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同じ空の下で

作者: 衰退宣告
掲載日:2025/12/24

クリスマスの夜は、誰かの記憶を静かに呼び起こす。

隣にいるはずだった人のことを、

今年は会えないと分かっている人のことを。


受験生の冬は、選ばなかったものが少しずつ増えていく。

会いたい気持ちが足りなかったわけじゃない。

優先順位を間違えたわけでもない。

ただ、今は同じ場所にいられないだけだ。


街は変わらず光っている。

その明るさは祝福というより、

「それぞれの場所で、ちゃんとやっているか」を

確かめるための灯りみたいに見える。

同じ空の下で、

別々の夜を過ごしている。


恋人がいることは、

この夜を簡単にしてくれない。

むしろ、心の奥に触れられる場所がはっきりして、

少しだけ痛い。

それでも、その痛みがあるから、

離れていても、まだつながっていると分かる。


部屋では暖房の音が続いている。

慰めじゃない。

ただ、時間が止まらず進んでいるという証拠だ。

窓の外で、電車が通り過ぎていく音がした。

近づいて、重なって、

止まらずに夜の向こうへ消えていく。

今は、同じ電車に乗れないだけで、

行き先が違うわけじゃないと、そう思った。


誰かを想いながら過ごす夜も、

ひとりで過ごす夜も、

この夜は同じ速さで通り過ぎていく。

だから、言葉にしきれない気持ちは胸にしまう。

追いかけるためじゃなく、

来年の自分に渡すために。


メリークリスマス。

そう呟いて、参考書の上にスマホを伏せた。

今年は会えない。

それでも、同じ空はそこにあって、

通り過ぎていく電車の音が、

「今はこれでいい」と、静かに教えてくれた。

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