モテ期
「ずっと拓真の事が好きだったの!だからその…付き合ってほしい!」
不意をつかれて言われたから反射で…
「あっ…はい」
「えっ?」
えっ?
(あ…やべ…)
これは、マズイだろ
何がマズイって…?
本命の女の子に告白されてしまった。
ー「昨日」ー
俺、五十嵐拓真は人生最高の瞬間に面している!
「拓真君。好きです!付き合ってください!」
高校二年の春、初めて女の子に告白された
(えっ…これ俺に言ってるの?マジで?)
内心テンパっているがこうなるのも仕方ない
「えっと…確かあまり話したことなかったよね?」
(いやいや、接点ないと告白されないだろ!思い出せよ!俺)
自分にツッコむ
彼女は徳田未来さん。一度も一緒のクラスになったことないのにどこで接点があったんだろう。必死に探すが出てこない
「あっ!一方的にわたしが片思いしてただけなので知らないと思います。あの…サッカーの試合…見て好きになりました」
(あー、サッカーの試合か)
「見てくれたんだ!ありがとう」
・・・・・・・・・
二人の間に沈黙が流れる
(会話…会話…さすがにだんまりはまずいな)
「あっ!あの!告白の返事…今もらったらダメですか?」
(あー、そうか返事だよな返事…あいつ好きな人いるしな〜…)
「うん!俺も徳田さんの事知りたいから…その、よろしくお願いします」
「本当ですか!ありがとうございます」
彼女が…できました
やったー! ははは…
ー「翌日」ー
「拓真。今日暇?」
「あー…ちっと放課後に用事あるけど少しなら時間あるぞ」
(徳田さんと帰らなきゃいけないんだよな)
「じゃ、屋上きてくれない?」
「なんだよ?いつもの話ならお前ん家でいいだろ?」
「いいから!きてよ?」
彼女は高田梨花
幼馴染であり、俺の初恋&好きな人だ。だった…か?
いつもの話とは梨花の好きな人ののろけ話を聞かされる。
正直いって聞いていられない。苦痛でしかないぞ!
「わかったよ。ちょうど俺も話しあったし」
「えーなになに?」
「んー…今はいいや」
「なにそれー、まーいいや!またあとでね」
「おーう!」
(幼馴染だし徳田さんの事話さないとな〜。気持ちの整理も今日でしないといかんし!)
ー「放課後。現在」ー
(うーし!屋上いくか〜)
彼女ができた事話さなきゃいけないから変に緊張するな
ガチャッ
夕日の照らす屋上で梨花が一人待ってる
「わりー遅れた」
「遅いよ!待たせないでよね!こっちがどんな思いで…」
「悪かったって!んで?話って何?」
「あっ!そか、うーん…拓真から先に言っていいよ。話しあったんでしょ?」
「あー…俺のは…あとででいいや」
(うわ…何逃げてんだ俺)
「ふーん。じゃ!わたしから…」
梨花が深呼吸を始める
なんか異様な雰囲気だ
(なんだよこの空気…)
・・・・・・・・・・・
風の音だけが聞こえる
すると突然
「今日ーーーもすっごくカッコよかった!」
はっ?
「何が…」
俺は呆れた顔で梨花の顔を見る
「だから!いつも話してる人だよ!わたしの好きな人!」
「あー…それはそれはよかったな…」
(なんか変な期待したか?俺…)
「幸せそうでなによりだ。じゃー、用事あるし、また後でな」
「えーーまだ何も話してないのに!」
「あとで聞いてやるって」
ガチャッ
「拓真!!待って!!!」
梨花が急に叫ぶ
「んだよ、だから話ならあとで聞いてやるって…」
!!!!
後ろには夕日のせいか顔を赤く染める梨花の姿があった
「おいっ!どうしたんだよ」
なぜかキュンとする
「なんで気づかないかな〜」
「えっ?なんて?聞こえな…」
「だから…わたしが好きなのは拓真なの!ずっと拓真の事が好きだったの!」
急に言われて戸惑う俺氏…
「だからその…付き合ってほしい!」
不意をつかれて言われたため反射的に…
「あっ…はい」
答えてしまった。
「えっ?」
えっ?
「ほんと?ほんとにわたしでいいの?」
ほんと?ほんとに彼女2人いていいの?
いやダメだろ
「あっ!まって!今の…」
泣いて喜ぶ彼女の前ではもうあの言葉は出てこなかった
「じゃー!いっしょーにかーえろ!」
涙を拭いて無邪気に笑う梨花
「あ…と……あれだ!俺用事があるんだった!」
(やべ…とにかく逃げよう。解決策考えねーと)
「あーそうだったね?仕事系なら手伝うよ?」
「いや!いい!大丈夫だ」汗
「あっそー、じゃまた家でね」
「お、おう。家だな家…」
この時初めてモテ期を恨んだ
修羅場のはじまり〜はじまり〜