の源田弘美げんだひろみさんが教えてくれた。

 あの会場の中でただ一人スピーカーの雑音を聞き分けた俺をすごく褒めてくれた。


 そして歌の収録とかは当然初めてで緊張したが、これも源田弘美げんだひろみさんが色々優しく教えてくれた。

 最初は無口な人だと思ってたけど話してみると意外と話の分かるおばさんで俺に歌の指導や、これからの演技でも役立つから頑張りなさいなど優しい言葉をかけてくれた。


 しかし、最初はバックコーラスの予定だったのが何故か主題歌がデュエット曲に変更になり源田さんと一緒に主題歌を歌う事になった。


 まぁ、その話を聞いたときは白目だったけど終わってみればいい経験だったと思えるようになった。

 そしてこれからも、よかったら歌を続けていくといいっと言われたが、俺としては歌も演技も続けていく気はあまりない……。周りに流されてここまできてしまったが。


 ドラマ撮影の方は順調で既に6話まで撮り終えている。

 そして今日は『お嬢様な私がクラスで貧乏な美少年助けて、一流の執事として育て上げる』の番組宣伝でバラエティーに俺とモカさんが出演した物が放送される。


 その番組を咲と一緒に屋敷のテレビで観ている所だ。


「へぇ、この人が和希のお世話になってる黒羽くろばねモカさんね」


「うん、不慣れな俺に演技の事や芸能界の常識なんかも教えてくれるんだ」


「やっぱり、和希をドラマに出演させたのは間違いだったかしら……」


「え? どうして?」


「なんか和希を取られちゃったような気がするんだもん」


 咲が可愛く頬を膨らませながら呟いた。


「大丈夫、誰にも取られてないよ。今の所はだけど」


 だって誰の物でもないからね、俺は。


「今の所はね……」


 咲の事は可愛いと思うし、タイプなんだけれど俺はハーレムルートを目指したい。

 咲はこの世界の一夫多妻制をどうおもってるんだろうか?

 やっぱり他の女の子と付き合ったりすると嫉妬するよな……?


「ねぇ、ちなみに咲はさ俺が他の女の子とも結婚したいって言ったら――」


「八つ裂きにするわ」


 咲がとてもいい笑顔で言い切った。

 ……おっと、俺の耳がおかしくなったかな? 今、咲の口から出てはいけない言葉が出た気がする。

 きっと気のせいだよな。俺、疲れてるんだきっと、ドラマ撮影とか色々忙しかったもん。


「俺が他の女の子と付き合いたいって言ったら――」


「刺す」


 こ、殺される!


「なんて、冗談よ。和希の好きな子だったら応援するようには努力してみる……。できれば私を選んでほしいけれど……あっ! 和希、番宣のコーナーが始まりそうよ」 


 咲のその寂しそうな作り笑いに思わず胸がチクリと痛んだ。


 どうやら バラエティー番組も終盤になり、告知コーナーをかけたバスケットチャレンジの時間になったようだ。

 番組の司会者の下田さんがテレビの中の俺に話を振っている。

 テレビの中の俺は綺麗なフォームでシュートを放ち見事、チャレンジを成功させた。そして、やっぱりユニホームがめくれてお腹が見えていた。カメラの位置のせいかばっちりオヘソが映っていた。


「か、和希、今、貴方のお腹が見えてたわよ!」


 俺が物思いにふけっていると咲が顔を赤くしながら叫んだ。


「えっ? うん、そうだね」


「そうだねって、貴方のお腹が日本中の女達に見られちゃったのよ、大丈夫なの?!」


「うん、まぁ、おへそくらいなら別に……」


 すると咲は大きくため息をついた。


「和希がそういう事に無頓着なのは知ってたけど、まさかここまでとは……一応、テレビ局にクレーム入れといた方がいいのかしら? きっと如何いかがわしい事に使われてしまうわ」


