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第二章17

――――エリーシャとは真逆の、ディドの模倣人形。

 

その薬物中毒者のような目に見つめられると、寒気が走る。

「――――ランツクネヒト、か。悪趣味な扮装をしてくれますね。コウキ君、下がってください」

「らんつく、ねひと?」

「恥知らずにもミゼリコルディア側に付いて自己の保身に走った裏切り(ランツクネヒト)造反分子(ランツクネヒト)。私たち人類を絶滅へ追いやろうとする、明確な敵対組織ですよ」

 ――――裏切り者、と聞いて、僕の心音が乱れる。

「そんな、どうして………ミゼリコルディアは人類の敵なんでしょう。どうして、そんな奴らについたり………」

「だってさ、もう人類に勝ち目なんてどこにもないじゃん」

 明確で明瞭な答えに、息が止まる。

「何?あんたら勝てる気でいたの!?

あの(・・)ガモンハイド様に!あの(・・)腐敗王様に!

其処の!

中途半端な!

『神呪天討流の使えない御先祖様』が!

一体どうやったら勝てるというんだ!」

「コウキ君、こんな輩の狂言に付き合ってはいけません。この叛乱分子(ランツクネヒト)は、金や保身の為に誇りをミゼリコルディアへ売り払った下郎ども。嘗ての絶滅戦争でも底の浅い欲望の為に、このような輩は掃いて捨てるほど現れました」

 再び立ち上がったエリーシャ。

「裏切り結構、卑怯も上等、勝つ方に着くのが当たり前だろ?なあ」

「うんうんそうそう」

 『剣聖』が同意を求めると、最も外見年齢の高いディドが、最も精神年齢の幼そうな声で返答した。コクコク頷きながら。

「コウキ君は必ず力を取り戻す。そして貴方たち紛い物ごとき、即座に打ち倒してくれよう!ミゼリコルディアに魂を売った裏切り者どもめ、己が腐った性根を悔いるがいい!」

 ボロボロになった体に鞭打つエリーシャを嘲笑って『剣聖』は手をヒラヒラと泳がせる。

「あーー、ムダムダ。そんな努力や根性でどうにかなる類いの話じゃないからさ」


「――――だって、御先祖様の『技』を盗んだの、俺だから」


「………………な、に」

「――――――――――――」

 エリーシャが絶句する。僕も呼吸を止める。半分停止していた心臓音を聞きながら。

「御先祖様が『剣聖』として闘った全ての戦闘データと、鍛錬で身に付いた全ての殺人技術に殺神技巧。それら全部をひっくるめた『技』の全てを………御先祖様本人の魂魄から分割ダウンロードしたの、俺なんだから。

 御先祖様の『剣聖』として必要な部分を根こそぎ盗んで出来たのが、この――――」

「そんな………そんな………」

「この俺様――――『剣聖』ヤグチ・コウキってわけよ」



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