第1章 第3話 決められた運命
〜第1章 自分の知らない世界 〜
ー自分の運命ー
「存在が消えるってどういうことですか!」
優多の頭が真っ白になった。考えることすら一つしかなかった
「君には理解し難いことだろうけどここの世界ではこれしかないんだ」
「親はどうなるんですか?学校はどうするんですか?」
優多はパニックだった。目がグワッと開いて体が震えていて力が少ししか出なかった。
それもそうだ、急に能力が使えるようになって、これとまた別の世界があって、そして存在が消える…
そんな非現実なことを急に言われては、どうすれば良いのかわからない。
恐怖と不安と苦痛を優多は今同時に味わい、壊れてしまいそうだった。いや、ー壊れる寸前だったー
漫画やアニメにはこういった現象が主人公やその他の登場人物に宣言され、それを受け入れ…それが普通だった。が、
しかしここはー現実ーそんなことを普通に宣言されても受け入れたくもないし、逃げきれなくても逃げるのが普通だ。当たり前だ。
「親は君のことを忘れる学校は行っても君の存在自体なくなっているから、無駄だよ。追い出されてしまう」
優多はショックですごく落ち込んでいた。顔を下に向け、力なく立っていた。この時、優多は、なんて思っていたのだろうか。
「ではこれからどう過ごしていけば良いのでしょうか?住むところもなければ食べる物もありません」
「ー30:62:59:52:27:96:37…あと、2日は君の存在が残っている…あと2日はこの世界でやり残したことをやればいいじゃあ今から“48時間後”迎えに来るから」そう言ってどこかに行ってしまった。いや、言ってしまったというよりは、消えた。という表現が一番正しいのかもしれない。
家に帰ったがやることは勉強と剣術の稽古だ。
そもそもに剣術を習い始めたきっかけは、自分を強くするためだった。
だが、失敗。自分は未だに弱かった。学校では馬鹿にされる。きついよ…ほんと。
父は有名な食品会社の社長だ
そのため山の一部分を買い取り、1000坪程の土地に立派な日本家屋を造った。もちろん平屋で、綺麗。それにしても大きすぎる。まあ父は社長だから、月に2、3回は他社の社長さんや、外国お偉いさん方が、くる。それがとんでもない人数なのだ。平均20〜30と目が飛び出る数である。(修学旅行か!)
そして母は元世界1位の陸上選手である
そのためか、母のお客も色々とくる。父ほど人数は多くないが、週に一回は、お客さんを呼んでくる日数が多い
そして弟が2人いる。
僕は、生まれて初めて2人の弟の兄になったことを考えてみた。涙が出てきた。別に悲しいわけでもないし、嬉しいわけでもないが、涙が出てきた。
僕は複雑な気持ちだった
「もうすぐで僕はこの家族ではいられなくなる…そう考えると全部が全部が損したような気がするな…」
1日があっと言う間にすぎていった。2日目も弓から放たれた矢に早く、あっと言う間の日だった。
普通に起き、普通に話し、普通に寝る。でもその時の優多は、一秒、一分、1時間。その“大切な家族”との『時間』を大切にした。
そして…結城が言っていた“48時間後”。心を入れ換え、外に出た。そして、待ち合わせの門まで、玄関を振り向かなかった。だが驚いた。
門にいたのは、結城ではない別の人物だった。
「あなたは?」
門の前に立っていたのは僕と同い年ぐらいの男の子だった。でも身長は、低い。…小学生くらいかな?
「あれ?聞いていなかった?じゃあ自己紹介を先にしておこうかな♪僕は『開智 無限』『流』を操る能力だよ♪」
「は、初めまして陣之内 優多です。あの…結城さんは?」
「結城が来ると思ってたか〜本当は結城じゃなくて僕が迎えに来ることになっているんだ」
優多は少し戸惑ったがすぐに状況を把握した。それにしても、なんだか軽そうな人だった。
「では、なぜあなたが?」
「それはね…僕の手伝いと執事をしてもらうから僕が迎えに来たんだ!」
「手伝いですか?」
「そうだよ。僕は『現段階138種の多世界』の
地理、政治、経済、を調査し、毎日更新する仕事をしているだから…」
「ちょっと待って下さい!嫌な予感しかしませんが」
「察しが良いね♪そう、君には各世界の調査をしてほしい!」
優多は開いた口が塞がらなかった。
「よしっ行こうか!行き方はわかる?」
そんなのわかるわけがない。優多は首を縦には振らなかった。
「そう…じゃあまず頭の中で世界の境目を想像するなんでもいい。それだけで世界の扉が開いて行き来できる。これは君みたいな特殊な者しかできないんだ」
早速やってみた、言われたように世界の境目を想像した。
すると家の門がゆがんで異世界?のような空間につながった
「さあ行こう!」
そう言って、その空間に飛び込んだ。