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『三題噺』シリーズ

『三題噺』 その五

作者: ふみわ

お題『リモコン/針鼠/早口言葉』


 夕方。

 私は弟と茶の間のテレビの前で、リモコンの取り合いをしていた。


「離せ~ッ!」

「い~や~だ~!」


 今日は私の好きなドラマの放送日だ。

 絶対見逃したくないと思い、十分前からスタンバイしていた。

 そこに現れたのが弟だ。

 弟は弟で、特番のバラエティを見たいらしく、今こうやって、リモコンを掴んで綱引きみたいに引っ張っている。


「私が見るの!」

「俺だ!」


 どちらも引かずに言い合っていると、呆れた体のお母さんが言った。


「もう、喧嘩してないで早口言葉で決めなさい」


 なんで早口言葉と思ったが、このままの状態を続けてもドラマは見れないので、早口言葉でどっちがテレビを見るか決める事にした。


「じゃあ、私からね。生麦生米生卵!」

「蛙ぴょこぴょこ三ぴょこぴょこ合わせてぴょこぴょこ六ぴょこぴょこ!」

「赤巻き紙青巻き紙黄巻き紙!」

「坊主が屏風に上手にびょうぶ・・・・・・っ! 間違えたぁ!」

「よっしゃあ!」

「くそー!」


 ガッツポーズを決めて、チャンネルを変えようとしたが、そこで思わぬ事態に遭遇した。


「きゅー・・・・・・きゅー・・・・・・」


 リモコンの上で、我が家のペットの針鼠がいつの間にか眠っていた。


「「あ」」


 ・・・・・・・・・・・・。


「どうする?」

「どうしよっか?」


 このままこの子をどかす事も出来る。

 だけど──


「お菓子でも食べよっか」

「引き出しにクッキーあるぞ」


 お互いテレビは諦めて、クッキーを食べる事にした。

 姉弟相手には争えても小さく可愛い生き物には誰も敵わないのだ。

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