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定命の国  作者:
9/19

空に流す

七瀬ソラが考案したのは、「定命記念式典」への侵入だった。


これは定命制度が施行された日を祝う、国家主導の年次行事。

全国民への強制視聴義務があり、各家庭・学校・施設・端末は自動的に接続される。


つまり、

この放送に“真実”を乗せることができれば──全国民の目に触れる。


「映像への侵入はできるの?」


「正面からじゃ無理。でも式典映像の一部は、事前収録された“地方祝辞”からの切替方式。

その間の3.7秒、映像に空白ができる。

そこに“割り込みブリッジ”を叩き込めば、一時的に全ネットワークをハイジャックできる」


「3.7秒……それで足りる?」


「足りる。

1秒あれば、人は“知らなかった自分”に気づく。

あとは火が勝手に燃え広がる」


彼らは準備を始めた。


ソラが集めた内部データ、森崎が残した証拠、ユウが盗んだ国家記録。

それらをすべて、4.8秒の暗号化映像に凝縮する。


音声は義道の最後の言葉。

映像は実行処理室の映像、延命スコア一覧、通知書とその焼却指令、

そして最後に──ユウとソラ自身の顔。


「これは、私たちの告発だ」


実行日は、式典当日。

場所は、送信中継施設:中央電波塔第七基地。

それは国家の放送システムの心臓だった。


だがそこには、すでに国家公安の「特別措置班」が配置されていた。



「七瀬ソラと加瀬ユウ、両名の排除を正式に許可する。

現場での生存確認は不要。

この国は、“死を守ることで平和を維持している”。

ノイズは排除しろ。」


女官僚は冷酷に命じた。


ユウとソラの計画が成功すれば、制度は崩壊を始める。

だが、国家はそれを絶対に許さない。


決行の日は、目前に迫っていた。

この物語はフィクションです。

実在の人物・団体・事件などには一切関係ありません。

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