 そんなおへそ位で大げさな。


「和希ったら私を嫉妬させてひどい人だわ。でも、いいわ。最後には和希は私の物になるんだもんね。ふふっ」


 咲はそう言って悪戯っぽく笑った。

 ここは肯定も否定もしないでおこう。

 まぁ、それはひとまず置いて今は折角テレビに出演したのだ。自分の出番位は見ておこう。


『っというわけでね、和希君とモカちゃんからお知らせがあるそうです』


『はい、来週の木曜の夜9時から僕、氷室和希の出演する『お嬢様な私がクラスの貧乏な美少年助けて、一流の執事として育て上げる』が始まります』


『私、黒羽モカが主役として出演しています。ストーリーは貧乏な美少年をお金持ちのお嬢様が執事として雇う事から始まる、お嬢様と少年の恋愛模様を描くハートフルラブコメディっとなっています』


 テレビでは俺とモカさんが番宣をしてる間に、小さくだけれど俺がデュエットの片割れを務め、源田弘美さんが作曲した主題歌も流れている。

 なんかテレビから自分の歌が流れてると変な感じだ。


「ふふっ、和希の歌が流れてるね。あらためて思ったけど和希は歌も上手ね」


 咲に褒められ、なんだか面映おもはゆい。

 しかし、主題歌の出来に関しては自分でも精一杯頑張ったし、うまくいった方だと思う。

 まぁ、前世から歌には少しだけ自身があったからな。今の体になってから更に上手くなった気がするけど。


『このデュエットの主題歌を歌ってるのはあの有名な歌手である源田弘美さんらしいですね、男性の方は誰なんでしょう?』


 バラエティーの司会者である下田さんが俺たちに分かり切った質問をする。


『この歌はですねっ! この! この氷室和希くんが歌ってるんです!』


 司会者の振りにモカさんが食いついてしまい、興奮気味に俺の情報をしゃべり始める。


『モカさんの言う通り、僕が歌を歌わせてもらっています。ドラマだけじゃなく歌も聞いてくださいね』


『そうなんですね、とってもいい歌声ですね。それとモカさんはドラマ撮影で和希くんにデレデレしすぎてNGを連発してるとの情報も入って来ています』


『ちょっと?! 誰かなその情報を流したのは?』


 撮影の時も思ったけどテレビの中のモカさんが少し怖い。情報を流したのはおそらくトーコちゃんかなぁ。


 トークの間に画面の右下の方に小さくドラマの映像が流れ始める。

 この番組の為に編集した特別編みたいでかなり面白そうにドラマの映像が流れている。実際、面白いと思うけど更に面白そうにって意味だ。


 するとその画面の右下の映像に俺の映像がチラッと流れた。


『ほぉー、今少し画面に映りましたが、やっぱり和希くんは美少年ですね』


『はい、私もいつも和希君にみとれちゃってそれでNGだしてるんです。それに和希君は女性にも優しくてハグとかもしてくれるんです。他にも――』


 モカさんが番組で俺のいい所を喋りまくっている。

 そう、いい所を言っているはずなのに、何故か俺のいる部屋の温度が下がった気がした。


「へぇ……この女の子、モカさんだっけ? 随分楽しそうな事をしてるのね」


 チラリと横を見ると咲がジト目で俺を見ていた。


「い、いや、まぁ、ドラマ撮影してる中では一番の仲良しだからね。外国だとハグくらいするでしょ? あははっ」


 俺は必死に誤魔化そうとした。


「でも、ここは日本でしょ?」


「う、うぅ……」


 咲はモカさんにとても嫉妬してるみたいだ。

 俺はソファーの隣に座っていた咲との距離を詰めて、手を握り咲のほっぺにキスをした。


 外国だとキスも挨拶のうちだよね。

 きっと、これで咲の機嫌も良くなるだろう。なるよね?


「ふみゅ……」


 咲の口から謎の擬音が飛び出し、顔を真っ赤にして俯いてしまった。

 しかし、どうやらご機嫌は治ったようだ。意外とちょろい。

 そして、テレビもエンディング曲とテロップが流れ始めておしまいの様だ。


『それでは、『お嬢様な私がクラスの貧乏な美少年助けて、一流の執事として育て上げる』をよろしくお願いしまーす』


『来週の木曜、夜9時でーす』


『はい、有難うございました! 次回も豪華ゲストをお呼びしてるのでお楽しみにー、ばいばーい』


◇ ◇ ◇


【二次元?】 男性について語るスレ part298【三次元?】


253:

最近の私の押しは超絶美少年の氷室和希君


255:

>> 253

誰それ? また二次元のキャラ?


