ジュナのパンチはいわくだき!
「せやぁ!」
「!」
身体を変化させたジュナが瞬間、気合と共に男の前へと飛び込みました。
紆異智さんと同様、ジュナの変化へ気を取られていたらしい男は反応が遅れましたが、それでも手に持った凶器を盾にしようと彼我の間へと差し込みました。
が……。
「たあっ!」
「!!」
ガツンッ!
と鈍い音が響き、ジュナの拳が炸裂すると、重厚にも見える刃物は中央から割れるように砕けました。
「ウ ォ ッ !?」
さすがの男もこれには驚いたのか、明らかに動揺した声を上げながら飛び退き、一度距離を保ちます。
拳を振るったジュナは深追いせず、その場に立っていました。
「す、すごい……」
「ふふふ。当然です。ジュナ様は人間と妖怪のハイブリッド。そんじょそこらの人間相手なら、手に及ぶはずがありません」
「ハイブリッド……。人間と妖怪の混血児……」
(しまった……!)
思わず感嘆の声を上げた紆異智さんでしたが、声を放った主の正体までには気がまわらなかった様子。
アンブレラは冷や汗をかきかきパタパタと頭上を飛んでいましたが、ホッと息を落としました。
「どうだ! ジュナの本気パンチ!」
育ち盛りの若々しい身体――――高校生程かと思われます――――から、風も唸らせるほどの豪速を放ったジュナは、その右拳から蒸気のような粒子の残滓を立ち昇らせつつ、相手の出方をうかがっています。
「ホ ウ …… 。 コレホド ノ モノ トハ ……」
男はがっくりとうなだれつつ、粉砕された得物を見ては、感心するようにひとこと呟きました。
「さぁ! わかったら帰って! わたし、あなたのこと嫌いなの!」
「フ フ フ ……。 ソレ ハ ザンネン ……」
男は鋏を投げ捨てました。
カラン、カラン、と、コンクリートの上を、輝く物体が転がります。
「キラワレテ シマッタ …… 。 シカシ ワタシ ハ スキ 二 ナッテ キタ」
「えっ! こまる!」
「モウスコシ アソンデ」
~『ジュナの愉快な次回予告!?』 ~
「ふぇ~ん! いつまで続くのこれぇ~!?」
「フ フ フ 。 モット アソボウ」
「や~だぁ~! 助けてタカハルぅ~!」
「あれ? なんか仲良くなってない?」
「なってないからぁ!!」
「え~。こほん。僭越ながら、このアンブレラが……。次回、吸血鬼は小学生! 変態、暁に死す!」
「もぉ~! 次回予告もそろそろ体をなしてよぉ~!」
「オ タ ノ シ ミ 二」