01:混沌の再来
キリの良いところまで書き溜めているので、短期で集中投稿します。
最後までお付き合い頂けますと幸いです!
「わ、私の屋敷がああああぁぁぁぁッ!!」
崩れて原型を留めない屋敷を前に、ノルマン伯爵は頭を抱えた。
荘厳な趣であった建物は賊の攻撃により見る影もない。
「自分だけ逃げちゃダメだよ」
伯爵の前に立ち塞がる少年がいた。
使い潰した果てに殺した筈の少年がいた。
「怪物だと思ってたんだけどな……」
拍子抜けした様子の彼の背後に、四人の人影が立つ。
「ふふふっ、醜い人間じゃのう。燃えて炭になった方がまだ見応えがありそうじゃ」
「血と死の臭いに塗れた人間……不愉快極まる。八つ裂きにしてくれようか」
「見るからにマズそうな血ですこと。吊るし上げて見世物にした方が面白そうですわ」
「――疑問。見世物にしてどうすル? ここで首を刎ねればいイ」
漂うのは、常闇と錯覚する程の濃密な空気。
四人の臣下を率いる少年はまさに。
(か、怪物は貴様の方だろう……っ)
ノルマンは恐怖から喉を引きつらせる。
「そ、創造神エリシア様のご慈悲を無下にするなど……
《ノーライフ》の分際で私に刃向かうなど決して赦されはしないぞッ!」
「僕たちはただ……自由に生きたいだけだよ」
『――よく言ったなぁアスラ!』
「……ウェイン」
少年の傍に灯る小さな炎はやがて強面の顔を作り出す。
(なぜ、あいつが……)
その人物に伯爵は見覚えがあった。
だからこそ混乱せざるをえない。
なぜならその男は――剣の試し切りに使って殺した筈だったからだ。
死んだ人間を呼び出す魔法は存在しない。
ならば目の前で起こっているこの現象は。
舞い戻って来たこの少年の正体は。
「……ノーライフキングッ!」
それは世界に伝説を残す不死の王。
数多の魔物の頂点に君臨するアンデッドの王。
庭園の芝生を燃やす青い炎が大きく燃え上がった時。
ノルマンは今後世界に訪れるであろう混沌を確信するのだった。
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