257:

>> 255

今度始まるドラマのヒーローだよ

今日の夜8時から放送するスポーツバラエティにも番宣で出演するから見てみるといいよ


260:

ふーん、ドラマはあまり観ないけどバラエティならみようかな


261:

8時ってもうすぐじゃん

ドラマに男性が出るのはいいけど演技力は期待でき無さそうじゃない?

男性だし……


263:

演技の方はドラマ観ないと分からないなー。


264:

あぁ、あのお嬢様がどうたらこうたらで美少年を執事にするってタイトルのやつでしょ?

ありきたりな純愛物になるんじゃない?

あっ、バラエティ始まった。


268:

確かに、顔はかなりの美少年。でも性格はどうなんだろうね


270:

性格はこれから分かるでしょ。

でも、他の男性俳優を見てると少し不安かな


272:

最近は男性ってだけでちやほやされてる人が多いからね

実際、リアルで男性と知り合ったら持て囃しちゃうでしょ?


274:

>> 272

そりゃ、まぁ……

だって、仲良くなりたいし


276:

でも、話しかけても大抵ウザがられちゃうよね

そもそも男性がいない!


280:

まぁ、男性少ないし仕方がないよ……

私も小説とかみたいに男性の多い世界に生まれたかった


281:

あっ、和希君のコーナー始まった。

モカちゃんと仲良さそうだね


283:

和希君、何か感じ良さそう

テレビカメラに会釈してたし、笑顔も素敵


285:

司会者の下田の質問にもちゃんと答えてるし、性格良さそう


287:

というか、服のセンスもいいね

カッコいい


290:

好みのタイプは胸の大きい人か、ふむふむ


291:

貧乳でも優しければ好きになってくれますかね?


293:

>> 291

ピアニストの高野亜里沙たかのありさは貧乳だけど和希君の憧れの人らしいし可能性はあるんじゃない?


295:

高野さんの悪口はそこまでだ


 ・

 ・

 ・


455:

男性だけど、真剣に番組に取り組んでる感じだね

好感が持てる


457:

真剣にバスケの話を聞く美少年もいいものだ


458:

番宣をかけたチャレンジコーナー和希君がやるんだ

大丈夫かな


460:

ユニホームに着替えた和希君がなんかエロい


462:

わかる

バスケのユニホームって男性が着るとそそるものがあるよね


466:

さっき、学校で女子と一緒にサッカーやってるって言ってたけど運動神経いいのかな?


468:

流石に手加減されてるんだろ

じゃなかったら試合にならないよ


470:

和希君がフリースローうつよ

あっ、うったああああああああああああああ??!!


472:

うおおおおおおおお

オヘソ見えたーーーーー


475:

うほぉぉおおお!

すごい、綺麗なフォームだった私じゃなかったらオヘソみてて見逃しちゃうね


477:

フォームも綺麗だったけどオヘソも綺麗だった

画質のいいテレビ使っててよかったー


480:

これ放送して大丈夫なの?

私的にはすごい嬉しいけれど


485:

多分、本人かマネージャー? どっちかがOK出してるはず

じゃなかったら流石に放送されないよ


491:

へそチラしてからスレの勢いがやばい

殆どがオヘソの話しかしてないし


 ・

 ・

 ・


732:

なんか今日はすごく幸せでいい夢が見られそう

ファンになったのでドラマも見ます


734:

フリースローが一回で入ったのが残念過ぎる

もっと見たかった


736:

すごく人当りの良さそうな性格してたね


740:

理想の美少年現る


742:

間違いなく今日は神回だった


746:

ドラマ来週か

今日みたく、なにがあるか分からないし録画しておこう


748:

何故、私は今日の番組を録画しておかなかったのか……


750

ふぅ、今日の仕事の疲れが吹き飛んだわ


753:

ドラマも楽しみだな

早く来週にならないかな

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 主人公、この世界で好き勝手するんだろうけど、それがこの世界の女性に何らかの幸せを届けられるといいですね。読んでてハラハラするより、読んでてホッッコリしたい。 引っ込み思案のそんなに飛び抜けて…
[良い点] 遂に世の中に存在が知れ渡りましたね。これからどれだけ有名になれるのか(もう判っているような気もしますが笑)とても楽しみです! 掲示板で確認する形式は個人的には面白いので続けていってください…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