一時の普段の日常
興奮が覚めないなかでの英助が日常に戻るとき
翌日、英助は興奮しすぎてなかなか眠れず、寝たのは4時過ぎの頃。
当然、枕元の目覚まし時計が鳴り響いているのに気づきはしない。
そのまま、寝過ごすのかと思いきや階段をドスドスと音をたてながらその音は栄助へと近づいてくる。
物凄い音ともに、栄助の部屋のドアが弾かれるように開いた。
反動のせいか、ドアは軽い軋む音と一緒になりながらゆらゆらしている。
ドアの前には、下から見上げるとおぞましい鬼がいるかのような形相で仁王立ちした女性が立っている。
この激しい音がしたのだ。
栄助もきっと起きていると信じたいものだが、
「…っうんん」
と、か細い声で布団のなかにより潜り込む。
それを見た女性はよりご立腹のようだ。
額に血筋が浮き出るかのように、眉毛をぴくぴくと上げている。
女性は物凄い足音で素早く青年に近付いて行く。
そして、女性とは思えない雄叫びと共に、掛け布団を青年から奪うように引き抜く。
「どりゃぁぁあぁ!! 」
掛け布団を奪われるように取られたひょうしにベットから転げ落ちる英助。
「ぐぶぇ」
何ともみっともない声音だろうか。
女性も呆れているが、それよりもまず怒りが頂点に達しているため腕組みをし青年を見下ろす。
「…ってえ、何すんだよ! 」
と栄助は、反転した身体を戻しつつ声を荒らげる。
が、女性の顔は不適な笑みを浮かべまた眉毛をぴくぴく動かしている。
女性に見下ろされる英助はまるで赤ん坊のように縮こまり頭を下げようとするがもう遅い。
「この、バカ息子がーーー!! 」
恐らくは隣近所に聞こえうるであろう声量だ。
栄助の耳の中はキーンと音が鳴り響いている。
数秒間はそのままであるのは間違いない。
目覚まし時計よりも耳障りで、耳の環境にもよろしくないであろう。
「あんた、塩とコップよくも庭先にぶちまけてくれたわねぇ?! 」
音量は普通だが、目を細め笑みがより不気味になり頭から火山が噴火でもしそうな感じだ。
そう。
栄助は興奮のあまり、庭先に水を入れたコップと大量の塩をぶちまけたままにしていたのだ。
当然、朝ごはんを作ろうとして塩がないのに気づき青年がやらかしたに違いないと女性はお怒りモードであった。
「か、母さんあれには深い事情があっ…」
栄助は女性に弁解を図ろうとするが、時既に遅し。
女性、いや熟女と言った方がいいのだろうか。
或いは、英助の母親が妥当だろう。
そのあとは、罵声のようなお叱りを1時間もの間、栄助はフローリングで正座しながら甲垂れるように怯えながらされた。
当然ながら、学校には遅刻。
弁当もなしなのは、言うまでもない。
ーーー