第三章 2
しかし僕が年上としてリードするのが当然なのだろうか?経験なんてないのに?しかしエリーシャってディドの記憶があるんだよな、ということはエリーシャの方が(精神年齢的に)年上なのかなぁ、ディドって大人の女だもんな、経験とかきっとあるんだろうな、当然だよなあんなに美人なんだもんなぁ、でもエリーシャは完璧に(外見的に)年下だしなぁ、アカリより年下じゃないかなぁ、あんなに小さいしなぁ、てゆかあんなに小さい子を相手にするのって倫理的にはんざ――――
「………あの」
「ひゃう!?」
首の後ろを触られて、思わず悶絶した。
「え、ええええええええええ、エリーシャ何時の………」
驚き、振り向き、淡く微笑むエリーシャの姿が飛び込んできて………
「あ、やっと気付いてくれましたね」
「………間、に………」
………固まり、息を呑み、言葉を、失った。
純粋に、何一つ混じる事のない、美の化身がそこにあった。
如何なる奇蹟が、こんなにも美しく穢れ無き芸術を創りあげるというのか。
水気を含んで、艶を増した黄金の髪。ふわりと漂う甘い香り。
薄手のネグリジェを身に着けて、湯上りの上気し桜色に染まった肌がチラチラと見える。
魔法処理された戦闘用聖服と違って、純粋な女の子らしい格好に新鮮味を覚える。
凛とした、人を拒絶するような、超然とした雰囲気が薄れ………そこには、可憐な少女が一人。
僕の記憶の中のアカリと同じ位、小さな体……それでも……少しだけ『女性』としての発育が服の下で主張しているのは、やはり東洋人よりも発育がいいからだろうか。
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ああ、すいません。
息をするのを忘れていました。
実際、過去にないほど緊張しています。
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「そ、その…そんなに見つめないで下さい」
「あ、ああ!ゴメ、いやそのあまりにも」
肩を抱くように腕を交差するエリーシャに、慌ててバタバタと手を振る。見てないよー見てないよー変な所は見てないよーという代わりに。
「…その…………………綺麗…だから」
つい、とっさに出たのは偽らざる心情で。
二人してトマトのように赤くなって、黙り込んでしまった。
「あ、あの……恥ずかしいんで、明かり、もう消しますね」
パチン♪
「え、あ?もう!?」
心の準備が出来ない内に、明かりが消える。視界は全て暗黒に変わる。
一つのベッドが二人の重みで軋む。
「私………始めてなので上手くできるかどうか分かりませんが………」
「は、ハハはハハハは!『初めて』!?あ、いや、その……僕も………は、初めてだから…うまくできる自信はないけど」
こちらにしなだれかかってくる気配に、僕の頭も身体も暴走寸前で、
「??…ええっと、全部私に任せて下さい。出来る限り痛くしないようにしますから」
「えっ、いや、そのセリフ言うの逆……」
(あれ、何か会話噛みあってない?)
違和感一つ。と、思う内に、
「あ、あれ?えっと何ですかその棒状のものは?どうしてそんなものがあるのかな?」
手に触れる何やら硬質の感触。過熱していた心は不振物を発見して一気に冷却へ。
「………力を抜いてください」
「てゆか、え?え?なにそれ?どゆこと?」
「えい☆」
ポカ♪
「うみゃ!?」
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★ あ、お星様が見えたよ ☆
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