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定命の国  作者:
8/19

記録と火種

定命法の矛盾を暴露した投稿は、24時間で再投稿・転載を含めて100万件以上のアクセスを記録した。

だが、SNSのトレンドには一切現れない。

表向きには、何も起こっていないことになっていた。


政府は情報の拡散経路を片っ端から遮断し、投稿元のアカウントを“自死による削除”と偽って抹消していく。


「彼らは“消した事実”を真実として書き換える」


ユウは、それを身をもって知ることになった。


翌朝、彼の通う高校で“偶然”が起きた。


放課後、教室の前で公安局の職員を名乗る二人組が待っていた。

黒のスーツ、国家徽章。

「家庭環境に関する調査」と言いながら、彼の端末を“紛失物の照合”として提出させられた。


だがその目は、明らかに“監視対象”を見るものだった。


校舎の裏へと逃れるように移動したユウに、声をかけてきた人物がいた。


「逃げるのは下手ね。もっと堂々と歩きなさいよ。

“真実を知ってる”やつは、そんな顔しちゃダメ。」


振り返ると、そこには白いイヤホンをつけた少女が立っていた。

短めのボブヘアに、濃い青のスカート。

見た目はただの高校生──だがその目は違った。


「私は七瀬ソラ。KATASTROPHEの管理者の一人。

……“火種”になってくれて、ありがとう。」


ユウは驚く。

彼女がKATASTROPHEに関わっているという事実もだが、

“誰かが見ていた”ということが、胸の奥でかすかな希望に変わった。


「君も、制度に疑問を?」


「疑問なんてとっくに越えてる。

私は“この国を終わらせる側”の人間よ。」


ソラは、冷たく言った。

その声音には憎悪と覚悟が混ざっていた。


だがそのとき、遠くからサイレン音が響く。

市街地の一角で「不審火」──と報道された火災が発生していた。


燃えたのは、森崎義道のアジトだった。


「……始まったわね」


ソラは吐き捨てた。


「国家が“記録を消し始める”ってことは、

君の暴露が──効いたってことよ」



この物語はフィクションです。

実在の人物・団体・事件などには一切関係ありません。

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