表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/54

第一章 6

「そもそも『ディド』って………誰?」


 ――――絶句。

 そうとしか言いようの無い表情に、全員が固まっている。

「………なん、ですって………?」

 ややあって口を開いたエリーシャの声は乾いていた。信じられない、という思いでいっぱいになった表情で。

今はもう亡く、目の前の少女の母であり、僕のパートナーであったという夢の中の(ひと)。僕が知ることを当然として口の端にのぼるその人の名前。

「母の事を…知らないと…言うのですか…?」

 エリーシャの顔は、呆然から次第に変わっていき、

「あなたのパートナーですよ?それを知らないと言うのですかコウキは!」

しかし、僕にはその人物の事すら分からないのだ。

「知らない、知らないんだ………僕はその人の事を………本当に、知らない………」

激しい調子で詰め寄るエリーシャに僕はうろたえる。

「で、ですが、先ほどはコウキ君から母の名を口にしたではありませんか!」

「分からないんだ、その人の事。夢の中で見ただけで………」

「そんな……それでは母があまりにも…!」

 激昂寸前のエリーシャを、ハスドルバルが止めた。

「エリーシャ、少し下がっていなさい」

「でも、コウキ君は私の!」

「いいから、ここは私に任せなさい」

「―――はい、お爺さま」

 不承不承、エリーシャは下がる。怒りに震えるエリーシャの代わりに、ハスドルバルが質問してくる。

「コウちゃん、本当に君はディドの事を知らないの?」

 僕は無言で頷く。頷く以外に何も出来ない。

「ディド・バルカ――――僕の姉のディドの事。コウちゃんをアンヴァリッドにして、絶滅戦争で共にミゼリコルディアの脅威から人々を護り続けた『神仙女王』、そう言っても分からないかい?」

「あんばりっど………?みぜ……こる?」

 連発される知らない単語に、首を傾げる。僕の様子を不審気に見ていたエリーシャは、やがて何かに思い至ったらしく、恐る恐る口を開いた。

「まさか………コウキ君、記憶が………?」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