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初めての4P戦闘in地下室

「女の子を救出します。見張りをしつつ、助けを呼んでください」

 背中の神官に言い捨てて、そっと黒いドアを開けて地下室への階段に入った。


 階段を降りるとまた黒いドアが1つ。

 両手で人を担いで入ったからか、少し隙間が空いていた。

 息を殺し隙間から中を伺う。


 中は小さな檻がたくさんある広い地下室だった。

 檻には、疲れきった姿の女性が10人前後1人ずつ入れられていた。


 蝋燭の明かりで照らされる部屋内を見て一瞬頭が煮えそうになるが、なんとか冷静さを保ち敵の様子をうかがう。

 番台のような所に男が1人と、さっきのごつい2人。

 死角にドアがあるかもしれないが、見えるかぎりは行き止まりの部屋で、居る敵は3人のみだ。


 2人はさっきの制服風の少女を押さえつけて何かしようとするのに夢中で、こちらは見ていない。

 番台の1人は手元の何かを探しているようだ。武器ならやっかいだ。


 3人でも・・・いけるのだろうか。


 痴漢もスリも1対1での戦いだった。

 複数と戦うのは初めてだ。

 普段なら男性相手だと追撃を入れないと気絶はさせられないのに、何故かさっきの門番は一撃で沈められた。調子の良い今なら油断させればいけるかもしれない。

 寸考の間にも少女の制服は剥かれていっている。


 こうなったら『突撃取材作戦』で行く!!


 バーン!!!


「○▽新聞で〜す!インタビューさせてくださ〜い!!」


 上の神官にも聞こえるように大きな音を立ててドアを開け、なるだけ情けなく気弱そうに見える笑顔で手を振りながらドドッと突撃した。

 手前の2人がぎょっとするのがわかった。

「だめですよぅ女の子に手をあげたら〜。ちょっとお話だけですからお願いします〜」

 にこにこしつつも、一気に間を詰める。


 本来は、大勢相手なら逃げるのが一番と教わった。

 自分から手は出さず、むしろ怯えたふりをして油断させろと教えられた。

 敵のやる気をそぎ逃げられるなら、バカにされようがその方がいい。

 自ら近づくなんて流儀に反する。


 だが今は逃げられない。助けたい人たちがいる。

 素手で3人と戦うには、油断させて蹴りの届く所まで近づいてから一気に片をつけるしかない。


「お姉ちゃんお名前は?」

 ぎょっとした顔から立ち直った2人が制服少女を床に置いてこちらに手を伸ばしてくる。


 私が何か言う前に制服少女が叫んだ。

「言っちゃダメです!奴隷にされちゃう!」

 途端、左の男が振り向いて少女の顔を張った。

 少女が倒れ込む。


 ・・・こいつら赦せんッ!でもチャンスをありがとう!


ブシュゥウ!!

「ギャアアアア!」

バキィッッ!!!

「グボエッ!」


 少女を殴った左の男が後ろを向いたすきに、スーツの内ポケットに忍ばせていた『ペン型催涙スプレー』を右の男の顔面に吹き掛けた。

 左手は『ガード』し、右手は『スプレー』。ワンモーションで左足は左の男の背後から渾身の『股間蹴り』をお見舞いしていた。


「グエエエエ〜〜」

「きゃあ!」

 左の男は少女の横につんのめって悶絶した。

 右の男は涙目でむせていた。


 スプレーは米軍装備のメーカーのものだ。自分は食らったことないからわからないけど、かなり効くのだろう。

 左足を蹴りから床に戻すモーションを使って、右足を軸に重心ごと身体を右にひねり、そのまま右の男の急所を死なない程度に勢い良く『ヒールで踏みつけ』る。


ガキィィッッ!!


 目がちゃんと見えてない敵に急所追撃は外道だろう。でもやらないと犯られるのは私たちだから、容赦なくとどめをさすぞ!


 しかし、相手も外道だった。

 番台の男がナイフと毒吹き矢をかまえるのが見えた。


シュッ!!


 動体視力と敏捷性もよくなっているようで、毒吹き矢1発目はすれすれで避けることができた。腰を低くして左右ジグザグに飛び、番台の男に寄った。毒吹き矢を『外払いの左手刀』、ナイフを『外払いの右手刀』で番台の外へ落とした。


ビシィィッッ!!

「ギャア!!!」

カランカランッ!

グニュィッッ!!!


 戻すモーションの右手で『目潰し』。左手はガードに戻して、ナイフを拾われないよう蹴って檻側へ飛ばした。


グキィィッッ!!!


 蹴った足が床へ戻り次第、番台男の首に渾身の『右飛び回し蹴り』。

男は倒れた。


 番台で下半身が守られていた最後のヤツは手数が増えたけど、3人相手で、『最終兵器:スタンガン』は温存できた。

 最初に奥の手まで使いたくなかったから助かった。


「・・・よし、次は無力化!」


 番台に飛び乗り、勢いを付けてジャンプ。男の右手を踏みつけて指の骨を折った。続いて左手の指も折り、両膝を脱臼させる。腹にも一撃食らわせて黙らせる。

 少女の横で倒れた2人も、両手の指と両膝を手早く無力化し、死なない程度にとどめをさした。

 武器を隠し持っていないか探る。最初に催涙スプレーをお見舞いした一人が大型ナイフを持っていた。油断させておいてよかった。


 安心してみると、息があがっていた。


 日本でならここまでしないが、今は複数の救助対象者がいる。

 気絶させただけだと、救助活動中に息を吹き返して反撃してきたり、援軍を呼ばれたりする危険がある。それはイコール全員の命の危険だ。無力化する必要がある。

 普段は股間蹴りの後は延髄切り1発で済んでいたが、何だか今日は技の切れが良すぎて、延髄切りしたら殺してしまいそうなので手足だの腹だの小技を繋いだため尚更手数が増えてしまった。


 落ち着いてはいられない。

 他にドアがないか、敵の援軍の足音がしないか確かめる。


「神官様!敵を倒しました!民間人の救助をお願いします!」

 そしてさっき通ってきたドアを開けて呼びかけた。

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